半日がかりの営業会議が2週間に1回の立ちミーティングに変わった老舗メーカー
知らぬ間に受け身の営業姿勢に
Mipox(東京都立川市)は、1世紀近い歴史を持つ老舗企業。半導体のフィルム方式エッジ研磨市場の占有率100% など、ニッチな領域で極めて高いシェアを保持し、業界内でブランドを確立している。しかし、同社の業績は次第に低迷。2009年には営業損益が13億円の赤字にまで落ち込んだ。ニッチな領域に強い老舗メーカーがなぜ業績低迷に陥ったのか。
渡邉淳社長は「60日以上接触していないお客様が300社近くあった。高いシェアを持ち、業界内でよく知られた存在であるというおごりによって、営業が受け身になってしまっていた」と振り返る。
また「社内に“情報共有”の文化がなく、優れたノウハウや知識がすべて担当者の頭の中にしかない。営業活動の再現性も低く、営業以外の部門は自社のお客様のことをよく知らない。今までの成功は単発の偶然にしか過ぎなかった」と問題点を洗い出した。
偶然の成功を必然に変える仕組みを作らなければならない。渡邉氏は、その実現手段としてSalesforceの導入を決意した。
徹底した情報共有
渡邉社長は全社員に向けて、「すべての情報は会社の資産であり、発信してこそ価値がある」という経営メッセージを出し、部門を問わず全てのデータを「Sales Cloud」に入力するよう指示を徹底した。それによって最初に現れた変化は、半日がかりの営業会議や、週報・月報の作成が完全に不要になったこと。代わりに始まったのが、2週間に1回の立ったままのミーティングだ。
その約1時間半で、全案件の進捗状況をSales Cloud上で確認し、上司が各人の仕事量を調整する。状況が手に取るようにわかるので、進捗が思わしくなく、可能性の低い案件については、上司が思い切って“ロスト“と判断できるようになり、営業活動が大幅に効率化した。
また、長期間コンタクトを取っていない顧客がいる場合、担当者にはSales Cloudからアラートが飛ぶ。受け身だった営業姿勢は一変し、60日間接触なしの顧客数は、最初の2か月間で280件から3件に激減したという。
業務改善の成果は、営業にとって重要な指標にも顕著に現れた。導入初年度下期、135件だった商談数は3年後に531件、成約数は43件から132件まで一気に3倍以上に伸びた。
同時に同社では、情報の開放と共有化をさらに加速させるべく、メールを段階的に廃止し、社内SNS「Chatter」でのコミュニケーションへと切り替えた。
海外を含む全拠点の社員が、業務の進捗やマーケット情報、アイデアなどをさまざまな言語でChatterに投稿するようになり、即時性のある情報が、それを必要とする社員に部門や拠点の垣根を越えて届くようになった。当然、社員・部門・拠点間のコミュニケーションは活発化。開発担当者の Chatter への何気ない投稿がきっかけとなり、わずか1か月で新製品のリリースに至ったこともある。
渡邉氏の社長就任時、30億円と低迷してた売上高は、その後右肩上がりとなり、2016年には45億円まで回復。営業損益は5億円超の黒字にまで回した。
Mipox(東京都立川市)は、1世紀近い歴史を持つ老舗企業。半導体のフィルム方式エッジ研磨市場の占有率100% など、ニッチな領域で極めて高いシェアを保持し、業界内でブランドを確立している。しかし、同社の業績は次第に低迷。2009年には営業損益が13億円の赤字にまで落ち込んだ。ニッチな領域に強い老舗メーカーがなぜ業績低迷に陥ったのか。
また「社内に“情報共有”の文化がなく、優れたノウハウや知識がすべて担当者の頭の中にしかない。営業活動の再現性も低く、営業以外の部門は自社のお客様のことをよく知らない。今までの成功は単発の偶然にしか過ぎなかった」と問題点を洗い出した。
偶然の成功を必然に変える仕組みを作らなければならない。渡邉氏は、その実現手段としてSalesforceの導入を決意した。
徹底した情報共有
渡邉社長は全社員に向けて、「すべての情報は会社の資産であり、発信してこそ価値がある」という経営メッセージを出し、部門を問わず全てのデータを「Sales Cloud」に入力するよう指示を徹底した。それによって最初に現れた変化は、半日がかりの営業会議や、週報・月報の作成が完全に不要になったこと。代わりに始まったのが、2週間に1回の立ったままのミーティングだ。
その約1時間半で、全案件の進捗状況をSales Cloud上で確認し、上司が各人の仕事量を調整する。状況が手に取るようにわかるので、進捗が思わしくなく、可能性の低い案件については、上司が思い切って“ロスト“と判断できるようになり、営業活動が大幅に効率化した。
また、長期間コンタクトを取っていない顧客がいる場合、担当者にはSales Cloudからアラートが飛ぶ。受け身だった営業姿勢は一変し、60日間接触なしの顧客数は、最初の2か月間で280件から3件に激減したという。
業務改善の成果は、営業にとって重要な指標にも顕著に現れた。導入初年度下期、135件だった商談数は3年後に531件、成約数は43件から132件まで一気に3倍以上に伸びた。
同時に同社では、情報の開放と共有化をさらに加速させるべく、メールを段階的に廃止し、社内SNS「Chatter」でのコミュニケーションへと切り替えた。
海外を含む全拠点の社員が、業務の進捗やマーケット情報、アイデアなどをさまざまな言語でChatterに投稿するようになり、即時性のある情報が、それを必要とする社員に部門や拠点の垣根を越えて届くようになった。当然、社員・部門・拠点間のコミュニケーションは活発化。開発担当者の Chatter への何気ない投稿がきっかけとなり、わずか1か月で新製品のリリースに至ったこともある。
渡邉氏の社長就任時、30億円と低迷してた売上高は、その後右肩上がりとなり、2016年には45億円まで回復。営業損益は5億円超の黒字にまで回した。