オイルにも旬が!小豆島のオリーブ農家「井上誠耕園」でオリーブ収穫体験/後編
摘みたてのオリーブ果実からオイルを搾る「搾油」工場へ
毎年5月下旬から小さな白い花が咲き始め、9月中旬〜11月下旬頃まで収穫が行われる香川県小豆島産のオリーブ。今回、オリーブ農園での収穫体験とオリーブオイル作りの現場を見学させていただける貴重な機会をいただき、おうちごはん編集部のかねこまとmicoが取材に行ってきました。
手摘み収穫体験や摘みたての果実を熟度や大きさなどによって選別する選果作業を通じて、オリーブ栽培へのこだわりや奥深さを改めて実感したPart1に続き、今回は収穫して間もないオリーブの実からオイルを搾る「搾油」の過程と、秋に収穫される新鮮なオリーブの実を浅漬けにした数量・季節限定の人気商品「小豆島産新漬けオリーブ」についてご紹介します。
すべて手摘み!小豆島のオリーブ農家「井上誠耕園」でオリーブ収穫体験part1まずは選別された実を水で洗浄
白衣や帽子などを着用して防菌対策をしたうえで、私たちも搾油場に入れていただきました。足を踏み入れた途端、フレッシュなオリーブオイルのなんともいえない香りが! この時点ですでにおいしい香り(笑)。
なたねや大豆、ひまわりなど他の植物油は種子から搾るので、原料の保存や長距離運搬が可能ですが、オリーブオイルは果実から搾る油であることが最大の特徴で上質なオイルを作るには鮮度がいのち!
収穫した実の状態や保管状況、製造工程によって風味に欠陥が現れるデリケートな一面も配慮して、井上誠耕園ではPart1でもご紹介したように収穫後24時間以内に選果を行い、園地内の搾油場で搾油しています。
オリーブをペースト状に粉砕
洗浄したオリーブはこちらの粉砕機の中へ。大きな音を立てながらペースト状になったオリーブの果実は攪拌した後、遠心分離機にかけて水分と油分に分けられます。
「オイルを搾った後に残ってしまうオリーブの搾りかすはどうしているんだろう?」
粉砕された果実のその後が気になってスタッフの斉藤さんに伺ってみました。
この時生まれる搾りかす「オリーブペースト」には抗酸化成分などオイルにも劣らない栄養分が含まれているんだそう! そこで井上誠耕園では、通常捨てられてしまうオリーブペーストを余すことなく使い切りたいという想いから、堆肥にしたり、井上誠耕園がブランド豚として販売している「オリーブ緑果豚」などの飼料として使われているそうです。
オリーブオイルの製造過程で生まれるオリーブペーストの活用を長年の課題として掲げ、取り組んできたスタッフの方々のこだわりと情熱がひしひしと伝わってきました。
丁寧な濾過へのこだわり
生の果実であるオリーブは摘んだ時から少しずつ劣化が進んでしまうため、収穫後できるだけ早く搾油をして、オイルにストレスがかからないよう時間をかけてゆっくり濾過することにこだわっています。
最高の実を、最高の状態で搾る
摘みたての果実を粉砕して搾り、油分だけを取り出したものがこちら。搾油機から流れ出てくる搾りたてのオリーブオイルからは、なんとも言えない芳醇な香りが漂っています。
なんと、搾油したてのオリーブオイルを試飲させていただきました! 鼻に近づけると、若い果実ならではのフレッシュで若草のようなさわやかな香りが。搾りたてをいただけるなんて、とても贅沢な体験!
最高の実を、最高の状態で搾り、“正しいおいしさ”を味わう。搾りたての味と香りを届けたいという想いの元、井上誠耕園の皆様は最高の製品作りに取り組んでいらっしゃるんだなと実感しました。
年に一度のとっておき「小豆島産新漬けオリーブ」
「オリーブオイルって少し独特のクセがあったりして、なかなか日本人の方に馴染んでもらえなくて……。お客様にオリーブを味わってもらうにはどうしたらいいだろうと試行錯誤したんです。当時は海外ではピクルスや酢漬けというものが主流だったんですけど、それも日本人の口にはなかなか合わなくて、市場があまり伸びませんでした。そこで小豆島の人たちの試行錯誤の結果、この新漬けが誕生したんです。(スタッフ斉藤さん)」
小豆島のオリーブを一人でも多くの方々においしく味わっていただきたいと試行錯誤して誕生した「オリーブの新漬け」。一年のうちわずか数週間しか収穫できない緑色の若い果実が使われており、小豆島産の新鮮なオリーブ本来の味わいが堪能できる季節限定の人気商品。
この日は、アザパ、マンザニロ、ピクアルの3品種で作られた新漬けを試食させていただきました。初めて食べる「オリーブの新漬け」、一体どんな味なのでしょうか?
肉厚でジューシーな食べ応え「アザパ」
毎年9月中旬頃から収穫時期を迎える「アザパ」は、新漬けとしては一番早く収穫される品種。かなり大粒な果実は食べ応えがあります。
やわらかく、果肉が食べやすい「マンザニロ」
実は「小さなりんご」といわれ、大きめのコロンとしたかわいらしい実を付ける「マンザニロ」。小豆島の新漬けの定番品種で、食感がやわらかくて食べやすいのが特長です。
コリコリとした食感がクセになる「ピクアル」
香りがよく良質なオイルが採れることから、井上誠耕園の緑果オリーブオイルにも使用されている「ピクアル」。
手が止まらなくなるおいしさ
フレッシュオリーブならではのスパーシーさもありながら味わいもよく、しっかり歯ごたえのある固めの食感がとても私好みで、もう一つもう一つとついつい手が出てしまいました(笑)。こんな風にオリーブを食べたのは初めてでしたが、オリーブそのもののおいしさにびっくり! サラダや前菜にしてもよし、お酒のおつまみにもぴったりです。
ちなみにこの日手摘み収穫して熟度や大きさなどをみんなで仕分けしたオリーブも、これから1週間くらいかけて渋抜きと塩水漬けを行って、新漬けという商品になるそう。実際にオリーブ畑で収穫した果実で作られる新漬けの完成品も食べてみたいな〜!
