岡田准一は、本当は苦しいのに苦しくないフリをしていた「エヴェレスト 神々の山嶺」完成披露試写会レポ
「ここに登壇しているみなさんと一緒にエヴェレストに登りたいです」
映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』(3月12日(土)公開)の完成披露試写会が2月4日東京・TOKYO DOME CITY HALLにて行われた。
完成報告会に登壇した岡田准一、阿部寛、尾野真千子、平山秀幸監督に加えて、今回はピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、佐々木蔵之介が顔を揃え、にぎやかな試写会となった。
司会の「前方をご覧ください!」の声と共にステージの幕が開き、主演の岡田准一をセンターにして8名が出現。エヴェレストの大きなスクリーンをバックに、スモークと紙吹雪の演出で華々しく登場した。
盛大な拍手を受けて、山岳カメラマン深町誠役の岡田准一が挨拶した。
「みなさんこんにちは。今日はお忙しいなかお越しいただきありがとうございます。あの……すごい感じで登場させていただきました、びっくりしました(笑)深町誠という野心家のカメラマン、阿部さんを追っかけるカメラマンの役を演じさせていただきました。本当にあの、熱い挑戦の大人の映画になっていると思います。僕たちも実際、熱い挑戦をしながらエヴェレストに登って、空気半分、マイナス20度という場所でギリギリの挑戦をしてきて、撮影を敢行してきました。その熱い想いをたくさんの方に感じていただければ嬉しいなと。今日はよろしくお願いします」
孤高の天才クライマー羽生丈二役を演じた阿部寛が続く。
「みなさんこんにちは。羽生丈二をやらせていただきました阿部寛です。不屈の男を演じさせていただきましたけども、あの、隣にいる不屈の男が(岡田)かなり強い不屈の男なんで(笑)。実際エヴェレストまで5200メートルまで行かせてもらいましたけども。あの、岡田くんに負けないように、精神力だけでも負けないようにと、精一杯がんばってやってきました」
深町と羽生に人生を翻弄される岸涼子役の尾野真千子。
試すように「みなさん、こんにちは」と投げかけると「こんにちは!」と会場から大きな声が返ってくる。尾野は小声で「ありがとうございます(笑)」
続いて佐々木蔵之介、ピエール瀧らも同様に切り出す。
全員が即興で挨拶を揃えるノリの良さは、過酷なロケを一緒に乗り越えた一体感がそうさせるのか、現場の雰囲気を味わえた気分だった。
最後に平山監督も「えーこんにちは!」。期待を裏切らない挨拶に会場からは笑いが起こった。
「一年前に撮影をはじめて、今日完成披露を迎えて、やっと山から降りて来たなという気分です。その間にネパールの大地震もあったりして大変な時期でしたけれども、この映画の一つのキーワードとして“想う”ということがあります。がんばっていただいたネパールのスタッフ、それからこの山の登山の支援を支えてくれた、日本有数のクライマーとその仲間のみなさん。そして映画を撮るためにエヴェレストまであがったスタッフ、キャスト、そういうこの映画に関わった人たちの想いが映画を見て下さるみなさんに少しでも伝われば嬉しいです。楽しんで下さい」
涼子の兄、岸文太郎を演じた風間俊介は、日本の山での撮影だった。
「エヴェレストで撮影したみなさんと撮影するじゃないですか。崖っぷちの……体感的には都庁のテッペンの端っこに立ってるくらいのところで撮影したんですね。めちゃくちゃ怖くて、声がうわずっちゃって、監督とかすごい心配してくれて『風間大丈夫か?』って言われて『大丈夫です』って答えてるんですけど、明らかに僕大丈夫じゃなかったみたいで、ものすごく心配されたんですよ。絶対にエヴェレストにいったチームには負けたくないと思って撮影してたんですけど、そのあと阿部さんに『エヴェレストは高いところにあるけど広いんだよな。おまえが一番ヤバいところに立ってたな』って、そうだったのかと膝から崩れ落ちましたよ(笑)」
