あなたの募金は現地に届くのだろうか?

写真拡大

 まず、東日本大震災における犠牲者の方々のご冥福を深く祈る。そして、被災者の方々が、すこしでも早く普通の生活ができるようになることを願いつつ、記事を書かせていただくことにしよう。

 地震の発生以降、さまざまな場所で、お店で、サイトで、被災地に送るための「募金」がおこなわれている。募金とは、お金を募る側にも、お金を出す側にも、細心の注意が必要な行為である。にもかかわらず、混乱のどさくさと、自己満足の善意とがいり混じり、安易にお金を募ったり、安直にお金を出してしまう状況が見うけられる。

 地震の被災者がもっとも必要なモノは、なにか。食料や衣類などは必要だが、交通手段が限られているため、確実に届くかどうかわからない。ボランティアとして、現場で支援しようと思っても、混乱した現地ではボランティアの人員の整理をしている時間などなかろう。おそらく、被災者が必要としていて、かつ有用なモノが、お金であることはまちがいない。

 こうして「現地にお金を送ろう!」と思いたつ。ちょうど、誰かが募金を集めている。そして、募金をすれば、自分のお金は現地の被災者に届くに違いない……。はたして、ほんとうにそうなのだろうか?

 募金のお金を混乱した現地に届けるのは、至難の業である。銀行や郵便局などの金融機関は機能を停止し、送金を受けとる側の役所などの業務も混迷を極めていよう。だからこそ、募金を集める側もお金を出す側も、以下の点を確認したうえで、確実に被災者へ届くような道を探るべきである。

 募金を集める側の最低限の確認事項は、集めたお金をどこの誰に振り込めば、確実に被災者へ届くのか、ということ。さらに、その「どこの誰」は、受けとったお金を被災者に届けるのか。モノで配るのなら、なにを買って配るのか。これらを確認したい。

 お金を出す側は、募金する側がどのようなルートで、集めたお金を現地に届けるのかを確認しよう。募金をしているのが「大きい組織だから」とか「有名な店だから」というのは、正確な基準にはなりえない。とくに重要なのは、軽い善意でお金を出して自己満足するだけでなく、めんどうがらず、お金が現地にしっかり届くかどうかを確認するということだ。

 「自分の金を、どう使おうがかまわないだろう」という人がいるかもしれない。それはそうなのだが、せっかく被災地の人びとにお金を届けようという気があるのなら、届くかどうかあやしい募金(もちろん、しっかり届ける募金もある)に「簡単だから」とお金を出すのではなく、じっくりと被災地にお金が届く方法を探るのはどうか。お金を募金したものの、被災地に届かなければ、善意のからまわりになってしまう。

 被災地以外の人びとが被災地の人びとにできることは「限られている」、という前提をしっかりと認識すべきである。そのうえで、まず被災地の人びとの状況に思いをはせる。そして、被災地の人びとのため「確実に」役立つことはなんなのかを冷静に調べ、考え、行動する。大きな災害のあとだからこそ、私たちにはそういう姿勢が求められているのではないか。


(谷川 茂)

※ @nifty Web募金では「東北地方太平洋沖地震災害救援金」を受付けております。

【受付期間】2011年03月11日〜2011年04月10日


東北地方太平洋沖地震災害救援金 http://donation.nifty.com/tokusetsu/