山梨県内を旅していると、よく「ハッピードリンクショップ」の看板を目にする。しかし、のどの渇きをいやそうと立ち寄ってみても、周りにお店らしきものはなく、あるのは自動販売機だけ――。そう、ここでは自販機が、「ショップ」として営業しているのだ。


ハッピードリンクショップ上阿原2号店(Mr.Wさん撮影、Wikipediaより)

販売されている飲み物は、一般的な自販機より安い100円前後。ロードサイドにあるため、ドライバーやライダーのオアシスとして愛されている。でも、どうして「ハッピー」なのか。理由が気になったJタウンネット編集部は、運営元のフローレン(山梨県甲斐市)に取材を試みた。

約1200店!山梨・長野に「ほぼ半数」ずつ展開

改めて、どんなものか紹介しよう。大きな看板の下に、自販機が4〜5台ならぶ。数台分の駐車場も配備され、そこに車やバイクを止めながら、コーヒーブレイクできるようになっているのだ。地元では「HDS」「ハピド」といった略称で親しまれ、初めて訪れる人でも、看板が数キロごとに現れるため、強く印象に残っているようだ。

運営元のフローレンは、もともと清涼飲料水の卸売業だった。1976年創業で、40年の歴史を持つ会社だ。その後、自販機への卸売だけでなく、みずから自販機の「ショップ」を持つことになる。公式サイトにある「会社案内」と、会社創立30周年記念誌『こころの潤い』によると、自販機コーナー事業は2003年に始まり、翌年には「ハッピードリンクショップ」とネーミング。社員による命名案を採用し、07年には商標登録した。

では、現在の店舗数は、どれくらいなのか。フローレンに問い合わせてみると、山梨県と長野県に約1200カ所を展開していると教えてくれた。これをお店として考えると、「スターバックスコーヒー」1245店や、「吉野家」1207店(いずれも16年12月現在の国内店舗数)に匹敵する店舗網になる。なお、山梨に集中しているイメージだったが、両県で「ほぼ半数ずつ」を展開しているそうだ。

そして、気になるネーミングについて。社内公募での選考理由は、「シンプルで誰にでも分かり易いこと」だったそうだ。この店名には「飲料を通じて、幸せを感じる時間を提供したいと言う思い」が込められているという。たしかに、ドリンク片手にほっと一息つく瞬間は、「ハッピー」な気分になる。

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