衝撃のサクッとジューシー感!120年以上愛される元祖「エビフライ」のレシピと誕生秘話【愛されグルメのふるさと #7】

エビフライの発祥店・銀座「煉瓦亭」に聞いた、おいしく作るコツと誕生秘話

子どもから大人まで大好きな洋食「エビフライ」。発祥と言われているのが、銀座にある老舗洋食店「煉瓦亭」です。これぞ洋食というビジュアル、熟練シェフによるおいしさが多くの人に愛されています。

このエビフライが生まれた背景と、お店のレシピ、さらに家庭でおいしく作るコツまでを教えてもらいました。

衝撃的なサクサク&プリプリ食感!

煉瓦亭の創業は1895年。フランス料理店という意の西洋御料理(おんりょうり)店としてスタートし、2021年6月で創業127周年を迎える名店です。

エビフライをはじめ、豚カツの原型となったポークカツレツや、オムライス、カキフライなど、現在では洋食の定番となっている数々のメニューを生み出しました。

こちらが元祖の「エビフライ」(税込2,500円)。重なり合った3本のエビと、野菜が美しく盛られているひと皿は芸術作品のようです。

揚げたてにナイフをいれた瞬間のサクっとした音と感触は、幸せへの入り口。口に入れると想像以上のサクサク感で、一瞬で幸福感に包まれます。エビのほどよいプリプリ食感も楽しめ、香りとうまみが広がります。

タルタルソース、またはウスターソースでいただきます。どちらも甲乙つけがたいおいしさなので交互に、さらに両方混ぜて食べるのがおすすめ。揚げ物だということを忘れてしまうくらいの軽さです。

必見ポイント多数!これが元祖「エビフライ」の作り方

「エビにはあらかじめ塩を振って、水分を取り除いておきます。そしてレモンをさっと搾り、衣を付けます」

「衣は二度づけするので、小麦粉→卵の工程を2回繰り返します。普通は全卵を使うと思いますが、煉瓦亭ではちょっとアレンジをしています。ただ、それは企業秘密なんです(笑)」

「こだわりのひとつがパン粉です。特注の生パン粉を使っていて、長さをすべて1.2cmに統一しています。このサイズ感が特徴。そしてエビを包み込むよう、衣をしっかり付けます」

「フライのポイントは油と揚げ時間。煉瓦亭では3種類の油と、カツレツを作る際に切り落したロースの脂を集めて溶かして加えています。

エビフライであれば、180℃の油で1分半くらい揚げ、あとは余熱で火を通していくことがポイントです。お客様にお出しする頃には、ちょうどいい具合になるんです」

ポイントは5つ。発祥店の「エビフライ」に近づく調理のコツ

発祥店のエビフライに少しでも近づきたい!ということで、中村さんに調理のコツを教えてもらいました。

1. エビの下味にレモンを加える

「塩を振って水気を取ったエビに、レモンをひと搾りします。スーパーで手軽に手に入るエビの種類なら、ブラックタイガーがおすすめですね」

2. パン粉は生パン粉で、大きめのものを

「ご家庭でパン粉の大きさをそろえるのはむずかしいと思うので、できるだけ大きめの生パン粉を用意してください」

3. 衣は二度づけでしっかり

「衣は二度づけ、小麦粉→卵の工程を繰り返してしっかりつけておきましょう」

4. できるだけ多めの油で、温度は180℃

「フライは多めの油で揚げるとおいしくなります。そして温度も肝心。180℃の目安は、衣を油に入れた瞬間に中心からフワーっと広がること。少し経つと色が変わるくらいがベストです」

5. 揚げすぎず、仕上げは余熱で

「揚げ具合を衣の色で判断すると、つい揚げすぎてしまいます。余熱でも十分火は通っていくので、短いでサッと引き上げて余熱を利用するのがコツです」

日本初の洋食屋が明かす、「エビフライ」誕生エピソード

ーーそもそも煉瓦亭はどのようにして誕生したのですか?

木田さん(以降、木田) お店は私の曽祖父である木田元二郎が創業しました。当時、近くの築地に外国人居留地があったので、フレンチ料理店を出すつもりだったそうです。ただその居留地がすぐ廃止になってしまって……ならば日本人向けにアレンジした西洋料理を出そうとしたのがはじまりだと聞いています。

その頃はまだ洋食店という言葉はありませんでした。大正時代頃から少しずつメニューも変わり、お客様から洋食店と呼ばれるようになり「日本で初めて洋食屋と呼ばれた西洋御料理店」となりました。

木田 最初にできた料理が「仔牛のコートレット」。本来はドライパン粉をつけてフライパンで焼き上げます。

そのなかで、よりサクサクに仕上げるために生パン粉を使って揚げてみてはどうか、さらに牛肉より身近な豚肉を使ってみてはどうか、と作られたのが「ポークカツレツ」なんです。

ーーそんななか、エビフライが誕生したきっかけは何だったのですか?

木田 ポークカツレツが好評だったことから、エビやカキなどの魚介類、ミースミンドボール(ハンバーグの原型)を揚げるようになり、エビフライをはじめさまざまなフライ料理が生まれました。

うちは西洋料理店としてはじめて、「焼く」のではなく、天ぷら鍋を使って「揚げる」という調理法を取り入れたんです。今も変わらず、フライには天ぷら鍋を使っているんですよ。

煉瓦亭の元祖「エビフライ」は、時代を超えて愛される味

「これからも、昔の味や全体の雰囲気などは忠実に守っていきながら、どの時代でも多くの人に愛されるお店であり続けたいです」と店主の木田さんはいいます。

「西洋人のようなしっかりとした体を作ってほしい!」という想いで始まった煉瓦亭。西洋に負けるものかという強い想いが込められているのが、煉瓦亭のエビフライなんです。

今回のレシピを参考に、お店のような絶品エビフライをぜひ作ってみてください。テーブルクロスを広げてお皿を並べれば、いつもの食卓が洋食店に早変わりです。

文・撮影/島田みゆ

店舗情報

店舗名:煉瓦亭(れんがてい)
公式SNS:https://www.facebook.com/ginza.rengatei/
電話番号:03-3561-3882
最寄駅:東京メトロ銀座線「銀座」駅 A10、B1出口より徒歩3分
郵便番号:104-0061
住所:東京都中央区銀座3-5-16
市区町村:中央区
町域:銀座3-5-16
営業時間:11:15~15:00(L.O.14:30)16:40~21:00(L.O.20:30)
定休日:日曜日(祝祭日は営業)

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