快勝スコアから見えた皮肉なポイント ／ グアテマラ戦
前半こそ0-0だったものの、後半に入ると50分、長友佑都のクロスから本田圭佑がヘディングシュートを決め先制する。69分には香川真司の折り返しを工藤壮人が押し込み、76分、遠藤保仁がFKを沈めて3点を奪い、相手を無得点に抑えて日本が3-0で勝った。
試合をダイジェストで編集するとこうなるだろう。だが、とても快勝とは呼べない試合内容だった。
その中で、日本代表が8月のウルグアイ戦から改善された部分を敢えて見つけるとすれば、中盤の守備だった。
長友佑都は「中盤から前の選手が守備に頑張っていてくれた」と振り返る。そして、「その中盤の守備が最近の失点増の要因だったのか」という質問に「もちろん、それはあります」と答えた。
グアテマラ戦で遠藤はいつもながらのパスを供給すると同時に、厳しいチェックで相手の攻撃の芽を摘んだ。長谷部誠も飛び出しを自重しているかのような、慎重なプレーぶりをみせた。ワールドカップ予選の頃の守備に戻りつつあると言えるだろう。
だがこの試合で最も目立ったのは、このポイントではない。試合の流れを劇的に変えたのは、75分、香川を下げて今野泰幸を投入し、3バックに変更したことだ。
ザッケローニ監督が常々語っているとおり、「3バックは点を取りに行くオプション」ということなら、このシステム変更は相手のシステムとのミスマッチを作り、その隙を突いて得点を重ねるための交代だったのだろう。ところがグアテマラのほうがマークがずれた日本を攻めることになった。もしグアテマラの力量がもう少し上だったら、手痛い反撃を食らっていたことだろう。
守備ラインのサイドのスペースをどう埋めるか、アウトサイドのMFはどこを守備するのか、整理されているとは言えない状態が続いた。グアテマラを相手に苦労するシステムが、9カ月後の本番で切り札の布陣になり得るのだろうか。
スコアだけを見ると快勝だ。しかし本来は75分からギアを上げ、さらに加点しなければならなかったはず。3-0は喜ばしいことではなく、5-0にできなかったことを悔やまなければならない結果だったのだ。攻撃的になるはずが、守備に問題が見つかるという皮肉な内容になってしまった。
キリンチャレンジカップ2013：日本 3―0 グアテマラ
[2013年9月6日、長居スタジアム]
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