「ノックアウト勝ち」を狙うテクニックをK−1王者・武尊が明かす
K-1 WORLD GPのフェザー級王者で、史上初の2階級制覇を果たした「ナチュラル・ボーン・クラッシャー」の異名を取るK-1ファイターの武尊(たける)選手。9月18日には「K-1 WORLD GP 2017 JAPAN」に出場予定で、フェザー級のタイトル防衛戦を控えている。そんな武尊選手がライブイベント『ALE14(エイル・フォーティーン)』(8月23日 東京・恵比寿アクトスクエアにて開催)に参加し、自らの戦い方、こだわりについて語った。
K-1史上初の2階級制覇を成し遂げた武尊
■敵と戦う際に有効な「3つの倒し方」
まず武尊選手は「敵の倒し方」をテーマにプレゼンテーションを行ない、相手にダメージを与える有効な攻撃を解説。武尊選手が挙げたのが、「足にダメージを与える」「お腹にダメージを与える」「脳を揺らす」という3つをポイントだった。
「足にダメージを与える」は、足をローキックで攻めることでダメージを蓄積し、踏ん張りきれずに相手が倒れるのを狙う攻撃。
「お腹にダメージを与える」とは、急所である”みぞおち”の攻撃。みぞおちにダメージを与えると、横隔膜の動きが一瞬止まり、相手は呼吸困難に陥ってしまう。
「脳を揺らす」は、頭のこめかみやアゴを殴ること。クリーンヒットすると脳が揺れて脳震とうを起こし、一時的に体に信号を送れなくなってしまう。特にアゴへの攻撃は有効だと、武尊選手は言う。
「直接、相手の頭にパンチを当てると、むしろ自分の手が折れたりしますので、狙うのはアゴです。体が小さくてもキレのいいパンチがアゴに当たれば、大きな相手でも倒すことができます。あと、もうひとつの急所として狙うのが”こめかみ”です。ここにヒットすると、頭が揺れやすいんです。あとはどれだけ”キレるパンチ”を打てるかです」
武尊選手がいう”キレるパンチ”とは、最初の状態では脱力し、当たる瞬間にだけ力を入れるというもの。そうすることでパンチのスピードが増し、頭も揺れやすいという。
「パンチを打つまでは脱力して、当たる瞬間に力をグッと入れます。当てるまではゴムのような感覚なのですが、当てる瞬間はハンマーのようにすごく硬くなるのです」
このように戦い方のポイントについて語った武尊選手だが、気持ちの重要性についてもこう話す。
「結局は『相手を倒してやる』という気持ちと、自信を持ってパンチを打つことが、相手を倒す最大の秘訣だと思います。絶対に相手を倒せると思ってリングに上がっていますし、(相手のパンチが当たる)危ない距離にいても、自分は倒れないと信じています」
■危険な距離にあえて入る戦い方
もうひとつ、武尊選手は自らの戦い方へのこだわりについても語った。それが「危険な距離に入る」という考え方だ。
「『あなたはどんなファイターですか?』と聞かれたとき、『クレイジーなファイターです』と答えています。相手のパンチがギリギリ当たらないのが安全な距離で、そこから一歩踏み込むのを危険な距離というのですが、僕は危険な距離で戦う時間が多いのが特徴のファイターです。わずかな差なのですが、その距離で戦うのが好きなんです。相手がパンチを打ってくるところにカウンターで打ち返すと、自分のパワーだけじゃなく相手のパワーも加わるので、単純に威力は倍になります」
また、武尊選手は「この試合、もし判定だったら面白くないな」とか、「KOで倒したら盛り上がるだろうな」などと、自分の試合を客観視しながら戦っているという。そして、積極的にKOを狙いにいくときは、危険な距離に入って戦わなくてはならないのだが、そこでも気持ちの強さが重要になるという。
「危険な距離にいるときはメンタルが強くないと、その位置にいることすら怖くなってしまいます。『この距離にいたら危ないな……』と少しでも思った方が倒されてしまいます。ちょっとの差ですが、体と気持ちが一歩前に出られるかどうかで勝負は決まります。それほどメンタルは大事なんです」
9月18日の防衛戦でも、「足にダメージを与える」「お腹にダメージを与える」「脳を揺らす」という攻撃を仕掛けるタイミングや、「危険な距離に入る」瞬間に注目してみると、ここまでとは違った角度で武尊選手の戦いの奥深さが見えてくるのではないだろうか。
『ALE14』
[問い合わせ]ale14@tiesbrick.co.jp
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