美智子さまが築かれた“支えの精神”から考える、女性皇族の役割とは
お代替わりを控え、次の皇后になる雅子さまはもちろん、眞子さまや佳子さまが公務に励まれるお姿も頻繁に報じられている。
そんな女性皇族たちを導き、平成流の皇室を支えてきたのは美智子さまだ。
美智子さまは『温かいホーム』を実現
「美智子さまは史上初の民間出身の皇后陛下です。ご成婚パレードで投石されたり、批判にさらされたりもしましたが、いつも天皇陛下を立てて、支えてきました。お手本もなく手探りでやってこられたので、大変だったと思いますよ」
そう話すのは、ジャーナリストの渡邉みどりさん。日本テレビのプロデューサーとして皇室報道に携わって以来、美智子さまの奮闘を間近で見てきた。
「天皇陛下が夢にまで見た『温かいホーム』を実現。美智子さまは浩宮さまをご出産した4日目からマスクをつけ、ご自身で母乳をあげられました。以前、紀宮さまが使っていた東宮御所の8畳間を拝見したことがありますが、ベランダには洗濯機までありました。いずれ皇室を離れるからと、包丁使いなど家事もしっかり教えたんです」
平成17年に、那須へ静養に行かれた際、美智子さまは満蒙開拓団の生存者たちとの面会に、眞子さまを連れて行った。
「眞子さまは当時、中学3年生でしたが、美智子さまが誘ったそうです。昭和天皇の代の負の遺産を忘れず、戦争体験の継承に力を入れてらっしゃるんですよ。母・紀子さまも、結婚して最初の4年間は両陛下と同じ敷地内で暮らしていたので、美智子さまからいろいろ教えていただいたと思います」
次の天皇となる皇太子さまとはプライベートな場で何度か言葉を交わしたことがある。皇太子さまがコンサートでビオラを弾く姿を撮影したときのこと。
「渡邉さん、録音テープをください」
演奏が終わると皇太子さまが追いかけてきて、そう声をかけられた。飾らない物言いに、気さくな人柄だと感じたそうだ。
「雅子さまと一緒だと、笑顔でうれしそうにされている、お気持ちが伝わってきます」
立派なお手本がいらっしゃる雅子さまは幸せ
そんな皇太子さまの深い愛情が雅子さまの闘病生活を支えてきたのだろう。いまだ不安定な雅子さまが皇后となることを心配する声もあるなか、渡邉さんは、むしろ雅子さまが変わるきっかけになるのではないかと期待する。
「雅子さまには、美智子さまという立派なお手本がいらっしゃるから、とても幸せだと思いますよ。雅子さまは頭のいい方ですからね。美智子さまのお姿をご覧になってきたので、臨機応変にやっていけると思います。
それに英語だけでなく、フランス語もドイツ語もおできになる。ご体調がよくなれば皇太子さまを助けて、どんどん海外にもお出ましになるんじゃないですか」
現在、未婚の女性皇族は6人。現制度では、女性皇族は結婚によって皇室を離れるため、公務の担い手不足が懸念されている。
女性宮家の創設もたびたび議題になるが、渡邉さんは、「女性皇族が民間人になっても皇室を支えることはできる」と強調する。
「黒田清子さんは、天皇陛下の姉の池田厚子さんの後を継いで、伊勢神宮の祭主の仕事を年に150日くらいやっておられます。清子さんのように実家との太い絆があれば、外に出ても助けることはできますよ」
《PROFILE》
渡邉みどりさん ◎皇室ジャーナリスト。日本テレビに在籍中、昭和天皇崩御報道特別番組ではチーフプロデューサーを務めた