ロック画面に表示される通知からアプリが一発起動できるようになったLollipop。スゲー便利! でもアプリ次第で前バージョンでもできるんですよね

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やっと“降って”きたLollipop


親方!空からLollipopが!!
スマホはOSをアップデートしてナンボ。電話帳やら銀行口座やら個人情報の塊である端末は悪い人達に狙われていて、最新セキュリティでガードを固める上でも必須。それに新機能の追加や、インターフェースの手触りがガラッと変わることもある。iPhoneがフラットデザイン(グラデーションのないのっぺりしたデザイン)になり、良くも悪くもおニューな装いになったように。
現在のAndroidの最新バージョンであるAndroid5.0、通称Lollipopは、歴代の中でも重みがハンパない。まず、待っても待っても“降って“コネー!だったことが一つ。その日が来れば一斉にアップデートできるアップル端末と違って、Androidはスマホ一つ一つに順番待ちがあり、キャリアやメーカーから通知が“降って”来て初めて可能になる銀行の番号札方式だから。自分でネットに落ちているデータを入手して「ROMに焼く」こともできるんですが、そこは自己責任で調べてください。

筆者が肌身離さず愛用してるスマホ、というには6.4インチの液晶がデカすぎて「ファブレット」と呼ばれる某Xperia Zシリーズのアップデートが始まったのは今年の1月あたり。それから“降って”来るのを待つこと4ヶ月、Lolipopの不具合をボヤく声にさえ嫉妬を覚えた長いトンネルをやっと抜けたのです。

前バージョンからのアップデートは……意外とイケてない?


前バージョンのAndroid4.4、通称“KitKat”(歴代Android OSはお菓子の名前にちなんで命名されてる。商標権を持ってるネスレ公認)からの変更点はけっこうある。第一に、マテリアルデザインの採用によって画面の印象はかなり別もの。のっぺりして切り紙みたいで…アップルのフラットデザインとどこが違うの?というと、ぶっちゃけ同じようなもの。「時代がそっちに向かってるから」としか言いようがない。
そしてスリープ状態から復帰した時のロック画面では、メールの受信などが通知され、それをタップして直接アプリを起動できる。通知→ロック解除→さっきのアプリはどれだったかな……と探すまでもなく、通知→タップですぐメールが読めるのはスピーディーで快適です。

が、「いまさら」感も否めない。Androidは各メーカーごとのカスタマイズがバリバリされてて、しかもホーム画面も独自のアプリに差し替えられる。筆者がサブ機にしてるXperia Z3 COMPACT(Docomo端末なのにMVNOのSIMでテザリングできるいい子です)もまだKitKatですが、ロック画面からのアプリ起動はすでに可能だったりします。
スマホでもマルチユーザー、つまり複数のユーザーが使えるようになったことも大きなトピックスのようで、ちょっとビミョー。少なくとも日本で他人にスマホを貸すシチュエーションは考えにくいし、家族もふつースマホは一人につき一台。仕事用とブライベート用のアカウント使い分けを…と言っても、セキュリティに神経質な職場であればスマホの持ち込みそのものが禁止されてるはず。

SDカードへの書き込み復活で、ぜんぶ許す!


ハッキリ言えば、ルックスをお化粧直ししてアップル製品と歩み寄って、中味はさほど変わらず。メジャーアップデートの後にありがちな不具合やデメリットを考えれば、次のマイナー修正まで"様子見を決め込むのもアリです。
そうしなかった理由はただ一つ。SDカードへの書き込み制限が解除されたことですよ。AndroidにあってiPhoneにないもの、それはSDカードスロットの存在。機種によってあったりなかったりしますが、内蔵メモリ(ROM)は買ってから増やしようがないので、後から足せるSDカードは心強い味方です。最近は大容量microSDXCも値下がりしてますしね。

