心よりカラダをキープしてないと不安になる駄目女「まれ」75話
朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)6月24日(水)放送 第13週「運命カカオ64%」第75話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出: 川上剛
イケメン頼りかと思わせて、やっぱり女のドラマ。藍子(常盤貴子)を描かせると「まれ」は俄然面白い。なぜかというと、藍子が唯一と言っていい、本音がわからない人物になっているから。
75話の、輪子(りょう)に藍子が電話して語る場面には、身を乗り出した。
自分に興味をもつ輪子に、「わたしはふつうですよ。」と交わす藍子。
輪子「ふつうじゃないよ期間限定の離婚なんて」
藍子「ああ、そこですか」
輪子「こわくない?」
藍子「?」
輪子「できないよふつう。私なんて心よりカラダをキープしてないと不安になる駄目女だからさ、ないなあそんな勇気」
藍子「私もないですよ、勇気なんか。確かなものがないと不安でしょうがない。臆病な女なんですよ」
笑顔でそう言うと、電話をそそくさと切ってしまう藍子。その後の藍子の無言がしばし続く。
カットが切り替わり、輪子は水晶を見る。そこに“引き出し”が映ると、次のカットでは藍子がタンスの引き出しを開けとりだした箱には離婚届が入っている。それを見つめる藍子は何を考えているのか、ドラマはまだ答えを出さない。本心だだ漏れドラマなのに。
藍子は能登に根付きたいと願いながら、自分の気持ちを誰とも共有していない。能登ではなんでも分け合うのが当たり前だとさんざん描かれているにもかかわらず。
その前のシーンでは、文(田中裕子)が、藍子の母・幸枝(草笛光子)とおなじように、徹(大泉洋)が成功しないのは藍子が原因のようなことを言いだす(徹いわく「悪意のあるまとめ方」)。
いままでのこのドラマの流れから考えると、単に思わせぶりなだけかもしれないし、脚本家が藍子という女に思い入れて描いているのかもしれないし。ぜひとも後者であってほしい。
藍子とは、無意識であれ夢をスポイルする存在という魔女的なものなのかもしれず、夢に向かう徹や希との対決はちょっと見てみたい。
徹「まじめな話していい?」
文「まじめな話だけしとれま。」
そして、徹は
「次から次へと、夢を消費していったんだよね。」と自分のこれまでを振り返る。
いままでのこのドラマの流れから考えると、単に思わせぶりなだけかもしれないし、脚本家が夢について真剣に描いているのかもしれないし。ぜひとも後者であってほしい。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))
自分の気持ちを誰とも共有していない
イケメン頼りかと思わせて、やっぱり女のドラマ。藍子(常盤貴子)を描かせると「まれ」は俄然面白い。なぜかというと、藍子が唯一と言っていい、本音がわからない人物になっているから。
75話の、輪子(りょう)に藍子が電話して語る場面には、身を乗り出した。
自分に興味をもつ輪子に、「わたしはふつうですよ。」と交わす藍子。
輪子「ふつうじゃないよ期間限定の離婚なんて」
藍子「ああ、そこですか」
輪子「こわくない?」
藍子「?」
輪子「できないよふつう。私なんて心よりカラダをキープしてないと不安になる駄目女だからさ、ないなあそんな勇気」
藍子「私もないですよ、勇気なんか。確かなものがないと不安でしょうがない。臆病な女なんですよ」
笑顔でそう言うと、電話をそそくさと切ってしまう藍子。その後の藍子の無言がしばし続く。
カットが切り替わり、輪子は水晶を見る。そこに“引き出し”が映ると、次のカットでは藍子がタンスの引き出しを開けとりだした箱には離婚届が入っている。それを見つめる藍子は何を考えているのか、ドラマはまだ答えを出さない。本心だだ漏れドラマなのに。
藍子は能登に根付きたいと願いながら、自分の気持ちを誰とも共有していない。能登ではなんでも分け合うのが当たり前だとさんざん描かれているにもかかわらず。
その前のシーンでは、文(田中裕子)が、藍子の母・幸枝(草笛光子)とおなじように、徹(大泉洋)が成功しないのは藍子が原因のようなことを言いだす(徹いわく「悪意のあるまとめ方」)。
いままでのこのドラマの流れから考えると、単に思わせぶりなだけかもしれないし、脚本家が藍子という女に思い入れて描いているのかもしれないし。ぜひとも後者であってほしい。
藍子とは、無意識であれ夢をスポイルする存在という魔女的なものなのかもしれず、夢に向かう徹や希との対決はちょっと見てみたい。
勝手に、今日の名言
徹「まじめな話していい?」
文「まじめな話だけしとれま。」
そして、徹は
「次から次へと、夢を消費していったんだよね。」と自分のこれまでを振り返る。
いままでのこのドラマの流れから考えると、単に思わせぶりなだけかもしれないし、脚本家が夢について真剣に描いているのかもしれないし。ぜひとも後者であってほしい。
(木俣冬)
エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから
いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))