東北にも一部アイヌ信仰が残っていたため、アイヌ文様の巫女服なんだそうです。

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現在KindleのKADOKAWAメディアフラッパーのコミックス559冊が50%オフセールをやっています。
『エリア88』や『アタゴオル』シリーズなども、どどーんと50%オフ。まとめ買いのチャンスです。

今回のセールで、特にこれはオススメ! という作品をピックアップしてご紹介。

『くまみこ』
今「世間知らずなキャラクター大会」をやったら、おそらくトップレベルを狙える少女、まちと、人語を話せるクマのナツが、東北の村の人々の喧騒をよそに、のんびり山奥で暮らす物語。
……なんだけど、まちだって思春期の女の子、都会に出たい! 町の高校に進みたい! 
ところがまちは極度の対人(村人以外)恐怖症。山の中暮らしがこじれて、電化製品が一切使えないくらい世間ずれしています。
まるで父親のように見守るナツ。センダイに行ったら石を投げられるとおびえるマチ。
一応「巫女」という体裁ではありますが、なんもしていません。巫女姿はアイヌ文様が入っていてかわいい。
人間と人間じゃないものが一緒に暮らす時って、だいそれたことはない。意外とのんきなもんかもね。

人と、人ではないものの交流を描き続けている吉元ますめ。
全裸ワイシャツのみの少年(!)の妖怪と過ごすことになった『おしいれのわらしさん』、文字通りいもむしと結婚させられてショックを受ける『イモムシのおよめさん』もオススメです。

『となりの関くん』
マンガ『となりの関くん』なぜこんなに売れてる!? - エキレビ!
アニメ化された『となりの関くん』。なにをとち狂ったのか実写化されるそうで。お、面白いのか!?
となりの席にいる関くんが、ひたすら授業中にさぼって一人遊びをする、という体裁の作品。あるあるだったのが、現在果てしなく不可能の領域に突入中。

人気の秘訣は、ヒロインの横井さんとの「無言コミュニケーション」。
関くんは一人で遊びに没頭する。それを注意しようとする横井さん。
授業中だから声は出せない。いかにして彼のエスカレートする遊びを横井さんは注意するか。
彼女の試行錯誤と、関くん拒絶はまるで阿吽の呼吸。どちらが勝つかわからない、けどお互い何を言わんとしているかわかる、という関係が出来上がっている。この夫婦漫才が必ず入るので、大変心地よい。
疲れた時に是非。どっからでも読めるしね。

『34歳無職さん』

日本は不思議な国だ。
だって、34歳の無職の女性の日常を描いたマンガが、ヒットするんだからね。
34歳の1年間は、無職で暮らそうと決めた女性。名前は不明。元夫と娘がいるらしいけど一人で無職暮らし。
ページによっては、朝起きて、顔洗って、身支度して、朝ごはん作って……と、本当にただの「日常」を描いている作品です。ここだけページを切り取って見せても、面白くもなんともない。
ところが読み進めていくと、彼女が自分のペースでゆっくり一日を過ごしていくうちに、色々な「思考」を巡らせる余裕がでてきているのがわかります。
普段考えなかったようなことでも、考える時間がある。新しい発見や、大切にしていたものを思い返せる。
小さい部屋の、34歳女性の、ささやかな自分探しの旅なのです。
あえて休もう。34歳女性、人生の休日『34歳無職さん』 - エキレビ!

『不器用な匠ちゃん』
Q:狭いサークルで仲良くなった趣味が同じ男女は友達でいられるか。
A:無理じゃね!
趣味でつながった男女が友人のままでいるのは可能か - エキレビ!
一人ぼっちで武器模型を作っていたヒロイン。しかし模型好きの男女が他にもいることがわかり、そこに呼ばれて、みんなで模型作りを楽しむ「アトム会」を作ります。
男女半々くらい。全員一心不乱に模型を作る。ところまではよかった。
むりだろそんなのよー。絶対意識するだろ男女を! 好きになっちゃうだろうがよ!
わかっているから、アトム会を壊したくないから、ヒロインは自分の恋心を「無かったこと」にしようとします。

結局は、「不器用」だったのは全員だったね、というお話。手先が器用で、恋愛は不器用。
善人しか出てこないので、安心して彼ら・彼女らの戸惑いを楽しみましょう。
人によっては、読んでいて痛いかもね。

『げんつき』
あくまでも原付きです。
相模大野女子高に通っている沙耶と詩の仲良し二人。一人は原付き運転係で、一人は写真撮影係。
125ccの原付で、相模大野からそれほど離れていない神奈川のスポットを巡っていきます。
事件は何も起こりません。バトルもありません。でも「日常系」ではありません。
「原付き」であることに意義がある。原付きだからめちゃくちゃ遠くまでかっ飛ばすことがまずできません。スピードも早くありません。
だから、ゆっくりのたのた走っては、普段見つけないものを見つけて、写真をパシャリ。

彼女たちは「写真」のために走っており、「走るため」に写真を撮ります。
マンガの中で描かれる神奈川の風景は、本当にどうでもいい、どこにでもある光景、のはず。
ところが二人の目線を通してみると、なぜかパノラマのように広がっていて、ワクワクする(毎回見開きです)。

ダンス・マカブル『西洋暗黒小史〜』
『乙女戦争』などで歴史上の戦争や政治を描いている作者。彼が歴史の中の、救われなかった真っ黒な部分を詰め込んだオムニバス作品集。
拷問、殺人、魔女裁判、処刑。救いのある話は一切ありません。
登場する中には、ジル・ド・レイ、エリザベート・バートリー、カリグラなど、残虐であるがゆえに歴史に名を残した人物が、具体的に何をしたか詳細に描かれています。
また、ジャンヌ・ダルク、イエス・キリストなど、殺害された有名人も載っています。
歴史の本として読むには適しません。歴史上で起きた残虐行為を読む本です。なので、ゴア表現が苦手な人は読んではいけません。
逆に、残虐行為が淡々と描かれることで、歴史上で起きた現実の一部を知りたい、扉を開きたい、という人向け。ただし、現実がこのくらい過激だったのかどうかは、誰にもわかりません。

ぶっちゃけ残忍な行為を見たい人向け。
フィクションにおける残虐シーンって、往々にして「悪」として読める。だから自分の怒りをぶつけやすい。読んでいて「ジル・ド・レイいくらなんでもありえない!」と義憤がわきます。
そうするとなんか、すっきりするんですよね。絶対許せない殺戮や拷問を見ると、不思議にたかぶった心が落ち着いてくる。

ニート女と小学2年生
個人的に今回のイチオシ。
大学に行かないニートの19歳。家の扉の前で泣いていた小学二年生。
人への不信感を抱えていたニートのところに、二年生の少女は何度もやってくる。
自然と仲良くなる二人。でもだんだんわかってくる。自分たちは友だちがいない。独りだ。
ある日、二年生の少女に重大な事件が起き、彼女は泣き喚く。

女の子はいつも不安。孤独。不信。自分だけ人に笑われているのではないか。
オムニバス形式で、少女たちの不安を、ちょっとだけ不思議に変えて描いた作品集。
特に表題作の、5年後の姿は必見ですよ。

セールは7月2日までです。
そこそこ期間があるので、じっくり作品を眺めながら、チェックしてみてください。

(たまごまご)