各部屋ごとに違った家具を使用し購入も可能、たんすには春画が隠され、部屋付きの露天風呂は茶葉を浮かべた「お茶風呂」で、サービスは「おばあちゃんのおせっかい」をテーマにしているなど、独特の宿泊体験ができるのが京都にある町屋づくりの宿泊施設「七十七(なずな)」です。Booking.comが行った宿泊施設のメディア向けツアーで訪れたところ、洗練された雰囲気でありながら、なぜか冷蔵庫にフルーツ牛乳が入っているなど、一流旅館とも違った作りになっていました。

七十七(なずな)

http://www.nijo-nazuna.jp/

七十七には「茶の宿」「和紙の宿 姉小路邸」「和紙の宿 東山邸」の3つがあり、今回訪れたのは京都御所の近くにある「茶の宿」。住所は京都府京都市中京区中京区薬屋町 油小路通二条上ル薬屋町580となっています。

地下鉄丸太町駅を下りたあと、小道に入って10分ほど歩くと……



茶の宿に到着。



茶の宿は玄関で靴を脱いで上がります。



受付はこんな感じ。通常のホテルであれば、ホテル到着後にロビーでウエルカムティーなどを出されますが、七十七の場合はそのまま部屋に通され、部屋の中で抹茶を点ててもらう形とのこと。



ということで建物の中へ。



「茶の宿」という名の通り、それぞれの部屋には「抹茶」「焙じ茶」「玉露」「玄米茶」というお茶の名前がついています。



まずは抹茶の部屋に潜入。部屋の中の様子は以下のムービーで見ることができます。

七十七 茶の宿「抹茶」の部屋はこんな感じ - YouTube

入り口から入ってすぐ左手にベッドルームがあり、その奥に畳の部屋が広がっています。和風なつくりの部屋ですが、ベッドは睡眠科学から生まれたというベッドメーカー「Simmons(シモンズ)」のものとのこと。



ベッドルームの様子は以下の360度画像をぐりぐり動かして見ることができます。

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枕元にはコンセントと非常灯。



ベッドの足元には冷蔵庫とたんすが置かれていました。



冷蔵庫の上には急須、茶葉、湯飲みが置かれており……



冷蔵庫の中にはフルーツ牛乳とお水。フルーツ牛乳があるホテルというのも珍しい気がします。



茶葉は緑茶と玄米茶の2種類。



たんすを覗いて見ると……



中には春画。こんな感じで、部屋のたんすの中にはさまざまな工芸品やアートが潜んでいるので、部屋の中で宝探しのように探索が楽しめます。



さらに部屋の奥へと進むと畳の部屋。



入り口/ベッドの方向を振り返るとこんな感じ。御簾の中に寝室があり、畳ではなく板張りの床になっていることがわかります。



天井には鮮やかな日本画が描かれており、たんすの中だけでなく、寝っ転がった時にも伝統文化を見つけることができるわけです。



畳の部屋に置かれた机には茶香炉が用意されていました。



茶香炉は下段にろうそくが入る場所があり、その上に茶葉が入ったお皿がのっていて、ろうそくに火を付けるとお香のように茶葉のよい香りが部屋に広がります。



また、部屋の隅にあった小さな机には……



「茶の宿 七十七 美術館」と書かれた冊子。



ページをめくってみると、部屋に置かれたインテリアの商品名・材質・年代・価格といった詳細情報が日本語・英語で書かれており、実際に購入できるようになっているのが面白いところ。



さらに、先ほどとは別のたんすを開けてみたところ……



ここにも工芸品が隠れていました。



たんすの上に置かれているのも、京友禅金彩工芸家である上仲昭浩さんの作品です。



縁側にはテーブルとソファーが2つ。



庭に出てみます。



外から部屋を見てみるとこんな感じ。



庭には露天風呂があり……



側には茶葉の入った袋が置かれていました。袋ごと湯船に入れると、お茶風呂が完成するわけです。



お茶風呂に入りながら美しい日本庭園を眺められるという、贅沢な作りです。



露天風呂&日本庭園の様子は以下の360度画像から。

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お風呂の隣にはガラス戸で仕切られたシャワールームがあり……



