古舘伊知郎が「実況で息上がって死にそう」な状態に追い込まれた、渡辺大のひと言
渡辺大様
年末年始の特番をいろいろ担当させてもらっているが、うちの事務所、古舘プロジェクトの大将・古舘伊知郎が'19年1月5日の夜9時からぶちかます「古舘トーキングヒストリー 〜幕末最大の謎 坂本龍馬暗殺、完全実況〜」(テレビ朝日系)は本当にオススメである。
古舘さんが歴史の現場にタイムスリップして入り込み「歴史事件の実況」に挑戦するこの番組も大好評第3弾、今回は「忠臣蔵」「本能寺の変」に続き「坂本龍馬暗殺」の謎に迫る。
歴史ドラマの現場から中継で古舘さんが実況するスタイルのため番組はまずそのドラマ部分の脚本作りから始まる。選んだテーマを詳細にリサーチ。大まかな物語の流れを考え、脚本家の方に発注してドラマ台本にしてもらう。
我々放送作家があがった台本に想定実況部分を書き込んで、古舘さん本人も交え文言をブラッシュアップ。歴史学者の方の監修チェックを経て、2か月以上かかりやっと決定稿が完成する。
ドラマ部分の撮影には東映の時代劇班が全面協力。こちらも京都太秦での撮影から編集まで2か月以上かかってようやくできあがる。まだ終わらない。この番組はその歴史ドラマ実況VTRを見ながら選んだテーマの謎解明をフォローするスタジオ収録がある。結局、全て完成するのに半年以上と、最近のバラエティでは考えられない手間と時間がかけられているのだ。
今回、「坂本龍馬暗殺」をやるにあたり古舘さんのアイデアで寺田屋襲撃事件の際、龍馬が手負いの状態で命からがら逃げ九死に一生を得た8分間の逃走劇をワンカメ一発撮りで再現することになった。そう'18年を席巻した大ヒット映画「カメラを止めるな!」へのオマージュである。龍馬役には渡辺大さん。一緒に逃げた長州藩士・三吉慎蔵にはなんと本家「カメ止め」の監督役の濱津隆之さんがハマってキャスティングはバッチリ。
役者陣も、それに追随する実況者も撮影スタッフも少しでもミスるとまた最初から撮り直しという一大プレッシャーの中、古舘さんが「失敗を恐れずいこう!」と激を飛ばして撮影がスタート。なんとか最後まで撮り終えた。すると渡辺大さんが監督に熱く直訴。
「もう一回やらせてください!」
納得がいかなかったらしい。それを聞いた古舘さん、スタート前に全員に激を飛ばした手前、口が裂けても言えなかったが「いやいや、もう一回俺も実況やり直すの? 渡辺大くんはまだ34歳で若くて体力あるからいいけど、俺、64歳。息あがって今もう死にそうなんですけど」と心の中で思ったと後でこっそり教えてくれた(笑)。
結局、本編には撮り直しした2テイク目が使われている。寺田屋から深夜の京都を追っ手から逃げ回る8分間、役者陣の迫真の演技とそれを途切れることなくひたすら実況しまくる古舘伊知郎の凄みはオンエアで確かめていただきたい。
そして今回は、龍馬役を心血注いで演じてくれた渡辺大さんに「あの『もう一回やらせてください!』は最高でした」賞を差し上げて勝手に表彰したいと思う。
'19年イチオシの正月特番『古舘トーキングヒストリー〜幕末最大の謎 坂本龍馬暗殺完全実況〜』、ぜひぜひご覧くださいませ。
<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝く!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。
<近況>
2019年1月1日(火)夜6時からは「芸能人格付けチェック!2019お正月スペシャル」(ABCテレビ)、今回もナレーションを担当いたしました。こちらも要チェック!
1月24日(木)夜6時半からは新宿ロックカフェロフトにてDJイベント「トーキョー歌謡曲アワー」を開催!
さらに1月27日(日)は大阪の難波ベアーズにて鮫肌文殊率いる伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所の新年初ライヴが敢行されます。どちらも遊びに来てね!2019年も変わらず仕事もDJもバンドもトバしていくぜッ。