なぜ男は行為のあと悲しくなるのか「新・牡丹と薔薇」10話
「新・牡丹と薔薇」(東海テレビ、フジテレビ 毎週 月〜金 ひる1時25分〜)12月11日(金)放送。第10話「止まらない薔薇の恋!!」より
脚本:中島丈博 演出:西本淳一
「女は男とのセックスを知ってはじめて悲しみがわかるんだわ」(美輪子/逢沢りな)
2週目の終わりは、中島丈博先生の真骨頂。一気に吐き出される文学的な台詞の数々で、恋と性の哲学を学ばせて頂きました。
前述の名台詞は、アダムとイブが林檎を食べて楽園を追放されてしまったように、愛(性愛?)を知ることで、男も女も悲しみを知り、もう無邪気ではいられないということなのでしょうか。
何にせよ、恋に夢中で暴走しまくる若い美輪子と多摩留(戸塚純貴)が微笑ましいやら痛ましいやら。
美輪子を多摩留がお姫様抱っこして駆けまわる姿は、コナンとレナのよう。それから、やったー! とロッキーみたいに両腕をあげて地面に倒れこむ。その汗と呼吸音は、宮崎アニメのピュアさではなく、恋人たちの肉体的接触を求める精神の高揚を思わせます。
辛抱たまらず、野外で、互いの頭をさかさまにしたまま、キスするふたり。
ちょうど、胸元にばらのペンダントがのぞいているのもドキドキ。
その話を聞いたぼたん(黛英里佳)は「キスばかりしている女子高生がどこにいるかしら」とおかんむり。
美輪子ははじめて味わう悦びに夢中で、何もかも語って聞かせ、言葉攻めを受けるように、ぼたんは悶え苦しみます。
美輪子は18歳だから、直接的に激しいエロ描写を撮れないのか、言葉や見立てで行う表現に、次第にハマってしまいそう。
まずは、天ぷら。
多摩留の実家・お世辞にもきれいと言えない天ぷら屋に行った美輪子は、深窓のご令嬢っぷりを発揮、「平和でのどかで、ああいう普通の家庭のあたたかさは、うちにはないわね」と暢気なことを考えます。
これでもかと脂っこい天ぷらを頂く美輪子。
物語も天ぷらも脂っこい。
「美味しい、美味しい」「私ははじめてよ、こんな味」って台詞までエロく聞こえます。
次のデートでは、メジロ!! 朝ドラ意識しているのかしてないのか、わかりませんが、メジロもかなり重要。
「餌をやっても2日ともたない」と言う多摩留。これは、恋に夢中の若い子たちを物語るようで、メジロの恋人への思いに共感した美輪子は、メジロを籠から出して「ガールフレンドのもとへまっしぐらね」とご満悦。
この時、深窓のご令嬢という立場から自分を解き放ってしまった美輪子は、ラブホテルに行って多摩留と結ばれてしまいます。
ただもう舞い上がっているだけ、やりたいだけだろうと思うけれど、
「人を好きになると悲しくなるってこと」
「やるせなくってさ、心がけだるくて」
「したいしたいって思うと悲しくなるんだ」
「男が悲しいわけを、美輪ちゃん、わからしてやる!」と叙情にあふれまくる多摩留。
その時のことを語り続ける美輪子にぼたんは、
「やめなさい! やめなさい!
あんまりじゃないの、美輪ちゃん
あなたどうして、どうしてそこまで!
