THEALFEE撮影/森田晃博

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 幅広いジャンルの曲と美しい3声(3人のコーラス)で世代を越え愛され続けているTHE ALFEE。新曲の話を聞いてみると、いまの3人のリアルな思いが飛び出してきた。

【写真】本当に66歳? 髪がツヤッツヤな高見沢俊彦

 '74年、大学在学中にデビューし、8月25日に46周年を迎えた。昭和、平成、令和と日本の音楽シーンを牽引し続けるレジェンドバンドが、3年ぶり、68枚目のシングル『友よ人生を語る前に』を9月2日にリリースする。

 コロナ禍での取材、インタビューは全員マスクを着用して。

高見沢「(マスク着用が必須の)こういう時代だからね」

桜井「エチケットですから」

坂崎「大丈夫だと思いつつもね」

高見沢「髪を巻いていると、マスクがつけづらくてさ。ゴムに髪の毛が絡まっちゃって」

桜井「マスクなしで、髪の毛で口元を隠せば大丈夫だよ」

高見沢「(左右の髪を手にとり、口元で重ねながら)こうやって?(笑)」

桜井「ほら、飛沫が飛ばないだろ(笑)」
 
 すぐに居心地のよい雰囲気を作り出してくれる。新曲をリリースするきっかけとなったのは、新型コロナウイルスの感染が拡大し、4月に緊急事態宣言が発令されたことから。

コロナ禍だからできた
ニューシングル

高見沢「本来なら、4月から始まるはずだったツアーが延期になりました。ステイホームで家にいるとニュースやワイドショーを見ますよね。そうすると、すごく不安になる。何かが足りないと感じていた。そして、その足りないものは希望だと思いました。希望とは何だと考えたとき、ミュージシャンにとって新曲だと」
 
 ALFEEの楽曲はほぼすべて高見沢が制作している。

高見沢「自宅で高校時代の卒業アルバムを手に“元気かな?”と友達のことを思ったりしているときにできた曲が『友よ人生を語る前に』です。メンバーも変わらず46年やってきて、66歳になった坂崎と僕と、65歳の桜井のTHE ALFEEのメッセージが届いて“さぁ、頑張ろう”と思ってくれる方が全員じゃなくてもいい、3割でもいればいいと思っています」
 
 信念を貫き通すことの大切さを綴った歌詞には“友よ”“人生”という言葉が繰り返される。

高見沢「僕らくらいの世代に特に響く曲だと思います。20代、30代の若いころは、考え方も違いました。人生というより、車とか女の子、ファッションの話をよくしていた。今は、数値です。検査結果の(笑)。あと、病院はどこがいいとか」

坂崎「サプリメントはこれがいいとかね」

桜井「もうちょっとすると、どこのお寺がいいとか、お墓買ったとか(笑)」

高見沢「もう、3人とも前期高齢者ですから(笑)」

坂崎「はい、年金もらえます」

高見沢「あと、4年で古希。だから、70まで頑張りたいという気持ちも込めた新曲になっています」

FAXでしか連絡を
とれないメンバーが!

 これほど長くメンバーと会わなかったことがなかったという自粛期間。どのように連絡をとり合っていたのか聞くと、

高見沢「坂崎と僕は、レギュラーのラジオ番組がありましたけど、桜井に至っては消息がわかる手立てがFAXだけ。スマホも持っていないし、インターネットの“ネット”もない。頭にかぶる“ネット”は持っているようですが(笑)」

桜井「持ってないよ(笑)。僕は、ふたりのラジオを聴いて、元気なんだなと(笑)。周りからは、“あの人どうなっているんだ”と言われていたみたいですけど、普通に生活をしていました。ただ、問題なのは、自分が何の商売をしているのか忘れそうになるんです(笑)」

坂崎「米屋さんだったかな? 何屋さんだったかな? って(笑)」

桜井「忘れちゃいますよ。1日テレビ見ながら、“あぁ、そうかい”って」

高見沢「テレビにツッコミ入れて(笑)」

桜井「今まで、年齢のことを気にしたことがなかったんです。実際、若いつもりでいるんですけど、このコロナ騒ぎで“65歳以上の人は”と言われたときに、“あぁ! オレ、65歳だ!!”と(笑)。そこで、改めて、コロナにかかっちゃいかんと」

 新曲のレコーディングは、密にならないよう、十分に気をつけて行われた。

高見沢「3人一緒にやっていたコーラスも、ひとりひとり録って」

桜井「ただ、このシステムって、コロナになる前からやっていたことではあるんです。去年出したアルバムのときもそう。坂崎のスケジュールが合わないときは、ふたりでできる分だけ作業を進めて、後で坂崎の声を合わせる。このやり方だと、主旋律を録音する前にコーラスを入れることになったりする。だから、きっちり音をとらないと声が重ならないからシビアですよ」

