学生の窓口編集部

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大学生のみなさんは、硬式野球のボールを触ったことがありますか? どんなボールにも赤い手縫いのラインが入っていますよね。しかしその縫い目が「108目」に決まっているということを知っている人は意外と少ないのでは? 「『108』って、縫い目の数じゃなくて煩悩の数なんじゃ……?」 という声はひとまず置いておいて、縫い目の数が決まったワケを今回は探ってみましょう!

■最初から108個だったわけではない

なにごとも完成形に至るまでにはいろいろな改良が加えられるものですが、硬式ボールにも、今の形になるまでにはさまざまな変遷があったようです。日本で最初につくられた硬式ボールの縫い目は「116」でした。なんでも、アメリカからボールを持ち帰った野球愛好家が、東京で新橋駅の靴屋さんに同じものを注文したときに「縫い目は116個で」と指定したのだとか。古い記録が残っているものですね!
スポーツメーカーのミズノが大量生産を始めたときには縫い目は112個になりましたが、その後アメリカで「ボールの縫い目は108個」と公式に決定。日本もそれにならう形で108個に固定したそうです。

■縫い目の数でどんな影響があるの?

なぜ縫い目の数を固定する必要があるのか? と疑問に思った人もいるでしょう。そこには表皮の強度の問題が絡んでいるようです。硬式ボールの表面に使用されているのは牛皮ということはよく知られていますよね。縫い目が多くなると、当然ながら糸を通す穴が増えます。穴が増えるということは、プレー中に起きる摩擦などで表皮が破れやすくなるというリスクがあります。
逆に縫い目を減らすと表皮の強度は上がるかもしれませんが、今度は糸が切れやすくなってしまいます。それは結果的にボールの寿命を縮めることになるのです。それらのバランスを考慮し、最適ということで決められたのが「108」という数字だったというわけです。
ちなみに、硬式ボールはひとつひとつ職人さんが手縫いで作業しています。熟練した職人さんでも、1球を縫い上げるのに30分はかかるとか……。ホネの折れる作業ですね。

野球に興味のない人には縁遠い「硬式ボール」。その縫い目には煩悩ではなく、職人さんの手が関係していることが分かりました。大学生のみなさんも、もし硬式ボールに触れる機会があったら、その縫い目を数えてみてください!

文・ファナティック