どうしましょう どうしましょう」と言葉を2回繰り返すほど半狂乱に。
なおも文学的な表現を続ける美輪子。ぼたんにとってそれは「よくもそんなあばずれ女みたいなことを言うわね」になってしまう。
処女を捨てた女は、あばずれのように強い。
「あなた嫉妬してるんじゃない」「ぼたんは私より年上なのに、本当の恋を知らないのよ」なんて、姉に対して容赦ない。
「なにもその年でいきつくところまでいかなくても。十代の恋って、もっとほのかなものでしょ。もっとさわやかなものでしょ」
ぼたんが、そんなふうにとがめたところで、美輪子はもうほのかな爽やかさには戻れない。
激しく落ち込むぼたん。瀬尾綱輝(片岡信和)は、いまのところ見た目は悪くないけれど、ウマヅラハゲのお父さんの血が流れていると想像したら、萎えますよね。
でも、ぼたんみたいな抑圧された子のほうが、いったん性欲解き放ったら歯止めが利かなくなりそう。
お父さんの崑一(岡田浩暉)もまだまだ精力満々で、50代のはじめ、最後にもうひと花さかそうとしているらしく、でもその欲望が自分には向かないので、眞澄(伊藤かずえ)も欲求不満そう。
うわ。やだやだ。性欲の強い家族なんでしょうかね、小日向家。
3週目からは、一家そろってお盛んになってしまうのでしょうか。
(木俣冬)
脚本:中島丈博 演出:西本淳一
「女は男とのセックスを知ってはじめて悲しみがわかるんだわ」(美輪子/逢沢りな)
2週目の終わりは、中島丈博先生の真骨頂。一気に吐き出される文学的な台詞の数々で、恋と性の哲学を学ばせて頂きました。
前述の名台詞は、アダムとイブが林檎を食べて楽園を追放されてしまったように、愛(性愛?)を知ることで、男も女も悲しみを知り、もう無邪気ではいられないということなのでしょうか。
何にせよ、恋に夢中で暴走しまくる若い美輪子と多摩留(戸塚純貴)が微笑ましいやら痛ましいやら。
美輪子を多摩留がお姫様抱っこして駆けまわる姿は、コナンとレナのよう。それから、やったー! とロッキーみたいに両腕をあげて地面に倒れこむ。その汗と呼吸音は、宮崎アニメのピュアさではなく、恋人たちの肉体的接触を求める精神の高揚を思わせます。
辛抱たまらず、野外で、互いの頭をさかさまにしたまま、キスするふたり。
ちょうど、胸元にばらのペンダントがのぞいているのもドキドキ。
その話を聞いたぼたん(黛英里佳)は「キスばかりしている女子高生がどこにいるかしら」とおかんむり。
美輪子は18歳だから、直接的に激しいエロ描写を撮れないのか、言葉や見立てで行う表現に、次第にハマってしまいそう。
まずは、天ぷら。
多摩留の実家・お世辞にもきれいと言えない天ぷら屋に行った美輪子は、深窓のご令嬢っぷりを発揮、「平和でのどかで、ああいう普通の家庭のあたたかさは、うちにはないわね」と暢気なことを考えます。
これでもかと脂っこい天ぷらを頂く美輪子。
物語も天ぷらも脂っこい。
「美味しい、美味しい」「私ははじめてよ、こんな味」って台詞までエロく聞こえます。
次のデートでは、メジロ!! 朝ドラ意識しているのかしてないのか、わかりませんが、メジロもかなり重要。
「餌をやっても2日ともたない」と言う多摩留。これは、恋に夢中の若い子たちを物語るようで、メジロの恋人への思いに共感した美輪子は、メジロを籠から出して「ガールフレンドのもとへまっしぐらね」とご満悦。
この時、深窓のご令嬢という立場から自分を解き放ってしまった美輪子は、ラブホテルに行って多摩留と結ばれてしまいます。
ただもう舞い上がっているだけ、やりたいだけだろうと思うけれど、
「人を好きになると悲しくなるってこと」
「やるせなくってさ、心がけだるくて」
「したいしたいって思うと悲しくなるんだ」
「男が悲しいわけを、美輪ちゃん、わからしてやる!」と叙情にあふれまくる多摩留。
その時のことを語り続ける美輪子にぼたんは、
「やめなさい! やめなさい!
あんまりじゃないの、美輪ちゃん
あなたどうして、どうしてそこまで!
どうしましょう どうしましょう」と言葉を2回繰り返すほど半狂乱に。
なおも文学的な表現を続ける美輪子。ぼたんにとってそれは「よくもそんなあばずれ女みたいなことを言うわね」になってしまう。
処女を捨てた女は、あばずれのように強い。
「あなた嫉妬してるんじゃない」「ぼたんは私より年上なのに、本当の恋を知らないのよ」なんて、姉に対して容赦ない。
「なにもその年でいきつくところまでいかなくても。十代の恋って、もっとほのかなものでしょ。もっとさわやかなものでしょ」
ぼたんが、そんなふうにとがめたところで、美輪子はもうほのかな爽やかさには戻れない。
激しく落ち込むぼたん。瀬尾綱輝(片岡信和)は、いまのところ見た目は悪くないけれど、ウマヅラハゲのお父さんの血が流れていると想像したら、萎えますよね。
でも、ぼたんみたいな抑圧された子のほうが、いったん性欲解き放ったら歯止めが利かなくなりそう。
お父さんの崑一(岡田浩暉)もまだまだ精力満々で、50代のはじめ、最後にもうひと花さかそうとしているらしく、でもその欲望が自分には向かないので、眞澄(伊藤かずえ)も欲求不満そう。
うわ。やだやだ。性欲の強い家族なんでしょうかね、小日向家。
3週目からは、一家そろってお盛んになってしまうのでしょうか。
(木俣冬)