by asmoth360

2000年代の終わりに多くのメーカーが生産を打ち切り、ソフトウェアの上書き保存ボタンなどに名残を残すばかりとなった記録媒体のフロッピーディスク(FD)が、2020年現在でも空の旅の安全を守るために使われていたことが分かりました。

Pen Test Partners: Boeing 747s receive critical software updates over 3.5" floppy disks • The Register

https://www.theregister.com/2020/08/10/boeing_747_floppy_drive_updates_walkthrough/

British Airways retires entire 747 fleet after travel downturn - BBC News

https://www.bbc.com/news/business-53426886

FDが航空機業界で現役だったことが判明したのは、2020年8月6日から開催された大規模なセキュリティカンファレンスである「DEF CON 28」でのこと。イギリスのセキュリティ会社PenTest Partnersで働くKen Munro氏とAlex Lomas氏が、ボーイング747-400型機に乗り込んで航空機の通信設備について解説したムービーを公開したところ、そこにFDが登場したことが話題となりました。

当該ムービーはYouTubeで公開されていて、飛行機でFDが使用されていた様子を見ることができます。なお、FDに言及するのはムービー開始から7分48秒が経過したあたりからです。

DEF CON 28 Aerospace Village: 747-400 Walk through From a Hacker’s Perspective - YouTube

Munro氏らが、通信設備を見学するためボーイング747-400型機のアビオニクスベイに入ってみたところ、3.5インチフロッピーディスクドライブ(FDD)のスロットを発見。



隣のラックに残されていたFDを取り出して……



スロットに差し込むとこんな感じ。



Lomas氏によると、このFDはナビゲーションデータベースのアップデートに使用されていたとのこと。データベースは28日ごとに更新しなければならないため、このボーイング747-400型機を担当していたエンジニアは毎月FDDを使用していたことになります。

「ハイテクジャンボ」ことボーイング747-400型機は、1988年に初飛行、2009年9月に生産を終了していますが2020年現在でも使用が続く機体です。しかし、その運用数は減少傾向にあり、2020年7月には同機保有数が31機で世界最多だったブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が全機の退役を決定しました。

BAは当初、2024年までボーイング747-400型機を運用する計画を発表していましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生に伴う航空需要の低迷を受けて、予定を前倒ししたとのこと。BAの広報担当者は、「COVID-19の影響により、壮大な『空の女王』だったこの航空機が我が社の商業サービスで活躍することはもうありません。我々がボーイング747型機を全機退役させることを発表しなければならないのは、悲しい限りです」とコメントしました。

「航空業界にとって新型コロナウイルスによる損害は9.11よりもひどい」として各国が航空業界への支援を表明 - GIGAZINE



旅行データ会社Ciriumの調べによると、2020年7月の時点でも約500機のボーイング747が現役で活躍しており、そのうち30機が旅客を乗せて飛んでいるとのこと。ほかにも、300機以上が貨物機として就航しており、残りは格納庫で保管されているとのことです。