入る前にチェック！ あなたの志望企業は本当にもうかってる!?
あなたが就職を希望している企業はもうかっていますか？ どうせ入社するのであれば、きちんと利益が出ていて、経済的に安泰な企業にしたいものですね。入社したもののすぐに倒産した！ なんてことのないよう、その経営状態を自分の目できちんと確認してみましょう。
■確認しよう！ その企業は利益が出てる!?
会社の決算が公開されていれば、その内容を確認することで、その会社がもうかっているかなど、財務状況は自分で確認できます。「えーっ！ 賃借対照表を見るの！ 面倒くさい」なんて思うかもしれませんが、重視しなければならないポイントは限られています。
入社希望の会社の決算書には「賃借対照表」が出ています。その中からまず下の項目に注目してください。
●売り上げ……その企業の売り上げの金額
●当期純利益……その1期(1年)で企業に残った利益の金額
「売り上げ」は、その企業が活動して売り上げた金額です。この金額が大きいほど企業は大きくなりますね(中小規模でもびっくりするような売り上げを計上する企業もありますが)。
「当期純利益」はその期に企業にどのくらいのお金が残ったか、を示しています。この項目がマイナスの場合には、まず「大丈夫なの？」と思わないといけません。ただし、利益の出し方にもいろいろありますので、もう少し細かく見てみましょう。
ちなみに、決算書に▲で表記されていたら、それはマイナスの意味です。
■「利益」にもいろいろある！ 本業での利益は「営業利益」を見る
決算書を見てみると「利益」にもいろいろあることが分かります。まず、次の三つです。
●売上総利益……売り上げから「その売り上げのための原価」を引いたもの
●営業利益……その企業が本業で得た利益の金額
●経常利益……本業以外で得たお金、支払ったお金も差し引きした利益の金額
「売上総利益」とは、その企業が販売している商品の原価を、売り上げから引いたものです。これは一般に「粗利」といわれます。例えば、電器製品を販売している企業があったとすると、売り上げから、その電器製品の原価を引いたものが「売上総利益」になります。
「営業利益」は「本業で得た利益」とされます。売り上げのためにはさまざまな「販売管理費」が掛かりますね。「営業利益」は、「売上総利益」から「販売管理費」を引いたものです。本業というのは、上の例でいうと例えば「電器製品」の販売といったことです。
「経常利益」は、「営業利益」に本業以外での「プラス」「マイナス」を足し込んだものです。例えば、企業が持っている株式の配当金を受取った、借金の利息を支払った、などの場合は「本業以外」なのでここに足し込んで利益がいくらかを計算します。
ここまでで「売り上げ」の規模がどのくらいか、また利益が出ている企業かどうかが分かります。「売上総利益がプラス」でも、本業で赤字な企業は「営業利益がマイナス」になります。また、「営業利益がプラス」でも、支払利息が大きい企業は「経常利益でマイナス」になったりします。
■本業以外でもうかってプラスになることがある！
「経常利益」の段階まで来てマイナスなのに、最終的な「当期純利益」がプラスになっている企業があります。これは「特別利益」を上げているからです。「特別利益」とは、例えば「企業の保有していた不動産を売却してもうかっちゃった」といった、本業以外で、その期限りに現れた利益のことです。
経理の皆さんは「特益」と略して言うことが多いですね。逆に「特別損失」もあります。「投資していた株を売却したところすごく損した」といった、本業以外でのその期限りの損失のことです。経理の皆さんは「特損」と言ったりしますね。
「経常利益」に「特別利益」「特別損失」を計上したものを「税引前利益」といいます。
「経常利益」の段階でマイナスなのに莫大(ばくだい)な「特別利益」を足し込んだために、「税引前利益」がものすごく黒字になっている、そんな企業もあります。本業に惹かれて志望しているならば、そのような企業には注意しましょう。本業ではもうかっていないのですから。もうかっていない事業は続きません。
「税引前利益」から法人税などの税金を引くと最終的な「当期純利益」になります。
このような利益の表記の仕組みを知っていると、企業の見方もずいぶん違ってきます。ぜひ参考にしてください。
文●高橋モータース＠ｄｃｐ
