2点目のゴールをもたらしたのは、工藤壮人（写真左）。吉田麻也（中央）が、感謝するように抱きしめていた。　（撮影：フォート・キシモト）

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【森雅史の視点 ／ 代表戦でのミスが目立っていた吉田。無失点で終えたこの試合をどう感じたのだろうか】

試合後、最近の失点について聞かれた長友佑都は少し声を大きくして答えた。

「ディフェンスラインの選手がミスして失点して、その選手ばかりが責められがちですが、結局チームとして連動できていないから、最終的にそこに大きな問題を抱えるわけで、そこをチームとしてしっかり見ていかないと（いけないでしょう）。僕は最終的にミスした選手だけの問題ではないと思っています」

「最終的にミスした選手」として、これまでの試合でスポットが当たったのは吉田麻也だった。この日、吉田は森重真人と北京オリンピック以来のコンビを組み、センターバックを務めた。

たとえ相手とどんなに力の差があってもサッカーでは失点することがあり得る。そんな思いがあったのだろうか、吉田は慎重にプレーし、相手に得点を許さなかった。

ミックスゾーンに出て来た吉田の表情は引き締まっていた。

――これまではセンターバックの右だったが今日は左で出たけれども
「監督からの指示はありませんでしたし、チームでは右も左もやっているので、違和感はありませんでした」

「相手のレベルもありますが、潰すところでしっかり潰したり、もっと潰せるところもあったので、全体的には悪くなかったと思いますが、次のガーナ戦、強い相手とでもそういう部分を出していけるようにやっていきたいと思います」

「攻めているときの危機管理で、後ろをしっかり組織できているように意識してプレーしましたし、今日はサイドバックが非常に気を遣いながらやってくれたので、すごくやりやすかったので、これを続けていけたらいいと思います」

「無失点に抑えたし、点もたくさん取れたので悪くはなかったと思うのですが、もっと点が取れたと思うので、貪欲にやればよかったと思います」

「監督はちょっとベーネ（いい）と言っていました」

いつもしっかり質問に答える吉田だが、好調なときの笑顔はまだ少ない。攻めてこなかったグアテマラ相手に無失点というだけでは、まだ本人も安心できないのだろう。

ただ、非難が自分に集中していると本人が感じていたのなら、もしかしたらこの試合結果は自信を取り戻すきっかけになったのではないだろうか。

記者が囲みを解き、歩き始めた吉田に「無失点で良かったですね」と声をかけると、吉田は振り返り「はい、よかったです」と答えた。その表情からは記者たちに質問されていたときの固さが消え、口元に安堵とも取れるような大きな笑みが浮かんでいた。

キリンチャレンジカップ2013：日本 3―0 グアテマラ
[2013年9月6日、長居スタジアム]