弱い熱でじっくり火を通す低温調理をしたことがありますか?

「温度の管理や時間がかかって難しそう。」そんな印象もありますが、炊飯器で手軽にできるとしたらやってみたくありませんか?

今回は、炊飯器で低温調理が手軽にできる方法と注意点を載せていきます。
レシピもありますので、参考にしてくださいね。

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■低温調理は炊飯器でもできる?
専用の調理器具を買うのは、ハードルが高そうですが、炊飯器で手軽に始めることができます。炊飯器で低温調理はどのようにすればいいのでしょうか。

・低温調理とは?


肉や魚などを低温でじっくり調理することによって、食材の水分やうま味を逃すことなく、しっとりとした料理に仕上げる調理方法です。
代表的な料理として、ローストビーフや鶏ハムなどが挙げられます。

65℃以上になると、徐々に肉のタンパク質が固くなってくるため、低温調理ならではの柔らかい食感を出すためには、なるべくこの温度を超えないように調理することが大事です。

炊飯器の保温機能を使う



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炊飯してしまうと、すっかり火が通ってしまうので、保温機能を使います。
保温機能の温度は70℃〜75℃くらいなので、低温調理としては高めですが、炊飯器によって温度の幅があるため、これくらいでちょうどいいでしょう。

炊飯器自体に低温調理機能はついていませんが、工夫や気を付けるポイントをしっかり押さえれば、簡単に調理することができます。

炊飯器で低温調理をするときのポイント

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炊飯器の保温機能を使うことはわかりましたが、どういったことに注意すればよいのでしょうか。

 

・温度計を準備する


炊飯器には、低温調理に適した一定の温度を保つ機能がついていません。温度管理を確実なものにするためにも、温度計を使って温度を管理する必要があります。

・保温機能で60℃〜70℃に保つ


細菌が発生しやすいのは40℃から50℃くらいの間です。細菌繁殖の温度は、置かれている状況によっても差が出てきますが、一般的にこれらが死滅するのは、60℃以上の温度で35分以上の加熱が必要になります。
温度管理を怠って、60℃以下になってしまわないようにしましょう。

・底に布巾を敷く



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炊飯器の熱源は底の部分だけなので、他の部分に比べると加熱が強くなってしまいます。
底に食材が直接ついてしまうと、その部分だけ火が強く通ってしまいムラができてしまうので、布巾を敷いて加熱の強さを弱めるように調節しましょう。

・途中でひっくり返す


そのまま具材を置いても下側だけが加熱されてしまいます。具材にまんべんなく熱がいきわたるようにするには、途中でひっくり返す必要があります。

炊飯器でできる低温調理レシピとポイント

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炊飯器で低温調理できる代表的なレシピを簡単にご紹介します。

・ローストビーフ


牛肉の下準備として、2時間ほど前に冷蔵庫から出し、常温に戻しておきます。
牛肉のかたまりをフライパンで焼き目がつくくらいに表面を焼きます。
1を耐熱性のあるジッパー付き袋に入れて、空気をしっかり抜きます。

40分〜1時間ほど、保温状態のまま放置します。この時に温度計で60℃〜70℃になっているかを確認し、下がりすぎて
いるようなら、再度熱湯を足します。
時間がたったら、袋から肉を取り出して30分以上冷まします。袋に入った肉汁はソースを作るときに使えますので、取っておきましょう。
お好みのソースを作って、切り分けたローストビーフの上にかけて完成です。

ポイントは、袋の空気をしっかり抜いて炊飯器に入れることと、適正温度を保つために温度計を使ってしっかりと確認することです。

・鶏ハム


ローストビーフ同様に鶏肉を常温に戻しておきます。
鶏のむね肉をひらいて、同じくらいの厚さにします。
フォークなどでさして、塩コショウ、お好みでハーブをまぶしてなじませます。
鶏肉をくるくる巻いた後に外側をラップで巻いて、両端を輪ゴムなどでしっかり閉じます。
ラップで巻いた鶏肉を、耐熱のジッパー付き袋に入れて空気をしっかり抜きます。
保温状態にした炊飯器に80℃〜90℃くらいのお湯を入れて、4を入れます。
65℃〜70℃くらいを保てるようにして、1時間〜1時間半くらい保温します。
時間がたったら、粗熱を取って出来上がりです。

鶏肉は熱を加えるとパサついて食感が悪くなりますが、低温で仕上げることで、ジューシーになり、おいしく食べることができます。
鶏肉は牛肉よりも食中毒の原因菌がついていることが多いため、温度の管理には一層の注意が必要になってきます。

・じゃがバター



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じゃがいもを洗い、芽を取っておきます。
保温状態の炊飯器に少し多めの熱湯をいれ、その中にジャガイモを入れます。
そのまま1時間〜2時間ほど待てば、ジャガイモがゆで上がります。
バターや塩を振って完成です。

野菜も低温調理で作ることで、肉同様に素材本来のうま味を引き出すことができます。
ジャガイモに火を通すために、80℃くらいの温度にするのがベストです。肉に比べると高い温度設定なので、熱湯を多めに入れるとよいでしょう。

炊飯器で低温調理する際の注意点

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・殺菌に注意


細菌が繁殖しやすい温度に近い温度で調理するため、食中毒に気を付けなくてはなりません。
食中毒の原因菌は40℃から50℃くらいの間で発生しやすいと言われています。
殺菌の基本は「60℃で30分」で完了しますが、温度が低めであれば時間を長くする必要があり、逆に高ければ短時間で殺菌が完了します。

・中心部までよく熱を通す


中まで火を通さないと食中毒の原因菌が繁殖してしまいます。

しっかり中まで熱を通すために、調理する前に食材を常温に戻す必要があります。肉の塊などは2時間ほど常温に置いておくとよいでしょう。
冷蔵庫から出してすぐに調理に取り掛かると、炊飯器の中のお湯の温度が下がり、食材の中心部まで熱が入らない場合がありますので注意してください。

また、食材をあらかじめ袋に入れることで、中心部まで均等に熱がいきわたりやすくなります。その際、袋の中の空気をストローなどでしっかりと抜き、真空状態にすることが重要です。

・設定したい温度の水を用意する



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保温状態の炊飯器に水を入れても、設定したい温度まで上げることはできません。食中毒の原因にもなるので、水から入れるのはやめましょう。
80℃のお湯で保温したければ、炊飯器には90℃くらいのお湯を入れるとよいでしょう。保温したい温度のお湯より、少し高めのお湯を使うのがポイントです。

・炊飯機能は使わない!


炊飯機能を使ってしまうと、温度が100℃近くまで上がって低温調理ではなくなってしまいます。低温調理で必要ななのは、保温機能だけです。

炊飯機能を使うと、しっかり火が通ってしまい食材の柔らかさが失われてしまいます。

炊飯器を使って柔らかくてジューシーな料理をつくろう!

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本格的な低温調理がしたくなってくると、専用の調理器具が欲しくなるかもしれません。
でも、「たまにだけだから。」「手軽にやってみたい。」そんな人には炊飯器でできる低温調理は取り掛かりやすいですよね。

低温調理した料理は、見た目も豪華なものが多いですし、ずっと火のそばにいる必要もありません。
ガス台をふさぐこともないので、たくさんの種類の料理を作りたいときにも、取り入れたい調理方法です。

しっとりした食感やジューシーな味わいが特徴なので、やみつきになってしまうかもしれません。
ただし、食中毒を防ぐためにも温度管理には気を付けてくださいね。
(AYA)