騒動の矛先は人気作家・百田尚樹氏にも向けられている

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 ベストセラー作家、百田尚樹氏(58)の最新作(幻冬舎)が波紋を広げている。

 2014 年1月、64歳で亡くなった故・やしきたかじんの最後の2年間を描いた同作。32歳下の妻、屋舗(やしき)さくらさんの手記や証言を元につづられた内容に、各方面から疑問の声が噴出しているのだ。

2014年11月17日追記:”殉愛疑惑”に新展開! 最新記事もどうぞ。

芸能界のドンによる周到なプロモーションか

「タイトルが示すように、たかじんさんとさくらさんとの関係を『殉愛』と持ち上げる一方で、長くたかじんさんに連れ添った元マネジャーや、たかじんさんと前妻との間に生まれた娘についてはボロクソに叩いている。内容があまりに偏っていることに違和感を覚える人は少なくない」(マスコミ関係者)

 プロモーションの方法にもキナ臭さが残った。

 出版元の幻冬舎は、芸能界で強い影響力を持つ?芸能界のドン?と関係が深く、本の発売をスクープしたのは、このドンと蜜月関係にあるスポーツ紙。発売後には、同じくドンと関係の深い宮根誠司(51)が司会を務める情報番組「Mr.サンデー」に出演するなど、用意周到な演出に、

「バックにいる芸能界のドンの存在をこれでもか、と強調し、本への異論や反論を封じ込めようという意図が感じられる」(同前)

 との声がもっぱらだ。

 だが、人の口に戸は立てられないのが世の常。

 インターネット上では、同著のもうひとりの主人公ともいうべき、さくらさんへの疑惑が次々と噴出し、その火の粉が百田氏にまで飛び火する事態になっている。

「さくらさんがイタリア人の夫を持ちながら、たかじんさんと結婚していたという重婚疑惑です。さくらさんと思しき人物が過去につづっていたブログの内容が掲示板上でさらされて大炎上。さくらさんの証言に丸乗りした百田氏の作家としての姿勢を問う声も挙がっているのです」(事情を知る出版関係者)

 ネット上の非難に、百田氏が自身のツイッターで、

「ネット上で、たかじんさんの妻の経歴をほじくりかえして、鬼の首を取ったようにわめいているヤカラが大勢いるが、過去がどうだと言うのだ」

 と応戦するなど、まさに泥仕合の様相を呈し始めている。

 一方、そんな外野の喧噪などないかのように振る舞うのがマスコミだ。

 フライデー11月28日号(講談社)は、「やしきたかじん 愛妻さくらさんの献身と闘病生活」と題した記事で、闘病中のたかじんさんとさくらさんの秘蔵写真を掲載。「殉愛」の内容をトレースするかのように、晩年のたかじんさんに寄り添ったさくらさんの献身ぶりを紹介している。

 これまで数々のスキャンダルを暴いてきた同誌のことだ。「殉愛」にまつわる疑惑の数々も当然、把握しているはずなのだが……。

「まるで『殉愛』のプロモーションのような記事です。ただ、こんな提灯記事を書かざるを得ないのは、出版元の講談社が抱える『出版社タブー』があるからでしょう。商売の関係上、ベストセラー作家の百田氏を怒らせるようなことを書くわけにはいかない。講談社は、170万部近くを売り上げた百田氏の『海賊とよばれた男』の版元でもあるだけに、なおさらです」(先の出版関係者)

 芸能界に出版界。タブーだらけの「殉愛」をめぐる論争を報じるマスコミは今後現れるのか。

(取材・文/浅間三蔵)