日本航空vs白鷗大足利

写真拡大 (全2枚)

延長15回の激戦!エース片岡優大の激投に打線が応える!

水野敦之(白鷗大足利)

  第1試合。キャパが狭い市営大宮がすっかりと埋まってしまった。試合展開がお互い同じようにピンチを迎え、同じようにヒットが出ず、同じように点を取るという展開になった。

 まず立ち上がりは両先発が大荒れの展開。日本航空の先発・片岡 優大(2年)は無死満塁、白鷗大足利の先発・水野 敦之(2年)は無死一、二塁のピンチを招く試合展開に。片岡は三振、併殺。水野も併殺、内野ゴロに打ち取ってピンチを切り抜ける。そうなると今度は両投手のペース。

 日本航空の片岡はワインドアップからゆったりと始動し、左足を上げていきながら勢いよく踏み込んで、鋭く腕を振って投げる躍動感ある投球フォームから繰り出す直球は常時120キロ後半〜136キロを計測。

 スライダー、カーブのキレは悪くなく、ややボールが荒れ球気味だが、勢いで抑え込む投手だ。 一方、白鷗大足利の水野は踏み込みの幅は狭いが、しっかりと左足を踏み込んで、コンパクトなテイクバックから振り下ろすフォームから常時120キロ後半の直球、スライダー、カーブをテンポよく投げ分ける投手だ。

 5回まで出た安打は白鷗大足利の1本のみ。日本航空は1本も出なかったが6回に試合が動く。

 6回表、二死二塁から5番伊澤 京佑(2年)の適時二塁打で1点を先制すると、さら二死満塁から8番蘯菎臺紂2年)に押し出し四球で2点目をもぎとる。しかし日本航空も先頭の片岡が安打で出塁すると、二死一、二塁となって3番豊田理樹(2年)が右中間を破る適時三塁打で同点に追いつくと、4番藤沢広大(2年)の勝ち越し適時打で逆転に成功する。 

片岡優大(日本航空)

 しかし7回表、白鷗大足利は5番伊澤の左前適時打で同点に追いつき、3対3のまま。9回まで決着はつかず、試合は延長戦へ。 延長12回表、無死三塁から4番秋智也(2年)の左前適時打で勝ち越し。秋は179センチ85キロとガッシリ体型の強打者。どっしりとした構えから弧を大きく描いたパワフルなスイングが魅力十分だった。1年生4番の一打で、これで試合を決めたかと思えた。

 しかし日本航空は二死三塁のチャンスを作り、4番藤沢の左前安打で同点に追いつく。その後、お互い決定打が出ないまま試合は延長15回へ。延長15回表、白鷗大足利が無得点で終わると、15回裏、4番片野が左前安打。これをダイビングで捕球しようとしたレフトが打球を後ろにそらし、二塁へ。そのあと、一死満塁となって、代打の大津樹生(2年)がサヨナラ中前安打を放ち、決着をつけた。

 投げては片岡が15回完投。中澤学監督は「今日の試合展開を考えて片岡1人で投げ切れるだろうと考えていました」とエースにすべてを託した。片岡は終盤以降が良かった。球速は130キロ前半と球速自体は変わりないのだが、指先にしっかりと力が伝わったフォームにより、キレのあるストレート、スライダーがコーナーへ決まっていき、強打の白鷗大足利打線を抑え込んだ。後半に良くなった要因として片岡は「前半は肩の開きも早くて全くダメで、フォームを修正することを意識しながら投げていくうちに力が抜けてきて、自分の感覚通りに投げることができました」と振り返る。

 延長戦になると調子を上げられる投手は強い。それに応え、延長15回に仕掛けた代打策も見事だった。これで連戦がつづくが、もはや気力だけ。死に物狂いでベスト4を勝ち取る。

(文=河嶋 宗一)

関連記事・2015年秋季大会特設ページ