「べっぴんさん」106話。腕がよければ売れる思てたら大間違いなのか

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第19週「希望」第106回 2月8日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


106話はこんな話


「わたしも何かみつけたい」と、さくら(井頭愛海)は、残りの夏休み期間中、キアリスでバイトすることになって、母・すみれ(芳根京子)の働く姿を目の当たりにする。

腕がよければうれるおもてたら大間違いやで


確たる目的をもって東京に行くことを決意する二郎(林遣都)。
身ごもった五月(久保田紗友)を神戸に置いていくという二郎に、すず(江波杏子)は語りかける。

「東京へ行って売れるいうのはどういうことかわかるか。
腕がよければ売れる思てたら大間違いやで。
いろんなひとを蹴飛ばして ひとを騙してでも自分の居場所をつくらな。
踏みつけられて終わりや。
あんたにはでけへんやろうな」

シビアなお言葉。
二郎は売れて五月と子供を迎えに来るつもりなのだろうか。でもそんな優しさのあるひとは売れないのだろうか。そんなのいやだなあ。

「腕がよければ売れる思てたら大間違い」じゃないひともいる


一方、潔(高良健吾)は、五十八(生瀬勝久)の「絶対焦ったらあかん 君らしく」という言葉を噛みしめていた。商売のために、栄輔(松下優也)の提案にのるかどうするか迷っている。

そして、その五十八の血を引くすみれは、ただただ、子供のために良質な品をつくることを考えている。
「元気でね 笑顔でね 幸せにね そういう思いが込められているから 売る方もね そういう思いでいるのよ」と悦子(滝裕可里)はバイトをはじめたさくらに伝える。

「一番のお客さんは子供達」と、悦子の夫・小山(夙川アトム)を言い負かすすみれ。
とにかく、子供への思いやりを徹底した商品作り。その核になる部分に、幼子のさくらへのたっぷりの愛情があったことを、ようやくさくらは知ったのだ。

「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」という言葉があるが、それを思い出した。
「肌着の心は母心、触れればニコニコ笑顔沸く」って感じだろうか。

今日の、おもしろ要員


五十八が臥せってしまった105話の平均視聴率は19.4%とふるわなかったが、さくらの恋があまりに一人相撲で、全体的に笑える箇所が少なかったせいもありそうだ。
106話は、さくらを心配して店の前を何往復もしている紀夫や、武ちゃん(中島広稀)、中西直政(森優作)、龍一(森永悠希)がトリオ漫才やれるんじゃないかという雰囲気で、盛り返したのではないか。
小山をにらむすみれの表情もなかなかユーモラスだった。
(木俣冬)