今夜「ルパン三世」デス・ゲームものと見せかけて俺TUEEEEだった
伊勢丹とのコラボイベント「ISETAN×ルパン三世 LUPINISSIMO IN ISETAN 2016」が開幕したばかりの「新ルパン三世」。たしかに、あの青ジャケットなら街でも着れそうだけど、ジャケット一着で税込20万円はちょっとお高い……。
さて、17話は「皆殺しのマリオネット」。ルパン、次元、五エ門、不二子のルパン一味がお互いに殺し合うという物騒なお話。
教会で人々に崇められている男・グレコ。この男に指名された悪党は、24時間以内に仲間同士で殺し合いをはじめて全滅してしまうことから、ついたあだ名が“救世主”だ。
救世主・グレコの次の標的はルパン三世とその一味。ちゃんとテレビで発表までするのだからたいしたもの。正義は我にありといったところか。一方、ブックメーカーによる賭けも行われており、多くの人がグレコの勝利に賭けていた。
「はっ、くだらねぇ」と切って捨てるルパンだが、テレビ越しにグレコに挑発される。ルパンたちが教会の金の聖杯を盗むのが先か、グレコがルパンたちを全滅させるのが先か。これでルパン一味は腰を上げざるを得なくなったというわけ。ルパンの敵は、ルパンのプライドを刺激しなければいけないという法則である。
「おもしれえ。俺たちに賭けなかったことを後悔させてやろうじゃねぇか」と立ち上がるルパン。ただし、グレコの刺激は弱火なので、ルパンの目線はグレコを倒すというより、賭けを行っている連中の鼻を明かすほうに行っているように見える。
グレコの教会にやってくるが、罠にかかってしまうルパン一味。煙がたちこめる中、グレコはルパン一味の“誰か”にマリオネットになって皆殺しを誘うよう暗示をかける。
閉鎖空間にとじこめられたルパン一味は、お互いに疑心暗鬼になりはじめる。ルパンたちの動きはグレコに監視されているとともに、賭けをしている場所に中継されており、ルパンたちがギスギスしはじめるとオッズがどんどん上がっていく。流行りのデス・ゲームものにありそうな風景だ。
あっさり不二子が退場し、ルパンの姿も見当たらない。残るは次元と五エ門。見どころはこの二人の直接対決である。
「ま、細けぇ話は抜きにして、お前とはやってみたかったんだ」と次元。
「奇遇だな。某(それがし)もだ」と五エ門。
言いながら、お互いニヤリと笑っているところがカッコいい。
次元VS五エ門の対決といえば、TVスペシャル『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』を思い出すルパンファンも多いと思う。敵対勢力にそれぞれ用心棒として雇われた次元と五エ門が衆人環視の中、対決するというエピソードだった。盛り上がるシチュエーションではあるが、このときは両陣営の目をごまかすために相撲をとったりしていた。
しかし、今回の勝負はガッツリめ。次元はコンバットマグナムを五エ門めがけてガンガン撃ちまくり、五エ門は斬鉄剣で銃弾を斬りまくる。次元を斬ろうと迫る五エ門の目つきがヤバい。斬鉄剣が次元の脇腹を斬り裂くが、次元は倒れながらも一瞬油断した五エ門の胸をマグナムで撃ち抜く。斬鉄剣無双の五エ門が強いのは自明のように見えて、次元のガンマンとしての執念が五エ門を上回った。両者相討ち。
残るはルパンただ一人。実はルパンこそ、グレコの催眠術にかけられていたマリオネットだったのだ。とはいえ、映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』でも明らかなように、心がないルパンに催眠術などかかるわけもなく、すべてはかかったふり。次元と五エ門もお互い間一髪で急所を外していた。グレコのトリック(麻薬を噴霧して暗示にかけるだけ)を暴き、ルパン一味の逆転勝利。とはいえ、グレコは悪役としてかなり弱いので、あまり逆転感はない。ちょっとルパンたち、俺TUEEEEすぎ。
対決を終えたルパンのアジトには大量の札束がぎっしり。ルパン自身、ルパン一味の勝利に大金を賭けていたのだ。「俺たちに賭けなかったことを後悔させてやろうじゃねぇか」という言葉を実行してみせたというわけ。ルパンがグレコとの対決を決意したとき、ここまでの絵を頭の中で描いていた可能性がある。ルパンは、また今回も“盗み”じゃない方法で利益をあげたことになる。
前半はデス・ゲームものに見せて、後半は俺TUEEEEものにツイストしていた17話だったが、「〇〇もののようで××もの」とは今シリーズではよく使われている手法で、コメディのように見せて人情ものだった8話「ホーンテッドマンションへようこそ」、ラブコメのようでいて猟奇殺人ものだった10話「恋煩いのブタ」、日常もののようでカーアクションものだった16話「ルパンの休日」などがある。今回の脚本は、6話などを担当した稲本達郎。
