関東一vs帝京
関東一・本橋 慶人
夏の東東京大会準決勝と同カードで、宿命の対決と言っていいほど、しばしば対戦する両校。関東一は、ここまで米田 克也、佐藤 佑亮、竹井 丈人ら上位打線の圧倒的な打力で勝ち上がってきたが、この試合では、上位打線の当たりは今一つ。それでも下位打線が活躍し、帝京に圧勝した。
関東一の先発は、安定感のあるエース・河合 海斗。1回表帝京は、2番・佐々木 俊輔がレフトの頭を越える二塁打で出塁。二死になった後、4番・郡 拓也は二塁への難しいゴロ。郡は一塁セーフで内野安打になったが、その間、俊足の佐々木は一気に本塁を突き、捕手のタッチを潜り抜けホームイン。帝京が足で1点を先取した。
帝京の先発は、安村 陸人。3回戦まではサイドから投げていたが、準々決勝からはスリークォーターにフォームを変えて登場。最速140キロを記録するなど、球は明らかに速くなった。しかしこの日は、制球が定まらない。
１回裏関東一は1番の宮本 瑛己が四球で出塁。宮本は2番・村瀬 佑斗の時に二盗をするも失敗。村瀬も三振で併殺となり、ここまでは、帝京のペースだった。
しかし安村は、2回裏も不安定な投球が続く。関東一は6番・山室 勇輝が死球、7番・山川 新太が右前安打。右翼手の返球が乱れる間に山川は二塁に進み一死二、三塁。8番・本橋 慶人の叩きつける打球が三塁手の頭を越え、2人が還り逆転。さらに1番・宮本 瑛己の中前安打で本橋も還り、この回3点。
帝京・岡�� 心
ここで帝京は安村 陸人に代えて、大胡 優太が登板。大胡は3回裏に3個の四死球で一死満塁としたところで、エースの高丸 優太に交代する。山川 新太は高丸からレフトへの犠飛を放ち、関東一は1点を追加する。
関東一は５回裏も佐藤 佑亮、山室 勇輝、山川の3者連続安打で1点を追加。一方制球力に優れ、安定感のある関東一の河合 海斗は、テンポのいい投球で帝京打線を抑える。それでも7回表は二死後、2番・佐々木 俊輔、3番・岡�� 心の連打、4番・郡 拓也の死球で満塁のチャンスを作る。ここで得点が入れば、試合はまだ分からなかった。続く佐藤 怜の打球は、センターへの大飛球。これを関東一の宮本 瑛己が背走して捕球し得点は入らない。
その裏、関東一は、一死後に山室が四球、山川がライトへの二塁打で二、三塁のチャンス。ここで8番・本橋 慶人は初球をレフトスタンドに叩きこむ3ラン。場内が唖然とする中、一気にコールドゲームが成立した。「ホームランは（高校に入って）初めてです。インコースの真っ直ぐでした」と本橋は語る。
この日関東一が打った9本の安打のうち、6本が6番以下の下位打線。打点も8点のうち、8番・本橋が5点、7番・山川が2点と、下位打線が挙げている。オコエ 瑠偉、伊藤 雅人ら傑出した選手はいなくても、日替わりでヒーローが生まれる。米澤 貴光監督も「打撃は良くなってきました」と手応えを感じ始めている。
決勝戦は、二松学舎大附の大江 竜聖との対決になる。「大江君は去年も打てていないけれども、何とか食らいつきたい。大江君を打たないと、夏もないですから」と米澤監督は決意を語る。またしても宿命の対決。準々決勝以降、大差の試合が多いだけに、決勝戦らしい好ゲームを期待したい。
（文＝大島 裕史）
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