鹿児島工vs鹿児島情報
決勝点を奪う鹿児島工
鹿児島工と鹿児島情報は、公式戦でよく対戦し、毎試合劇的な展開になることが多い。最近では昨年8月の鹿児島市内大会3位決定戦、鹿児島情報が9回裏に3点差を追いついて延長にもつれ、10回表に鹿児島工が勝ち越し秋のシード権をとった。この試合も終盤まで劣勢だった鹿児島工がサヨナラ勝ち。「鹿児島情報とはいつもこんな試合になります」と福留龍一監督は苦笑した。
1対1の同点で迎えた6回、鹿児島情報は二死一二塁から8番・川畑優太朗（3年）のセンター前タイムリーで勝ち越し、7回には4番・赤城瑞季（3年）のライト前タイムリーで2点差とした。
中盤以降、走者を出しながらもあと一押しが出ず我慢の展開が続いた鹿児島工は8回、二死満塁のチャンスに9番・眞竹俊輔（3年）がセンターオーバーの走者一掃三塁打を放ち、1番・上赤俊介（2年）にもタイムリーが出て、終盤で初めてリードを奪った。
このまま一気に寄り切るかと思われたが、鹿児島情報は一死から連打で満塁とし、4番・赤城がセンター前に2点タイムリーを放ち、再び試合を振り出しに戻した。
鹿児島工はその裏、3四球で満塁とし、暴投で2時間27分の死闘に決着がついた。
鹿児島工の藤井翔児主将（3年）は「練習試合から不振でチームに迷惑をかけていたけれど、仲間がカバーしてくれた。自分が打席に立ったら、つないでチャンスを広げることだけを意識した」という。本来なら4番で正捕手だったが、打撃不振を極めており、スタメンから外れていた。背番号7の折小野省吾（3年）が捕手と4番、両方の代役をこなした。先発の今村大祉（3年）は苦しいマウンドが続き、9回再び同点とされながらも勝ち越し点は許さなかった。
8回からマスクをかぶった藤井主将は、その裏の打席で満塁のチャンスを作るヒットを放ち、9回も二死二塁と絶好のチャンスで回ってきた。結果的には敬遠気味の四球だったが、本来の4番の存在感がそうさせたともいえる。このあと更に四球で満塁となり、暴投と相手の自滅を誘って劇的な勝利になった。「勝ったのは良かったけど、反省点も多い。次は初回からしっかり打線をつないで、投手を楽に投げさせたい」と振り返っていた。
（文＝政 純一郎）
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