ニッポンのおいしい、いただきます! 〜能登産原木生しいたけ「のと115」〜
加賀野菜だけじゃない⁉能登の伝統野菜の魅力に迫ります
食欲&物欲旺盛なおうちごはん編集部とその仲間たちが、日本全国にある「おいしいモノ」を発見していく新企画『ニッポンのおいしい、いただきます!』。
まだまだ知られていない日本のおいしいモノを紹介していきます。
ニッポンのおいしい、いただきます!のまとめ
いよいよ最終回を迎えるVol.5の今回、どの野菜をご紹介しようかと調べていく中で、石川県には”幻のしいたけ”と呼ばれる最高級のしいたけがあるとの情報を聞きつけました。金沢と同じ石川県ですが、そのしいたけが栽培されているのは奥能登。
そこで今回は、加賀野菜……ではないのですが、同じく石川県の伝統野菜である能登の野菜に注目し、まさにこれから旬を迎えるという能登産の原木しいたけ『のと115』と、その最高品種である『のとてまり』についてご紹介します。
Vol.5 『のと115』
産地:奥能登の珠洲市・輪島市・穴水町・能登町
収穫時期:12月〜3月末
しいたけの栽培方法は、大きく2種類あります。クヌギやコナラなどの広葉樹の原木を利用する原木栽培と、おが粉に栄養分を添付した培地での菌床栽培です。近年は菌床栽培に移行する生産者が多くなってきているそうなのですが、今回ご紹介する『のと115』は、能登の気候風土に適して大きく育てられた原木しいたけです。
奥能登で多く栽培されている原木しいたけ『のと115』は、優れた品種として近年注目を浴びています。このしいたけの特徴は、直径が10cm前後に成長していて肉厚であること。私たちがよくスーパーで見かける一般的なしいたけに比べると、かなり大きくて肉厚である分、水分が多くなりやすく栽培が難しいんだそう。しいたけは水分が少ない方が美味しいとされているので、水分量を調節するために、生産者の方々が一つひとつ丁寧に育てあげているんです。
▲写真左:のと115、写真右:一般的なしいたけ
その特徴をあらかじめ聞いてはいたものの、それでも『のと115』の実物を見て、その大きさにびっくりしました! 一般的なしいたけと比べてみると、大きさと厚さの違いがよくわかります。
半分にカットして断面を見てみると、その肉厚具合がとてもよくわかりますよね。分厚い……! 「こんなしいたけ見たことない!」と、おうちごはん編集部のメンバーからも歓声があがりました。
幻のしいたけと言われる『のとてまり』
奥能登原木しいたけ『のと115』の中でも、特に優れた特秀品があります。『のとてまり』としてブランド化され、栽培の難しさ、収穫量の少なさから“幻”とも言われる最高級の生しいたけです。
厚さ・香り・歯ごたえともに最高級で、傘の直径が8cm以上であること、傘の厚みが3cm以上であること、傘の巻き込みが1cm以上であることという、3つの規格を満たしたもののみが、『のとてまり』として認定されます。さらに、形はほぼ球形で揃っていて、われなども無いんだとか。別名、「山のアワビ」とも呼ばれているそうです。
のと115を使ったレシピをご紹介
なかなかスーパーではお目にかかれることのないこの大きな肉厚しいたけ、さてどうやって味わいましょうか。大きなしいたけを目の前にして、ついついテンションが上がってしまいます!
今回も、@cao_lifeさんにご協力をいただき、『のと115』を使ったレシピを2品考案いただきました。おうちごはん編集部で味わってみた感想と合わせて、@cao_lifeさん考案のしいたけレシピもご紹介します。
岡山県在住。「おいしいモノ」「たのしいヒト」に出会うことがとにかく大好き。
おいしいモノの情報収集には余念がなく、気になったらまずは試してみるのがモットー。一目会えば、誰もが彼女の魅力にハマり、またすぐ会いたくなる、そんなオーラをまとった人気のインスタグラマー。
@cao_lifeのInstagram【1品目】のと115と海老のアヒージョ
・のと115……2個
・無頭海老……12尾
・芽キャベツ……8個
・にんにく……2個
・鷹の爪……適量
・塩……小さじ1/2
・オリーブオイル……200〜250cc
・イタリアンパセリ……適量
・黒胡椒……適量
・バゲット……好きなだけ
1. 海老は殻を剥き、背ワタを取る。のと115は軸を取って6〜8等分に切る。芽キャベツは半分に切る。にんにくは薄切りに、鷹の爪は輪切りにする。
2. スキレットか小さい鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかける。香りが出たらのと115と海老と鷹の爪を加える。3分ほど加熱したら芽キャベツを加えて上から塩を振り、2分ほど煮込む。
3. 火を止め、みじん切りにしたイタリアンパセリを散らし、黒胡椒を挽く。スライスしたバゲットを添える。
大きなのと115を使って、今までに食べたことのないような、ボリュームたっぷりのアヒージョを作ってみました。今回は6つ割にしましたが、それでも標準サイズの海老よりも大きく、ものすごく食べ応えがあります。食べやすさから言うと8つ割が良いかも。のと115ではなく標準サイズのしいたけなら半分に、小さめのしいたけなら丸ごとで作るのが美味しそうです。
【2品目】のと115の肉巻きフライ
・のと115……2個
・大葉……2枚
・梅干し……1個
・かつお節(小袋)……1/2袋
・豚薄切り肉(今回はバラ肉を使用)……200g
・小麦粉……適量
・卵……1個
・パン粉……適量
・塩……適量
・黒胡椒……適量
・ベビーリーフ……適量
・レモン……1/4個
1. 梅干しは種を取り、包丁で叩く。かつお節を混ぜる。
2. のと115の軸を取り、かさの内側に1の梅かつおペーストを塗って、大葉をのせる。豚肉で全体を巻き、手で軽く握ってなじませる。
▲ひだの方に梅かつおペーストと大葉をのせ、豚肉を全体に巻いていきます。今回はバラを使いましたが、しゃぶしゃぶ用のロース肉などでも美味しいです。
3. 2に塩と黒胡椒を振り、小麦粉→卵→パン粉の順に衣をつける。
4. 揚げ油(分量外)を熱し、3をこんがりと揚げる。
5. 半分に切ってベビーリーフと共にお皿に盛り、レモンを添える。
ものすごく肉厚なしいたけなので、ジューシーさを生かしてみたいと思い、フライにしてみました。かなりボリューム感があるので、味が間延びしないよう梅かつおペーストと大葉を味のアクセントに。ボリューム満点のしいたけフライができました。作った後に思ったことですが、のと115はボリュームがありすぎたので、もう少し小さく切っても良かったなと。1/2個でも満腹になりました!