日本の山でも撮影が大変だったことを踏まえて、エヴェレストでの過酷さに想像を巡らせた。また、これまでに見てきた岡田と阿部にはない目をしていたと、映画では二人の「目」に注目して欲しいと語った。
撮影で印象に残ったエピソードを聞かれると岡田は、
「弱っているとこを見せられないっていう、プレッシャー……があったんですよね」
撮影は5200M級という標高ゆえ、医師が同行して血中酸素を測りながら行われた。
「朝おきたときと夜。二回はかるんですけど、その前にちょっとズルして呼吸をいっぱい吸ってからこう……」
岡田の告白に尾野は驚いた表情で「ズル……」、阿部からも「そんなことしてたんすか!」とツッコミが入る。
さらに岡田は、本当は苦しいのに苦しくないフリをしていたこと、血中濃度をあげてから測定して医師から「岡田さんタフですねー」と言われたことを告白した。主演であり山岳カメラマンという粘り強い役柄がそうさせたのか……。
しかしツッコミを入れていたはずの阿部も同罪だった。
阿部「不屈のクライマーの役なんで、やっぱり後輩に負けちゃいけないなっていう代表意識もあったんで。いまだから明かします、やってました(笑)」
岡田「僕ら嘘ついてました」
高山病になれば即下山、撮影中止となるため、役づくりと体調管理の間で静かに戦っていた。無事に撮影を終えた今だからこそ言える撮影秘話を明かした。
原作は夢枕獏著「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)。エヴェレストを舞台に二人の山岳カメラマンと天才クライマーによる前人未到の挑戦に臨む男たちの熱き想いを描いたもの。撮影は実際にエヴェレスト5200M級の場所に登って行われた。岡田准一らキャスト、スタッフは10日間かけて高度順応し、1ヶ月以上にも渡りネパールロケを行った。
「ここに登壇しているみなさんと一緒にエヴェレストに登りたいです」
人生で挑戦したいことを聞かれて、岡田はすぐに答えていた。
映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』は3月12日(土)公開。
(柚月裕実)
映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』(3月12日(土)公開)の完成披露試写会が2月4日東京・TOKYO DOME CITY HALLにて行われた。
完成報告会に登壇した岡田准一、阿部寛、尾野真千子、平山秀幸監督に加えて、今回はピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、佐々木蔵之介が顔を揃え、にぎやかな試写会となった。
盛大な拍手を受けて、山岳カメラマン深町誠役の岡田准一が挨拶した。
「みなさんこんにちは。今日はお忙しいなかお越しいただきありがとうございます。あの……すごい感じで登場させていただきました、びっくりしました(笑)深町誠という野心家のカメラマン、阿部さんを追っかけるカメラマンの役を演じさせていただきました。本当にあの、熱い挑戦の大人の映画になっていると思います。僕たちも実際、熱い挑戦をしながらエヴェレストに登って、空気半分、マイナス20度という場所でギリギリの挑戦をしてきて、撮影を敢行してきました。その熱い想いをたくさんの方に感じていただければ嬉しいなと。今日はよろしくお願いします」
孤高の天才クライマー羽生丈二役を演じた阿部寛が続く。
「みなさんこんにちは。羽生丈二をやらせていただきました阿部寛です。不屈の男を演じさせていただきましたけども、あの、隣にいる不屈の男が(岡田)かなり強い不屈の男なんで(笑)。実際エヴェレストまで5200メートルまで行かせてもらいましたけども。あの、岡田くんに負けないように、精神力だけでも負けないようにと、精一杯がんばってやってきました」
深町と羽生に人生を翻弄される岸涼子役の尾野真千子。
