ゴールデンウィーク(GW)に突入したし、どこかに旅行にでも行こうか、と遅まきながら考える人もいるのではないだろうか。しかし、これから飛行機や新幹線のチケットを取り、宿泊先を手配するのは難しい......。結局は家や近場で過ごしてしまう。

そんな人たちにおすすめしたいのが「古墳」だ。徐々に注目を集めつつあるとはいえ、訪れる人の数も少ない穴場だ。しかし、その内容の充実ぶりと魅力はメジャーな観光地と比較しても負けていないという。

そこでJタウンネットは、「古墳をもっと気軽に」「古墳は可愛い」をモットーに活動する「古墳にコーフン協会」の会長、まりこふんさんに話を伺い、古墳の楽しみ方、魅力を語って頂くことにした。

古墳との出会いは、10年前の仁徳陵

「シンガーソングライター」「古墳シンガー」「会長」など、様々な肩書を持つまりこふんさんは、現在、音楽やイベント出演を通して古墳の良さと可愛さを伝える活動をしている。


イベントで楽曲を披露するまりこふんさん

そんなまりこふんさんが古墳の良さに目覚めたのが2007年のことで、ツアーで訪れた大阪の仁徳陵(大仙陵古墳・大山古墳、大阪府堺市)と地元の埼玉(さきたま)古墳群(埼玉県行田市)との出会いがきっかけだという。

「仕事でよく大阪を訪れる機会があって、旅好きなのもあって観光も楽しんでいました。でも何度も行くと、観光に行くところも限られてきました。そんなとき、小学校の時に教科書で見た前方後円墳、仁徳陵を思い出して、行ってみようと思い立ったんです」

仁徳陵 (C)国土交通省 Wikimedia Commonsより)

歴史は苦手というまりこふんさんだが、特徴的な前方後円墳の形は記憶に残っていたのだという。

しかし、期待に胸を膨らませて向かったものの、古墳が巨大すぎるがゆえの弊害にぶつかってしまったという。

「あの鍵穴の形を期待して近くまで行ったら、あまりに大きくて形が分からないし、(濠に囲まれているため)中に入ることもできなかった。それで近くの博物館に行ったんですが、そこで仁徳陵が世界3大墳墓の1つで、面積では世界最大ということを知り驚きました。こんなに凄いものが、日本では一般的には知られていないし、世界の遺跡好きの間でもマイナーな存在だということにもったいないと思ったんです」

この時は、全景を見ることが出来なかったことに若干の肩すかし感を覚えつつも、こんなに巨大なものがあまり注目を集めていないことにショックを受けたという

その帰り道、阪和線の車内で降りてきたのが古墳ソング第1号の「麗しの仁徳陵」だと語る。


アルバム「古墳deコーフン!」と著書「東京古墳散歩」

その後、子供のころの思い出にある埼玉古墳群を再度訪れ、登ったことで感動し、「古墳シンガー」として目覚めたのだという。

「1500年も前からずっとあり続けた古墳に今出会えたことに感動して、それ以降はツアーで訪れる地の古墳に行くようになりました。色々な古墳と出会うたびにさらにハマっていきました」

古墳へのハードルを下げたい

古墳を巡るようになると、もっといろんな人に古墳を紹介するイベントを考えるようになり、2013年に「古墳にコーフン協会」を設立。古墳に興味を持った若い世代の入り口となる場所、「0から1にする」というテーマのもと活動し、現在は会員300人ほどまで成長した。

「元々はお城好き、鉄道ファンだったという人からも古墳好きになってくれるようになりました。城好きの方は古墳の石垣の積み方の技術から、鉄道ファンの方は駅近古墳を探したりと、それぞれが違う視点から楽しんでいます」

会員同士の横のつながりも強くなり、メンバーが「野良古墳」と呼ぶ、マイナーな古墳巡りに出かけたりすることもあるという。


野良古墳


古墳を目指して墳(奮)闘する様子

また、まりこふんさんは、協会をあくまで古墳をゆるく楽しめるような入口として続けていきたいと語る。

というのも、古墳シンガーとして活動を始めた時期は、初心者向けの解説本などは皆無だった、という苦い思い出があるからだ。

そんなかつての自分のように、新たに古墳にも興味を持った人がこの世界に入りやすいようにと、手に取りやすく読みやすい本も数冊出版した。

また、入門書だけでなくグッズも皆無だったのだが、現在ではバッグ、クッション、シャツやアクセサリーなど豊富なラインナップがあり、「非常に満足」しているという。

更には、はとバスと共同で古墳を巡るバスツアーも定期的に開催している。


はとバスツアーでの1枚(茨城県:くれふしの里古墳公園)

後編では、まりこふんさんに、このゴールデンウィークに行くべき関東近郊の古墳を聞いてみた。(※後編:「古墳シンガー『まりこふん』さん直伝! ゴールデンウィークに行くべき関東近郊の古墳」へ続く)