さて、今夜放送の『ルパン三世』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が鍵を握る「始まりの晩餐」。なんと、ルパン一味をはじめと、銭形、レベッカ、ニクスなどを描いた「最後の晩餐」が登場する。物語はラストに向かって走りはじめた模様。チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)
さて、17話は「皆殺しのマリオネット」。ルパン、次元、五エ門、不二子のルパン一味がお互いに殺し合うという物騒なお話。
教会で人々に崇められている男・グレコ。この男に指名された悪党は、24時間以内に仲間同士で殺し合いをはじめて全滅してしまうことから、ついたあだ名が“救世主”だ。
「はっ、くだらねぇ」と切って捨てるルパンだが、テレビ越しにグレコに挑発される。ルパンたちが教会の金の聖杯を盗むのが先か、グレコがルパンたちを全滅させるのが先か。これでルパン一味は腰を上げざるを得なくなったというわけ。ルパンの敵は、ルパンのプライドを刺激しなければいけないという法則である。
「おもしれえ。俺たちに賭けなかったことを後悔させてやろうじゃねぇか」と立ち上がるルパン。ただし、グレコの刺激は弱火なので、ルパンの目線はグレコを倒すというより、賭けを行っている連中の鼻を明かすほうに行っているように見える。
グレコの教会にやってくるが、罠にかかってしまうルパン一味。煙がたちこめる中、グレコはルパン一味の“誰か”にマリオネットになって皆殺しを誘うよう暗示をかける。
閉鎖空間にとじこめられたルパン一味は、お互いに疑心暗鬼になりはじめる。ルパンたちの動きはグレコに監視されているとともに、賭けをしている場所に中継されており、ルパンたちがギスギスしはじめるとオッズがどんどん上がっていく。流行りのデス・ゲームものにありそうな風景だ。
次元VS五エ門、強いのはどっち?
あっさり不二子が退場し、ルパンの姿も見当たらない。残るは次元と五エ門。見どころはこの二人の直接対決である。
「ま、細けぇ話は抜きにして、お前とはやってみたかったんだ」と次元。
「奇遇だな。某(それがし)もだ」と五エ門。
言いながら、お互いニヤリと笑っているところがカッコいい。
次元VS五エ門の対決といえば、TVスペシャル『ルパン三世 ヘミングウェイ・ペーパーの謎』を思い出すルパンファンも多いと思う。敵対勢力にそれぞれ用心棒として雇われた次元と五エ門が衆人環視の中、対決するというエピソードだった。盛り上がるシチュエーションではあるが、このときは両陣営の目をごまかすために相撲をとったりしていた。
しかし、今回の勝負はガッツリめ。次元はコンバットマグナムを五エ門めがけてガンガン撃ちまくり、五エ門は斬鉄剣で銃弾を斬りまくる。次元を斬ろうと迫る五エ門の目つきがヤバい。斬鉄剣が次元の脇腹を斬り裂くが、次元は倒れながらも一瞬油断した五エ門の胸をマグナムで撃ち抜く。斬鉄剣無双の五エ門が強いのは自明のように見えて、次元のガンマンとしての執念が五エ門を上回った。両者相討ち。
俺TUEEEEなルパン一味
残るはルパンただ一人。実はルパンこそ、グレコの催眠術にかけられていたマリオネットだったのだ。とはいえ、映画『ルパン三世 ルパンVS複製人間』でも明らかなように、心がないルパンに催眠術などかかるわけもなく、すべてはかかったふり。次元と五エ門もお互い間一髪で急所を外していた。グレコのトリック(麻薬を噴霧して暗示にかけるだけ)を暴き、ルパン一味の逆転勝利。とはいえ、グレコは悪役としてかなり弱いので、あまり逆転感はない。ちょっとルパンたち、俺TUEEEEすぎ。
対決を終えたルパンのアジトには大量の札束がぎっしり。ルパン自身、ルパン一味の勝利に大金を賭けていたのだ。「俺たちに賭けなかったことを後悔させてやろうじゃねぇか」という言葉を実行してみせたというわけ。ルパンがグレコとの対決を決意したとき、ここまでの絵を頭の中で描いていた可能性がある。ルパンは、また今回も“盗み”じゃない方法で利益をあげたことになる。
前半はデス・ゲームものに見せて、後半は俺TUEEEEものにツイストしていた17話だったが、「〇〇もののようで××もの」とは今シリーズではよく使われている手法で、コメディのように見せて人情ものだった8話「ホーンテッドマンションへようこそ」、ラブコメのようでいて猟奇殺人ものだった10話「恋煩いのブタ」、日常もののようでカーアクションものだった16話「ルパンの休日」などがある。今回の脚本は、6話などを担当した稲本達郎。
さて、今夜放送の『ルパン三世』は、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画が鍵を握る「始まりの晩餐」。なんと、ルパン一味をはじめと、銭形、レベッカ、ニクスなどを描いた「最後の晩餐」が登場する。物語はラストに向かって走りはじめた模様。チャンネルは決まったぜ。
(大山くまお)