18年前に鼻の穴に隠したマリファナが石となって発掘される
by derneuemann
鼻の穴に何かを詰め込んだり、食事中にむせたりすると、鼻の奥に異物が入り込んでしまうことがあります。通常は咳き込んだりくしゃみをしたりすることで鼻の奥から異物を追い出すことができますが、ある男性が鼻の穴に隠したマリファナ(大麻)の塊を18年間も放置し、その後「大麻が石になって鼻の奥から取り出された」という事件が報告されています。
A nose out of joint: first reported case of prison-acquired marijuana-based rhinolith | BMJ Case Reports
Here’s what happens when you leave marijuana up your nose for 18 years | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/10/marijuana-smuggled-in-mans-nose-and-forgotten-for-18-years-turned-to-stone/
鼻の奥からマリファナの化石が発掘されたのは、48歳のオーストラリア人の男性。男性は2002年当時、刑務所に服役しており、男性の元に面会にきた恋人からゴム製のカプセルに包んだごく少量の大麻をこっそり受け取り、刑務官の目から逃れるために鼻の穴に詰めて隠しました。
しかし、男性が大麻を取りだそうとした時、誤って大麻のカプセルを鼻の奥に押し込んでしまったとのこと。一向に大麻が鼻から出てこないため、男性は「きっと間違って飲み込んでしまったのだろう」と思い込み、しばらくすると大麻のことはすっかり忘れてしまったそうです。
人間の鼻の奥には鼻腔という空間が広がっていて、鼻腔に隣接する副鼻腔は鼻腔と小さな穴で連結しています。副鼻腔で雑菌が繁殖すると副鼻腔炎を起こし、鼻腔につながる穴がふさがって副鼻腔に膿(うみ)がたまったり、気道がふさがって息苦しくなったりといった症状がみられることもあります。
男性が押し込んだ大麻入りカプセルは鼻腔の奥に引っかかっており、副鼻腔炎を引き起こして出所後の男性を長年にわたって悩ませました。副鼻腔炎は次第に重症化し、特に鼻の右側で呼吸するのが困難なほど症状が悪化していたとのこと。
やがてひどい頭痛にも悩まされるようになった男性が脳のCTスキャンを受けたところ、担当医師は男性の右鼻腔の奥に19mm×11mmの小さな石の塊を発見。この石の塊こそ、18年前に男性が鼻の穴の奥に押し込んでしまった大麻のカプセルでした。ゴム製だった大麻のカプセルは、18年の時を超えてカルシウム塩やマグネシウム塩がまとわりつき、石のようになっていたというわけです。その後、男性の手術が全身麻酔下で行われ、18年間鼻腔の奥に眠っていた大麻のカプセルがついに男性の鼻の穴から取り除かれました。
by StayRegular
骨の破片や血栓、固くなった鼻くそ、植物の種子、ビーズ、ボタンなど、鼻腔から異物が結石となって取り出される「鼻石」はこれまでにも多く報告されていたそうで、その記録は1654年までさかのぼることができるとのこと。また、2007年の研究では、「ナイロンシートに包まれたアヘン」が鼻石となって、成人男性の鼻の奥から摘出された例が報告されています。しかし、麻薬の売人や密輸業者は、取り出しやすいように「薬を飲み込んで胃の中に隠す」のがほとんどであり、わざわざ鼻の穴に隠すようなケースはまれだとのこと。そのため、今回のように鼻の奥から麻薬が石となって取り出されるケースは非常にレアだといえます。
なお、男性は医師から取り出した石を見せられていくつかの質問を受けた時にようやく、18年前に鼻にマリファナを詰めたことを思い出したそうです。手術を受けて3カ月後、男性は10年以上患っていた副鼻腔炎が完治したと医師に報告しました。