巨人戦、テレ東に9連敗

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   巨人戦視聴率が失速、巨人軍ビジネスそのものまで揺さぶっている。なにせ、あのテレ東に9連敗したのである。1試合2億円といわれるテレビ放送権料は値崩れを起し、試合中継の取りやめも相次いでいる。

   巨人戦視聴率のひどさを象徴するような「事件」があった。水曜20時のテレビ東京の「いい旅・夢気分」は5月24日(13.0%)の放送以降、巨人戦中継に負けなしである。8月第3週は「夢気分」10.7%に対し日本テレビの「巨人×ヤクルト」5.2%で9連勝を達成した。(ビデオリサーチ調べ、関東地区)

視聴率15%が黒字の条件

   この「快挙」にテレビ東京は「巨人戦は意識していないが、地道ないい番組であることが証明できたのはうれしい」とJ-CASTニュースに対して笑顔で語る。一方の日本テレビは「感想?特に無いですね」と素っ気なかった。ゴールデンタイム、しかも制作費が5分の1近い番組に巨人戦9連敗はよほどの屈辱のようだ。

    この週は夏の高校野球甲子園大会「駒大苫小牧×早実」決勝戦引分け再試合がNHK29.1%で、テレ朝(4.6%)、衛星第2(未発表)を加えると30%の高視聴率。3月のワールド・ベースボール・クラシックの決勝(日本×キューバ)の43.4%に続き、野球自体の人気の高さは変わっていない。

   巨人戦視聴率の低迷で8月、視聴率3冠王を続けるフジテレビは8月以降の全面的放送中止を発表、読売グループの日テレも同月の対広島戦の放送を取りやめ、テレ朝もこれに続いた。日テレでさえ放送中止、という報道も流れている。来季もこの傾向は続くとみられている。
   巨人戦中継はどのくらい金がかかるのだろうか。テレ東の菅谷定彦社長は「視聴率15%が取れると考え放送権料1試合1億円で購入した。制作費に1,300万円かかった。これに対しCM料は5,000万円だった」とこぼす。視聴率は5.5%だった。CM料が1億1,300万円以上入らないと赤字になる。それには視聴率15%が条件だ。

CM単価の高い自動車、通信などの企業はCMを出さない

   主に巨人戦を見るのはM3層(50歳以上の男性)という個人視聴率調査のデータがある。M3層に合う広告主は入れ歯安定剤、オムツ、お茶漬けなどで、CM単価の高い自動車、通信などの企業はCMを出さない。優良な広告主も逃げ出したようだ。
   在京民放キー局5社の第一4半期 決算(4〜6月)にも巨人戦視聴率の影が忍び寄っている。巨人戦中継の多い日本テレビは巨人戦視聴率が6月に10%を割り込んだことが影響して売上高は861億円と前年同期比0.9%ダウンとなった。
   入場料収入も今年前半の観客数は前年比0.5%%減だが、実際は開幕直後からタダ券が配られるなど青息吐息。(株)読売巨人軍は球団経営コストが150億円かかるとして放送権料、入場料収入が3割減ったら来季の収支は赤字―と週刊誌「アエラ」は試算した。
   巨人は生き残れるのか。「かつては20%の視聴率が当たり前でドル箱だったの巨人戦もいまや完全なお荷物になった。大リーグに行った松井やイチローを呼び戻すしか手はない。大リーグ中継にスポンサードする広告主の動きも有る」。
   こういって、巨人担当記者は空を仰いだ。