「090-3〜」持ち=エリート? 起こり得る「携帯番号マウンティング」を検証する
原型となったモデルから数えると、すでに登場から40年近く経過した「携帯電話」は、今や生活に欠かせないものとなり、依存症すら指摘されるほど浸透している。
ここまで携帯電話が普及した現在なら、携帯電話に関することで、他者より優位に立とうとする行為、つまりは「マウンティング」をすることも可能ではないだろうか?本来なら容姿や経済力、学歴や知識量などで行われるものだが、携帯電話のどこかの要素を切り取ることでもその基準となりそうだ。
そこで、「強い」携帯電話とは何かを考えた時、アドレス帳の登録数や性能などが浮かんだが、携帯電話の本質は「通話」にある。その通話に必要なことと言えば電話番号だ。よし、「強い」携帯電話番号とは何か、探ってみよう。
どんな番号が強いの?
1番強い「電話番号」は?(Ozzy Delaneyさん撮影。flickrより)
電話番号の強弱の基準は何かと考えた時、思いついたのが「古さ」だった。言い換えると歴史がある番号であるため、初期から使用していたという証にもなる。「080」が登場したとき、なんとなく違和感を覚え、「090」ユーザーであることに密かな優越感を覚えた......という人も中にはいるのでは?
さて、2017年1月現在、国内で使用されている携帯電話番号の頭3ケタ(プレフィックス)は、「090」、「080」、「070」の3種類だ。
多くの人にとって、「090」は最もなじみ深い番号だろう。
その3種の中で最も古くから使われているのは、御存じのとおり「090」だが、携帯電話の歴史を遡ると、「090」の中でも特に「強い」番号が明らかになった。
金持ちのステータス?
詳細を求めて当たった総務省の資料によると、携帯電話の先祖と言える自動車電話が1979年に登場したとき、使用されたプレフィックスは「030」だった。
翌年には「040」が追加され、PHS登場と共に「050」が追加、その後は「080」「090」「020」の追加や番号の統廃合などが繰り返されていく。
様々な変化を経て、現在の全11ケタのスタイルが出来たのは1999年のことで、乱立していたプレフィックスを「090」に統一し、登録可能な番号数を飛躍的に増やすことに成功した。
その過程で、「030」だった番号は「090-3〜」といった形に統合されたのだ。
こうした背景から、「090-3〜」という番号は携帯電話普及時からの所持者である可能性が高く、すなわち「強い」番号だと言えるだろう。
ちなみに、リクナビのテック総研の記事には、
「当時は、機器類はすべてレンタル形式で、保証金が当初20万円、さらに月額基本料金に通話料と高価。それなりに使えば、すぐに1カ月で100万円単位の額になってしまう。」
と、当初の自動車電話にかかる費用への言及がある。
1か月で100万円となると、導入できる人は非常に限られる。厚生労働省の資料によると、当時の大卒初任給は平均で10万円ほど。つまりは電話1つで大卒を10人雇えたことになる。
そのため、会社や団体でではなく、個人で所有していとなると、その人物はかなりの金持ち、かつ緊急で連絡する必要のある社会的地位も備えた人物であったことが推測される。
単に古い番号であるという上に、背後には経済力という、強力なマウンティングの道具となりうるものが潜んでいたという身も蓋もない結果になってしまった......。
ただし、解約された番号が新しく割り当てられることもあるため、一概に「090-3〜」が最強とは言えなさそうだ。