今年10月に増税が予定されている消費税。政府や大手メディアは「社会保障費財源確保のため必要不可欠」とし、日本が財政赤字に陥ったのも少子高齢化に起因する社会保障費の増大によるものという論調で語られますが、果たしてそこに疑いが入る余地はないのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんが自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、日本を財政赤字国家にした真の理由を暴露しています。

「日本の財政赤字は社会保障費が原因」という嘘

今年の10月から消費税が増税されます。この消費税の増税については、世間の人はみな観念しているようです。「少子高齢化のためにここまで財政が悪化しているのだから仕方がない」とみなさん思っているようです。これまで政治家や財務省は「高齢化社会を迎え、社会保障関連費が増大したために、赤字国債が増えた」などと喧伝してきました。大手新聞社をはじめとするマスコミも、これを大々的に吹聴してきました。でも、これは実は真っ赤な嘘なのです。それは国の財政データをちゃんと見ていけば、猿でもわかる話です。もう、本当にこの話ほどあきれるものはないのです。

日本の財政というのは、1990年代初頭までは非常に安定していたのです。1988年には、なんと財政赤字を減らすことに成功しているのです。財政赤字を減らしたということは、収入(歳入)が支出(歳出)を上回ったということです。これは「プライマリーバランスの均衡」と言われており、先進国では最近はあまり見られないような財政の良好さなのです。この「プライマリーバランスの均衡」はしばらく続き、1990年代の初頭には、財政赤字は100兆円を切っていたのです。が、バブル崩壊以降の90年代中盤から財政赤字は急増し、2000年には350兆円を超え、2010年には650兆円を超え、現在は850兆円を超えています。このデータは、政府が発表しているものなので、誰もが確認することができます。

データを見れば、財政赤字はバブル崩壊以降に急増しているものであり、1991年からの10年間で600兆円も増えていることがわかります。この90年代に生じた600兆円の財政赤字が、この20年で利子がついて、現在の850兆円の財政赤字になっているのです。

ところで、赤字国債が急増した1990年代、社会保障関係費というのは、毎年15兆円前後しかなかったのです。当時の税収は50兆円前後だったので、15兆円程度の社会保障費はまったく問題なく賄えていたのです。だから、90年代に積みあがった600兆円の財政赤字が、「社会保障関連費のため」であるはずは絶対にないのです。

なぜ1990年代で、財政赤字が増大したのでしょうか?その答えは、公共事業です。1990年代、日本は経済再生のためと称して狂ったように公共事業を行ないました。その額、630兆円です。1年あたり63兆円です。このバカ高い公共事業費630兆円がそのまま赤字財政となって今の日本の重石となっているのです。このデータを見てどうやって「財政赤字の原因は社会保障費」などと言えるのか、筆者は不思議でなりません。「財政赤字の原因は社会保障費」などとさんざん吹聴してきた財務省の官僚たち、大手新聞社には、ぜひこの問いに答えてもらいたいものです。そして、読者のみなさんにも、ぜひ肝に銘じておいてもらいたいのです。財務省や大手マスコミというのは、これほど見え透いた嘘を、これほど堂々とつくものなのだということを。

消費税を払わずに買い物をする方法3

2017年の7月号(「元国税調査官がこっそり教える、定年後の税金を安くする裏ワザ」では、国際空港の免税店を使って消費税を払わずに買い物をする方法をご紹介しました。その方法というのは、大まかに言うと以下のようなことです。

海外旅行をするとき、日本の国際空港で入管を通った後、空港内で買い物をすれば免税になります。が、その免税品は20万円以上であれば、日本に戻ってきたときに入管で税金を払わなければなりません。自分の持ち物なのか、出発前に空港で購入したものか、普通、区別はつきにくいので、見過ごされることがけっこう多いということです。

ただこの方法は、「見過ごされやすい」というだけであり、本当に消費税を逃れる方法ではありません。見つかったら、きっちり消費税を払わなくてはなりません。だから今回は、本当に消費税を払わずに買い物をする方法をご紹介したいと思います。

今回ご紹介する方法も、海外旅行を使います。で、今回ご紹介するスキームというのは、以下のようなことです。

先ほども述べましたように、日本の国際空港や、海外で購入した免税品は、合計20万円以上を購入した場合は、消費税がかかるという決まりになっています。だから、持ち帰った品物が合計20万円以上の場合は、本来は、入国する時に消費税を払わなければならないのです。

しかし、この免税品の持ち帰りについては、「一つ商品について合計の値段が1万円以下のものについては税金は課せられない」ということになっているのです。これは商品一個の値段が1万円以下ということではなく、その商品の合計額が1万円以下ということです。たとえば、1,000円のチョコレート10個ならば、1万円以下なので、消費税はかかりません。が、1,000円のチョコレートが11個ならば1万円を超えるので消費税がかかってしまうのです。

という具合に、一品目あたり1万円以下であれば、どれだけ買い物をしても免税になるのです。50万円でも100万円でも、免税になるわけです。もし日本で100万円の買い物をすれば、10万円の消費税がかかります。が、この方法を使えば、その10万円がかからなくて済むのです。高い商品を買うような買い物には向いていませんが、1万円以下の商品をたくさん買うような場合の買い物にはこの方法はかなり有効だといえます。

たとえば、1万円以下の化粧品を何種類も買ったり、1万円以下の服やアクセサリーをたくさん買うような場合は、この方法は使えるのです。そういう買い物をする女性ってけっこういますよね?

韓国に日帰りするような場合は、安いときは1万5,000円程度で済みます。韓国で15万円程度の買い物をすれば、元がとれるわけです。日本で買えば消費税が1万5,000円かかるわけですから。韓国だけじゃなく、中国や台湾などでも頑張れば日帰りできますし、安いチケットを探せば2〜3万円で納めることができます。消費税が10%になれば、韓国への爆買いツアーをするというのも手かもしれません。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)

image by: Twitter(@首相官邸)

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