小豆島産100%エキストラヴァージンオリーブオイル「緑果」
「今日ミッションという品種のオリーブを収穫していただいたんですが、ミッションも含めた小豆島産のオリーブを使った小豆島産緑果というオイルが毎年11月に発売になります。今年も搾りたての無濾過のものをゆっくりと丁寧に濾過しまして、雑味やえぐみを取り除いたすっきりとした味わいのオイル、今年の初搾りの小豆島緑果ですので、ぜひ試飲されてみていただけたらなと思います。(スタッフ斉藤さん)」
小豆島産「緑果」は、完熟する一歩手前の緑色の果実を搾った貴重なオイル。若草のようなさわやかな香りで、オリーブポリフェノールが完熟した実よりも多く含まれており、少し辛口でキリっとした味わいが特長です。
2019年初搾りの小豆島産「緑果」を試食
今年の初搾り、貴重な小豆島産「緑果」がこちら。若い果実ならではのきれいな緑色が本当に美しくて、なんともいえないフレッシュな香りが。
新鮮だからこそ、ちょっとピリッとするようなスパイシーさも感じられて、そのまま試飲してももちろんおいしいのですが、パンと一緒に食べるのがおすすめとのことで、自家製の生食パンとともに2019年初搾りの緑果を堪能しました。
井上誠耕園の本格ベーカリー「菊太郎」
今回小豆島産オリーブの新漬けと緑果オイルの試食させていただいた、園内にある昨年8月にオープンばかりのベーカリーカフェ「菊太郎」。
「オリーブ、柑橘製品を楽しんでもらうため、おいしいパンを作りたい!」という三代目園主の想いから誕生したこちらのお店では、先ほど試食させていただいたふわふわもちもちの生食パンなど、井上誠耕園のオリーブオイルや自家製ジャムに合うとびきりおいしい焼きたてパンが作られています。
小豆島の自然の素晴らしさや豊かさを共有しながら、農作物の価値を広めたい
農業を通じて、オリーブの島・小豆島を訪れる方々に楽しんでいただきたい、農家らしく小豆島らしいおもてなしをするための場所を作りたいとの想いから開発を進め、2017年にオープンした「らしく本館」。
1階にはオリーブのある生活を提案するスタイルショップ「井上誠耕園 THE STYLE SHOP mother's」、2階には自社のオリーブオイルと製品、自園の果実を使ったスイーツが楽しめる「レストラン 忠左衛門」を併設しており、今後も宿泊施設の整備など中長期滞在で小豆島とオリーブを総合的に楽しめる観光スポットとして充実させていくそうです。
農業体験も実施中!
井上誠耕園では、小豆島に来たからこそ楽しめる“収穫体験”や、採れたて搾りたてのおいしさが堪能できる“お食事プラン”など、実りの秋を満喫できる『収穫祭』を開催中! 日程や申し込み方法など詳細についてはホームページをご覧ください。
井上誠耕園の収穫祭!果実と触れ合える『農業体験』と実りの季節のおいしい『お食事プラン』をご用意します! | メディアの皆様へ|井上誠耕園ひとつひとつ丁寧に、心を込めて
「品種によっても味が違い、同じ品種でも作る風土とその風土の中に住む人たちのライフスタイルがそこに入っていく。栽培方法や長年にわたっていろいろ伝え聞いてきたフィロソフィーによって、同じ品種でも味が違うんです。さらに、世界には2000種もの品種がある。日本にワインがこんなに定着したように、オリーブにも奥深さというかロマンがいっぱいあるんですよ。同時に、日本はこれだけこれだけ北から南いろんな気候風土がある中で、オリーブだけではなくすべての農作物が、農家さんが非常に手間暇をかけて試行錯誤しながら作っているんですよ。みなさんが当たり前に食べる食事、実はそれらはロマンのかたまりなんやと。それらをね、センスよく伝えたいな。(三代目園主井上さん)」
品種によってオイルの味や香りが異なるだけでなく、果実の熟度や育った土地の風土、収穫した年の気象条件、農園主の栽培に対する考え方や育て方によっても全く味が違う。なるほど、知れば知るほどオリーブって奥が深い……。
「祖父の口癖を決して忘れることなく、農家だからこそ作ることのできる、人々の健康に役立つ良質なものを、ひとつひとつ丁寧に、心を込めてお届けするのが私たちの役目だと感じております。(三代目園主井上さん)」
出典:https://www.inoueseikoen.co.jp
「人と人とのつながり」を大切にしながら、オリーブと柑橘の栽培から加工・販売まで、心を込めてひとつひとつ丁寧に行っている井上誠耕園。今回、オリーブの収穫体験を通じて、三代目園主井上さんやスタッフの皆様からオリーブ栽培にまつわるお話を聞けば聞くほど、オリーブ作りの奥深さを実感し、ロマンあふれるオリーブの魅力に引き込まれていきました。貴重な体験をさせていただいた井上誠耕園のみなさん、大変お世話になりありがとうございました!
井上誠耕園の直営店やネットショップには、旬を迎えたこの時期しか味わえないオリーブの新漬けや貴重な小豆島産緑果オリーブオイルなど、今だけのとっておきがいっぱい揃っています。ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね!
オリーブオイルを小豆島の自然農園「井上誠耕園」よりお届けします | 井上誠耕園