新型コロナウイルス感染予防の手段として、日本でもすっかり定着したのが「ソーシャルディスタンシング」あるいは「ソーシャルディスタンス」という言葉だ。

具体的にどれくらいの間隔をあければ良いのかを示すために、様々な場所でいろんな例を使って2メートルという距離が視覚化されている。

その中には、こんなにユニークな2メートルの表現も......


夕暮れさんのツイートより

こちらは、新潟県柏崎市の自然公園「柏崎・夢の森公園」の園内に掲示されている看板。

「ソーシャル・ディスタンスのご協力お願いいたします」というメッセージの下には、

「ウサギの小腸は2〜2.5メートルある」

とある。「ネイチャージャストディスタンス!」と書かれていることから、自然界にある「2メートル」を探した、ということなのだろう。

しかし、ウサギの小腸を見たことがあり、さらに小腸を伸ばしたことがあるという人は、世界にどれくらいいるのだろう。おそらく多くの人にとっては全くピンとこないに違いない。

ツイッターユーザーの夕暮れ(@yu9re8)さんが2020年5月18日、この写真を投稿すると人々の関心を集め、

「...なぜ、その例え...?」
「勉強にはなるけど...!!な、なにやら怖いぞ...!」
「サイコパスかよ」

など、なぜ腸で説明したのか不思議に思う人が続出した。

製作者「2メートルと聞いて、真っ先に...」

はなぜ、このようなユニークな看板を立てているのだろう。Jタウンネット編集部は22日、柏崎・夢の森公園を取材した。

同園展示部長の小池梓さんによると、掲示を始めたのは8日。3万本を超えるカキツバタが今まさに見頃を迎えている「カキツバタの水辺」までの道や、ザリガニ釣りができる人気スポットに、ソーシャルディスタンシングや三密に関する看板を掲示しているという。

いずれも園内に生息している動植物に関する情報が書かれているそうだ。


アオダイショウは最大2メートルまで大きくなる(柏崎・夢の森公園提供)

「私自身が生き物好きということもあり、ソーシャルディスタンス2メートルと聞いたときに真っ先に『アオダイショウの長さくらいね』と思っていました。
その後、カキツバタの咲く時期は多くの方が来園するため、密やソーシャルディスタンスの案内看板を設置する必要になりましたが、来園者される方もきっとこのソーシャルディスタンスについては聞き飽きているだろうし、せっかく来園してくれたのだから少しでも楽しい気持ちでソーシャルディスタンスに協力してもらえればと考えたときに、アオダイショウのことを思い出しました」

と小池さん。

そこから、動植物のことを面白く、楽しく知ってもらえるように園内にある「2メートル」を探し、見た人が思わずツッコミたくなるようなデザインで「ネイチャージャストディスタンス!」シリーズの看板を作っていったという。

ちなみにウサギは、同園の園長と園長代理をミニウサギの「おはぎ」(園長)と「ダイリ」(園長代理)が勤めていることから採用したそう。

ウサギの小腸の長さとアオダイショウの体長の他にも、セイタカアワダチソウの高さ、1オオハクチョウが翼を広げたときの大きさ、クロオオアリの巣の深さに関する看板で注意を促しているという。


オオハクチョウの羽を広げた大きさ約2メートル25センチ(柏崎・夢の森公園提供)

小池さんによるとユニークな看板は来園者から好評のようで、日頃からよく公園を利用する人からは、「面白くて笑っちゃった」と声をかけられたそう。

ウサギの小腸のポスターがツイッター上で話題になったことについては、

「ここまで話題になるとは思っていなかったので、とても驚いています。
生き物や自然のことは、人間の生活に深く関わっていますが、一般の方から見ればまだまだあまり興味を持たれない世界の話であるので、今回このような形で多くの方の目に止めていただけたことを嬉しく思います。
うさぎの小腸が2メートルという他にも『草食動物の腸は長い』など動植物の生態についても紹介している看板になっているのでそちらにも目を向けてもらえると幸いです」

としていた。

25日には政府による緊急事態宣言が全面解除されたが、引き続き県をまたいでの移動は避けるよう求められている。同園のフェイスブックページでは、看板やカキツバタの写真が公開されているので、行ってみたい、と思った人はぜひ、そちらでチェックしていただきたい。