1枚で満腹!旨味も甘みも感じられる「のと115」
iPhoneXsの長さとほぼ同じ大きさの「のと115」!すっごーーーく大きいのです。※iPhoneケースは愛犬です(笑)。
半分に切って、私の手とほぼ同じ大きさです。厚みも測ってみたら5cmくらいありました。大きいので、1枚食べるともう満腹です。
でも決して大味ではなく、旨味も甘みもしっかり感じられて美味しい! 大きいしいたけは見たことがありますが、この厚みは初めてでした。そりゃジューシーなはずだ!
おうちごはん編集部も食べてみました!
しいたけステーキ
せっかく肉厚で大きなしいたけなので、まずはシンプルに焼いてステーキに。表面に切れ込みを入れ、オリーブオイルとガーリックソルトでソテーしました。
シンプルだからこそ、しいたけの旨味をじっくりと感じられます。一口食べた瞬間、みんなから「うまっ!」の声が……(笑)。これはもう間違いない美味しさです。
治部煮
石川県金沢市の代表的な郷土料理である治部煮。小麦粉をまぶした鴨肉を季節の野菜や特産のすだれ麩と煮合わせた料理です。肉にまぶした小麦粉が汁にとろみをつけ、旨味を閉じ込めます。
今回は鴨肉の代わりに、鶏肉を使って作りました。写真でもおわかりかと思いますが、煮込んだ後もしいたけの厚みはそのままなので、食べるとふっくらじゅわ〜っとしいたけの旨味を味わうことができます。わさびをつけて食べると、よくしみ込んだ出汁の味とあわさってこれがまた美味しい!
しいたけの肉詰め
最後に、大きなしいたけだからこそ作ってみたかった肉詰めにチャレンジ。生姜とネギと味噌を加えたたっぷりの肉だねを、肉厚しいたけの上にドーン。
手のひらにおさまらないくらいの迫力満点な肉詰めになりました。一人では食べきれないほどのボリュームなので、4等分して編集部のみんなで食べたのですが、それでもかなりの食べごたえ。お肉に負けないくらいの肉厚しいたけがジューシーで美味しく、お腹いっぱい!
これらの料理ではしいたけの軸の部分は使わなかったのですが、「のと115」の軸はかなり立派だったので、軸だけでもかなりのボリュームに。軸を割いてバター醤油で炒めていただいたのですが、これもまた美味しかったです。
幻のしいたけ『のとてまり』は今が旬!
今回ご紹介した『のと115』の最高級ブランドである『のとてまり』は、まさに今が旬。すでに出荷を開始しているので、インターネットでの購入も可能です! とても貴重なしいたけなので、ぜひ興味がある方は一度その美味しさを味わってみてはいかがでしょうか。
のとてまり2019年プレミアムの通販|サカイダフルーツ
5回にわたり、石川県の伝統野菜についてご紹介してまいりましたが、みなさんいかがでしたでしょうか?
加賀や能登など、石川県の気候が生み出すその土地ならではの美味しい野菜の数々に、おうちごはん編集部も毎回新しい発見をしながら、楽しくご紹介をさせていただきました。今まで知らなかった伝統野菜の魅力にたくさん触れ、改めて日本の農業のすばらしさや生産者さんたちの苦労や努力についても知ることができ、もっともっと日本全国の色々な美味しい食材について知り、読者の皆様にもお伝えしていきたいなという想いが強くなりました。
今後も、「ニッポンのおいしい」をたくさん発見してご紹介していきたいと思いますので、ぜひご期待ください。
さて、次回の『ニッポンのおいしい、いただきます!』では、京都の伝統野菜『京野菜』の魅力をご紹介します。お楽しみに!
(text by かねこま)
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おうちごはん編集部 担当:金子宛