戴正呉氏

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(台北 31日 中央社)鴻海(ホンハイ)精密工業は30日、経営再建中のシャープを3888億円で買収すると発表した。4年以上にわたる交渉の末、案件を成功に導いた最大の功労者は、「鴻海グループの徳川家康」と称えられる戴正呉副総裁で、買収完了後にはシャープ社長の座に就く可能性が高いとされている。

戴氏は東部の宜蘭生まれ。大学卒業後に就職した台湾の電機大手、大同では2年間日本滞在を経験し、日本語にも精通している。1985年の鴻海入社後も日本企業との折衝に関わり、シャープとの交渉では、郭台銘董事長(会長)が最も頼りにする「智恵袋」として、両社間の調整役を担った。

今回の買収は鴻海グループにとって、1974年の創立以来最大規模の海外投資とされるが、戴氏は30日の記者会見でシャープとの交渉について、「全て平常心で、つらいことは何もなかった」と感想を語っている。

戴氏は、鴻海ではソニーのゲーム機製造の受注を獲得するなど実績を重ね、2005年にグループの副総裁に抜擢された。現在は郭氏の片腕として、日本側との交渉のほか、テレビ事業、人事などを担当している。

(鍾栄峰/編集:杉野浩司)