しかし、前バージョンのKitKatはSDカードへの書き込みを制限してしまった。それ以前はサイズの大きなアプリを内蔵メモリからSDに移せていたのに、「できたこと」が「できないこと」にされちゃったんです。
Androidを提供するGoogleにとっては、この制限は「進歩」でした。OS的にはSDカードに保存されたデータを保護する最小限の機能しかなかったから、アブないことは禁止してしまおうと。Google端末はNexus7にしろNexus5にしろSDカードが使えないので、気づくの遅れたけど以降はアカンからね!というわけ。
もちろんAndroidユーザーには大不評。内蔵メモリが少なめ=スマホ本体を安く抑えてSDカードで補えなくなったんですから。加えて、シムフリー端末は国内キャリア版より内蔵メモリが控えめにされがちで、そちらにもダメージ。わざわざ64GBのmicroSDXCを挿してるのに、内蔵16GBでやりくりを強いられ、新アプリを入れるたびに旧アプリを消す意味不明な苦労をさせられてたんですね。

GooglePlayMusicやDropboxでメモリをさらに節約


KitKatからLollipopになって、再びSDカードへの書き込みが解禁。免許を取ったというより免停が解除されて半笑いな気分ですが、ともあれめでたい。アプリ本体もさることながら、メモリをバカスカ喰らう電子書籍アプリをSDカードに追い出すことができるのが最高です。
そんなわけで設定のアプリメニューに行って、さんざんメモリを圧迫してくれたアプリを移動させましょう。手始めはAmazon Kindle、キミに決めた!

……と思ったら、なんということでしょう。すでに本体を除いた書籍データは「SDカード上のデータ」としてそちらに片付けられてました。他の外部データをダウンロードするタイプのアプリも似たことをしていて、特にいじらなくても内蔵メモリには2GB近い空き容量。Lolipop、気配りができるいいやつだ!
 かつてSDカード移動の定番だったアプリも問題なく動作していて、Kindleはもちろん楽天Koboなどの電子書籍アプリもサクッとムーブ。ただ、なんでも移せばいいというもんでもなく、調べもので瞬間的にすぐ使いたいアプリは内蔵メモリに留めておくのがベター。WebブラウザのSleipnir(http://www.fenrir-inc.com/jp/android/apps/sleipnir-mobile.html)はSDに置くと激重だったり、ホーム画面のアイコンが怪しくなったりでソッコー戻しました。本来は他アプリとの連携やios版とのブックマーク同期も便利でデキる子なんですよ。

とはいえ、SDカード容量も無限じゃないし、保存データが大量になるほど事故った時の紛失リスクが怖い。PCのiTunesから吸い出してクラウドに置いた楽曲データをストリーミングで聞けるGooglePlayMusicやら、スマホで撮影した画像を自動で転送するAndroid版Dropboxをインストールしておけば、ローカルメモリは節約できるし大事なデータも安全です。

「最新」にキャッチアップしやすい国際版スマホの魅力


SDカードへのアプリ移動“だけ”でお勧めできるLolipopへのアップデートですが、全てのスマホが恩恵にあずかれるわけではありません。
OSをアップデートするかどうかはキャリアやメーカーの判断に委ねられていて、ユーザーにはなすすべなし。ドコモはソニーのXperia Zシリーズについては二世代目のZ2までのアップデート予定をアナウンスしていて、発売されて2年にも満たないZ1は早々に外されてしまいました。現在、有志によってLolipopアップデートを求める署名運動に発展し、総務省にもキャリアのアップデート早期打ち切りにつき意見を求める問い合わせを送ったとか。

国内キャリア版も修理やサポートが受けやすかったりメリットは少ないのですが、ガジェット好きで「最新」にこだわるなら、海外通販で買える国際版がお勧め。国際版のZ1はLolipopのアップデートがすでに配信されていますし、一般に国内版よりも対応がすばやい。それに格安MVNOの価格競争がアツいいま、シムフリーの国際版は通信費を節約するためにも魅力ある選択肢です。
まぁ技適マーク(国内で無線を使用してもいいよというマーク)がない端末で国内で通信するのは厳密には違法なんですが、ソニーならグローバル版Xperia Z3は全モデルが技適を通過しており、今後の国際展開&シムフリーの流れは決定的でしょう。技適マークの有無をチェックしつつ、海外通販サイトを巡回するのも楽しいですよ!
(多根清史)