坂崎「ピッチ(音程)がちゃんとしてないとピッチリ合わない(笑)」

高見沢「お後がよろしいようで(笑)。今回の新曲のメインボーカルは桜井です。これまでフォーク系の曲のメインは坂崎に歌ってもらうことが多かった。だからこそ、逆に桜井の艶っぽい声で歌ったら面白いかなという気がして。実際にレコーディングを始めたら想像以上のものができあがるわけです」

坂崎「FAXしかなくても、この“艶のある声”があればいい(笑)」

高見沢「スマホもなくていい。この声があれば(笑)」

桜井「僕のことは、放っておいていいですから(笑)」

 『友よ人生を語る前に』の歌詞にある“夢”という言葉について、すでに夢を叶えたように思う3人に聞くと、

坂崎「まだ夢の途中。叶っていないですよ」

高見沢「僕ら、ブレイクしたとは思っていないんです。だから、これから大ブレイクですよ。夜明け前の感じがしている」

坂崎「長いな、助走が(笑)」

桜井「このまま逝っちゃったらどうするんだ(笑)」

高見沢「20代前半でデビューして、そのときの夢だったコンサートやツアーは叶っています。でも、今、延期になっている。以前の生活を取り戻すことができるよう祈るしかないのですが、音楽ってやっぱり対面してなんぼだと思う」

坂崎「僕らだけのことではない。この状況で音楽を目指す人が減ってしまったり、諦めてしまう人が増えたら、大損失ですよね」

高見沢「つらい現実ではあります。変な言い方かもしれないけれど、今は夢を叶えるために、我慢するしかないのかな、と思っています。もちろん、自分たちもそうですから」

2観客から無観客へ
次は、“しゃべり”に挑戦

 デビュー以降、休むことなく毎年ツアーを行ってきた。しかし、今年のツアーは延期となり、初めてのステージが無観客配信ライブとして8月24日、25日に開催された。“ライブバンド”と呼ばれているALFEEのメンバーと同じようにステージを長く待っていたファンにとっても至福の時間となった。

高見沢「これまで、無観客というのは経験がなかった。お客さんが2人というのはありましたけど(笑)」

坂崎「一応、2観客ね。ひとりもいなかったら、やめちゃえばよかったんですけど」

桜井「水着の方が2人いらしたので」

高見沢「プールサイドのステージだったから(笑)。『メリーアン』を発表する前に、そういうことがありましたね。今回、ライブを配信という形でお届けしましたが、配信でライブ以外にも僕らができることを考えていますよ。ALFEEが普通にできることは何か? しゃべりだ! と(笑)」

坂崎・桜井(爆笑)

高見沢「無口な人間はいませんからね。さすがに芸人さんほど、うまくできませんけど、ミュージシャンの中では話せるほうですから」

坂崎「そこを生かしていこうかなと思っています(笑)」

これまでステージに立つことでできていた体調管理。どうしている?

坂崎「調子が狂いますよね」

桜井「1本、1本ステージに立つことでクオリティーも上がってくるし、のども身体もできあがっていく。それが、リハーサルをやっただけで終わっちゃったから」

高見沢「僕は自宅で自主トレーニングしていますよ。3人ともアウトドア派じゃないので」

坂崎「それぞれ、うまいこと時間を使っている。僕は、自粛期間にインスタグラムを始めました。ちょうど、4月15日の誕生日から。インスタって写真がメインじゃないですか、以前から向いていると言われていたんです。写真が好きなので」

桜井「僕は、何も始めていないです。“断捨離”をする人が多かったようですが、急にゴミの量が増えて、収集する方が困っていたようなので。後で考えようと思ったら、最近、暑くて考えるのも面倒になっちゃって(笑)」

デビュー50周年まであと4年は長い? 短い?

桜井「4年なんて、すぐですって。今年、何もしていないのにもう9月。でも、40周年からが早かったね」

坂崎「そう、あっという間」

桜井「武道館で40周年をやって、大阪城ホールで45周年」

高見沢「4年後、どうなっているか興味があるよね。例えば、(高見沢が所有する)ギターの本数が600いくかな? とか」

坂崎「いくだろう」

桜井「限界だから減らしたいって言って、550本超えているんだろ?」

高見沢「いらないギターがないんだよね。ゴジラとかヤッターマンとか変形ギターも多いし」

坂崎「5年使わなきゃ、いらないでしょ」

桜井「売っちゃえば」

高見沢「週刊女性で売りましょうか(笑)」

『友よ人生を語る前に』9月2日発売
初回限定盤A〜C、通常盤ともに1100円(税込み)