室内の脱衣所&洗面所とつながっていました。



アメニティはコットン・麺棒・歯磨き・ブラシ・カミソリなど。



洗顔・クレンジングオイル・化粧水・保湿液などは資生堂のジンジャーやハーブを使った「ルモンドール」シリーズ。



ヘアトニック・ヘアリキッド・アフターシェーブローションは資生堂の「アウスレーゼ」シリーズでした。



鮮やかな巾着の中にはドライヤー。



トイレはこんな感じで……



クローゼットの中にはセキュリティボックスや給湯器などが入っていました。



抹茶の部屋は45平米で、二人組での宿泊にちょうどよい部屋とのことですが、65平米のメゾネットタイプの部屋もあるとのことなので、「焙じ茶」の部屋も見せてもらいました。



焙じ茶の部屋の様子はこんな感じ。

七十七 茶の宿「焙じ茶」の部屋はこんな感じ - YouTube

扉を開けると、マンションの部屋のようにまず通路があります。



通路を抜けると……



窓から日本庭園を見渡せる畳の部屋が広がっていました。



部屋の様子は以下の360度画像から確認可能です。

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テーブルには抹茶の部屋と同じく茶香炉が置かれています。



この部屋には加湿器とテレビ付。



部屋の隅には和紙出作られたルームライトと、小さな文机が置かれていました。



さらに屏風の隣の引き戸を開けると通路に出ます。



この通路には、抹茶の部屋のベッドの足元にあったようなお茶の用意・冷蔵庫・たんすが置かれていました。



冷蔵庫の中に入っていたのは、今度はフルーツ牛乳ではなく、ラムネ。部屋によって用意されている飲み物が異なるようです。



たんすの上には陶芸家の武田公美さんによる繊細な器が飾られていました。



通路の先には洗面台があり……



ここにもお茶風呂が楽しめる露天風呂。



露天風呂の様子は以下の360度画像から見ることができます。

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露天風呂だけでなくカウチもあるので、日本庭園を見ながらの休息タイムも過ごせます。



さらに、洗面所から振り返ると、最初に通った畳の部屋が目に入るのですが……



ふすまを動かすと、隠し扉のような感じで階段が現れます。



階段を上っていくと……



ベッドルームに到着。宿泊可能人数は4名までとなっていますが、4人で泊まっても十分に広さがあるお部屋となっていました。



また、このほかにも昔ながらの雰囲気を残した90平米の「玉露」という部屋もあります。



この部屋は建物の2階部分にあるので、園側から日本庭園を見下ろせるのがいいところ。



露天風呂はありませんが、自然光がたっぷり入る檜風呂がついていました。



茶の宿がユニークなのは、大きさも雰囲気も全くことなる部屋でありながら、宿泊費は全て同じだということ。そのため、例えば2泊3日の宿泊を行う際、2日目に他の部屋が空いていたりすると、「別の部屋に泊まってみませんか?」という提案もなされるそうです。

また、レストランはこんな感じ。



机にはいろりが隠されているので、いろり料理が楽しめます。京都の伝統的な旅館という視点からいうと、いろりが使われるのは「あり得ない」そうなのですが、七十七に宿泊するお客さんの7割は海外からやってくるため、実際に目の前で炭火を使って食材が調理されるいろり料理が喜ばれるということで、このような形になっているそうです。



ということで、美しい伝統工芸品やこだわりのベッド、美しい日本庭園など、高級ホテルのような洗練された雰囲気がありつつも、冷蔵庫の中にラムネが入っていたり、家具購入ができたり、宿泊費が全て同じだったりと、ユニークな点がいたるところに見られる七十七 茶の宿。このような作りである理由は、レストランにいろりが隠されている理由と同じく、七十七に宿泊する人の大部分が海外からのお客さんであるため。日本の一流旅館などに見られる「さりげない完璧なサービス」は海外の人からは分かりにくい部分がある、ということで、七十七は一流旅館のサービスとは少し違う、「おばあちゃんのおせっかい」をテーマにしたサービスを重視しているとのこと。そのため、ホテルのスタッフも宿泊客と会話することを大事にしていて、「甘いスイカをもらったので食べませんか?」「お茶漬けを食べませんか?」と声かけをするなど、会話を楽しむアットホームな雰囲気を作っているそうです。



なお、Booking.comで調べたところ、2017年6月19日から20日までの1泊2名の合計額が食事なしで4万5600円になっていました。