電波状況? 通信エリア? 携帯電話の「つながりやすさ」について考える
ソフトバンクモバイルの「つながりやすさNo.1へ」というCMが話題になっている。

これは、スマートフォンの通話接続率、データ通信接続率を紹介したもので、ソフトバンクの電波改善をアピールする内容だが、ソーシャルの反応などを見ると、すべてのユーザーが“つながりやすさ“を実感しているわけではないようだ。

本当に電波の改善が進んでいるのだろうか? そこで本稿では、「そもそも携帯電話の『つながりやすさ』とは何なのか?」というところを改めて考えていきたい。

「つながりやすさ」の定義はいろいろあるが、要は「使いたい」と思った時に「使えるか」どうかがキモだ。

携帯電話は無線通信のため、有線接続に比べれば安定しないし、特に「インターネット」はもともと「必ず安定してつながる」ことを目指したものではない。

それでも、特にスマートフォンが普及するにつれ、例えばWeb検索をしようとしてつながらない、Eメールが受信できない、地図が表示されない、スピードが出ないなどいった問題が良く聞かれるようになった。

この「つながりやすさ」にはいろいろな要素があるが、キーワードとしては「3G」「LTE」「プラチナバンド」などといったものがある。

3Gとは「第3世代携帯電話」のこと。

「第1世代」は「ショルダーフォン」などの「アナログ方式」、「第2世代」は、これをデジタル化したPDC方式などのことで、一昔前の「ムーバ」などの携帯電話がこれに当たる。

第3世代は、ドコモでは「FOMA」と言われていた方式で、デジタル方式を進化させ、データ通信速度の向上などを行った。

通信方式としてはW-CDMA、CDMA2000と呼ばれていたものだ。

すでに第1世代、第2世代は日本で使われておらず、この3Gが主流だ。

この3Gのデータ通信速度を高速化したHSDPA、HSPA+などといった方式もあるが、基本的にはまとめて3Gと呼ばれている。

続いて次世代の通信規格が「LTE」となる。

LTEは、現在は4G(第4世代)に位置づけられている通信規格で、3Gより高速、大容量、低遅延などといった特徴がある。

データ通信が高速化するとともに、通信の反応が良くなり、いろいろなメリットがある。

このLTEは、「つながりやすさ」を改善する技術としても期待されている。

無線通信の場合、1つの基地局で通信できるユーザー数が物理的に限られており、同じ基地局にたくさんの人が集まると、速度が低下したり、圏内なのにデータの送受信ができない事態になる。

LTEは周波数利用効率が高く、1つの基地局に収容できるユーザー数が多くなる。

基地局をLTE対応することで、そのエリアの混雑具合は緩和されることが期待できるわけだ。

「プラチナバンド」は、ソフトバンクが最初に使い始めた言葉だが、電波の波長がより長い(数字が小さい)帯域(バンド)のことで、だいたい700〜900MHz帯辺りのことが言われている。

この帯域は、これまでNTTドコモ、KDDI、イー・モバイルが所有していたが、周波数再編でソフトバンクも取得している(さらにイー・モバイル買収で追加されている)。

一般的に電波は波長の長い方が障害物にぶつかったときに回り込む特性があり、窓などからの浸透も強い傾向がある。

ビル陰や建物内への電波が届きやすくなるといったメリットもあるが、しょせん電波であり、ビル陰を全てカバーできるわけでもない。

そうするとビル陰をカバーできるように基地局を建てる必要があり、そうなるとプラチナバンドである必要は(あまり)ない。

屋内については、プラチナバンドであってもどこでも届くわけではないので、屋内基地局を設置することになるが、下手に外の電波が入りすぎると混信を避ける必要が出てくるし、プラチナバンドがあれば全て解決するわけではない。