試すように「みなさん、こんにちは」と投げかけると「こんにちは!」と会場から大きな声が返ってくる。尾野は小声で「ありがとうございます(笑)」
続いて佐々木蔵之介、ピエール瀧らも同様に切り出す。
全員が即興で挨拶を揃えるノリの良さは、過酷なロケを一緒に乗り越えた一体感がそうさせるのか、現場の雰囲気を味わえた気分だった。
最後に平山監督も「えーこんにちは!」。期待を裏切らない挨拶に会場からは笑いが起こった。
「一年前に撮影をはじめて、今日完成披露を迎えて、やっと山から降りて来たなという気分です。その間にネパールの大地震もあったりして大変な時期でしたけれども、この映画の一つのキーワードとして“想う”ということがあります。がんばっていただいたネパールのスタッフ、それからこの山の登山の支援を支えてくれた、日本有数のクライマーとその仲間のみなさん。そして映画を撮るためにエヴェレストまであがったスタッフ、キャスト、そういうこの映画に関わった人たちの想いが映画を見て下さるみなさんに少しでも伝われば嬉しいです。楽しんで下さい」
実は過酷だった!風間俊介の撮影秘話
涼子の兄、岸文太郎を演じた風間俊介は、日本の山での撮影だった。
「エヴェレストで撮影したみなさんと撮影するじゃないですか。崖っぷちの……体感的には都庁のテッペンの端っこに立ってるくらいのところで撮影したんですね。めちゃくちゃ怖くて、声がうわずっちゃって、監督とかすごい心配してくれて『風間大丈夫か?』って言われて『大丈夫です』って答えてるんですけど、明らかに僕大丈夫じゃなかったみたいで、ものすごく心配されたんですよ。絶対にエヴェレストにいったチームには負けたくないと思って撮影してたんですけど、そのあと阿部さんに『エヴェレストは高いところにあるけど広いんだよな。おまえが一番ヤバいところに立ってたな』って、そうだったのかと膝から崩れ落ちましたよ(笑)」
日本の山でも撮影が大変だったことを踏まえて、エヴェレストでの過酷さに想像を巡らせた。また、これまでに見てきた岡田と阿部にはない目をしていたと、映画では二人の「目」に注目して欲しいと語った。
岡田が危険を感じたエピソード
撮影で印象に残ったエピソードを聞かれると岡田は、
「弱っているとこを見せられないっていう、プレッシャー……があったんですよね」
撮影は5200M級という標高ゆえ、医師が同行して血中酸素を測りながら行われた。
「朝おきたときと夜。二回はかるんですけど、その前にちょっとズルして呼吸をいっぱい吸ってからこう……」
岡田の告白に尾野は驚いた表情で「ズル……」、阿部からも「そんなことしてたんすか!」とツッコミが入る。
さらに岡田は、本当は苦しいのに苦しくないフリをしていたこと、血中濃度をあげてから測定して医師から「岡田さんタフですねー」と言われたことを告白した。主演であり山岳カメラマンという粘り強い役柄がそうさせたのか……。
しかしツッコミを入れていたはずの阿部も同罪だった。
阿部「不屈のクライマーの役なんで、やっぱり後輩に負けちゃいけないなっていう代表意識もあったんで。いまだから明かします、やってました(笑)」
岡田「僕ら嘘ついてました」
高山病になれば即下山、撮影中止となるため、役づくりと体調管理の間で静かに戦っていた。無事に撮影を終えた今だからこそ言える撮影秘話を明かした。
原作は夢枕獏著「神々の山嶺」(角川文庫・集英社文庫)。エヴェレストを舞台に二人の山岳カメラマンと天才クライマーによる前人未到の挑戦に臨む男たちの熱き想いを描いたもの。撮影は実際にエヴェレスト5200M級の場所に登って行われた。岡田准一らキャスト、スタッフは10日間かけて高度順応し、1ヶ月以上にも渡りネパールロケを行った。
「ここに登壇しているみなさんと一緒にエヴェレストに登りたいです」
人生で挑戦したいことを聞かれて、岡田はすぐに答えていた。
映画『エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)』は3月12日(土)公開。
(柚月裕実)