【▲ 超淡銀河「UDG 4」(Credit: ESO/Iodice et al.)】


ぼんやりとした姿ではっきりと目立つ構造も見当たらないこちらの天体は、「うみへび座」の方向にある銀河「UDG 4」です。UDG 4は近年提唱されている「超淡銀河(Ultra Diffuse Galaxy)」に分類されている銀河で、およそ1億7000万光年先にある「うみへび座銀河団」に属しています。


超淡銀河は表面輝度(単位面積あたりの輝度)がとても低い銀河で、ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、そのサイズは天の川銀河と同程度でありながらも星の数は天の川銀河の100分の1〜1000分の1という少なさ。非常に暗いことに加えて、星の材料となるガスが少ないことも特徴のひとつに数えられています。


超淡銀河の起源はまだ定かではないものの、星形成に欠かせないガスを早い段階で失った銀河ではないかと研究者らは考えており、ESOでは「failed galaxy(失敗した銀河)」と表現しています。UDG 4を見つけたイタリア国立天体物理学研究所(INAF)のEnrichetta Iodice氏らは、うみへび座銀河団において合計12個の超淡銀河を発見しましたが、その真の性質を理解するにはさらに観測を重ねる必要がありそうです。


冒頭の画像はESOのパラナル天文台(チリ)にある口径2.6mの「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」による光学観測データをもとに作成されたもので、ESOの今週の一枚として2021年5月31日付で公開されています。


 


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Image Credit: ESO/Iodice et al.
Source: ESO
文/松村武宏