日本人選手がプレミアで優勝争い…にセルジオ越後が不満「メディアはレスター・岡崎をもっと取り上げるべき!」
夢物語が現実になるかもしれない。イングランドのプレミアリーグで“弱小”レスター・シティがシーズンの3分の2を終えた現時点でも、堂々の優勝争いを繰り広げている。
今季のプレミアはマンチェスター・ユナイテッド、チェルシーといった強豪が不振に陥るなど大混戦。“リーグ史上、最も予測不可能なシーズン”となっている。そんな中、開幕前は残留争いに巻き込まれるだろうと思われていたレスターが快進撃を続けている。これはスゴいことだよ。
立役者は前線のふたり。プレミア新記録となる11試合連続得点を決めたイングランド代表FWヴァーディとアルジェリア代表MFマレズ。しっかり守ってカウンターを仕掛ける戦術のチームにあって、彼らが大ブレイク。攻撃を牽引(けんいん)している。
そのふたりに続く評価を受けているのが岡崎だ。スタメンの座を確保し、大いに存在感を発揮している。今季はこれまで4得点(26節終了時点)とFWとしては物足りない数字。それでも使われ続けるのだから、ラニエリ監督も重宝しているということ。
レスターはスター選手が居並ぶビッグクラブと違って、試合の主導権を握るサッカーはできない。ハードワークで相手の攻撃を耐え、そのスキを突いてカウンターを狙う。そんなチーム戦術に岡崎がピタリとハマっている。
岡崎の持ち味は、なんといっても豊富な運動量と泥臭さ。たとえパスが出てこなくても、しつこく裏に走り込んで相手の守備を引きつける。その動きがあるからこそ、他の選手がシュートを打ちやすくなる。
守備でもそう。前線でボールを追いかけ続け、味方が守備の態勢を整える時間を稼ぎ、相手のパスコースも限定させる。本当にものすごい運動量でボール際の当たりも激しい。もし、他の日本人選手が岡崎のプレーをマネしようとしたら、前半でガス欠になるんじゃないかな。
代表クラスのFWでこれだけ裏方の仕事に徹することのできる選手はなかなかいない。ラニエリ監督が彼を使い続けるのは当然だよ。
決してうまい選手ではないけど、フェアで諦めず、サボらない。そういう姿勢は地元ファンにも認められているようだ。試合のTV中継を見ていると、岡崎がボールを追いかけるだけで拍手が起こることもあるし、得点を決めなくても交代時にはスタンディングオベーションで迎えられている。
もちろん、現時点での数字やプレースタイルではシーズン後のビッグクラブへのステップアップは難しいと思う。大抵のビッグクラブはレスターのような堅守速攻のスタイルではないから、普通に考えればヴァーディやマレズを欲しがるよ。岡崎本人もそこは課題として認識しているはず。
でも、岡崎が自分のできるプレーを徹底することで価値を高めているのは事実だし、評価すべきこと。今季、欧州でプレーする日本人選手の中では間違いなく一番の活躍だ。なぜメディアはもっと大きく取り上げないのかな。本田や香川の出るCMがあるのに、岡崎のCMを見ないのは不思議だ。
優勝争いに話を戻せば、まだ10試合以上残っているので、レスターがそう簡単に優勝できるとは思わない。それでも期待をせずにはいられないし、何より日本人選手がプレミアで優勝争いを経験しているというのは素晴らしいこと。最後まで注目したいね。
(構成/渡辺達也)