広東省の仏山市中級人民法院(裁判所)は北京市出身の張林群被告(50歳)に強姦罪で無期懲役を、その妻の金玲被告(28歳)には夫の犯行に加担したとして、懲役15年6カ月の有罪判決を言いわたした。中国新聞社が報じた。

 張被告は2008年から09年にかけて、仏山市内の別荘で「治療のため」と称して女性9人と性的関係を持った。張被告は相手によって、自分を「テレビ局の局長」、「五代続いた名医の家柄」、「シンガポール出身」などと、さまざまな説明をしていた。

 張被告は妻の金被告に「自分の体には問題がある。他の女性と性的関係を持ち、『陰』を取り入れ、『陽』を排出すればよくなる」と説明。さらに「健康に問題がある女性が自分と関係を持てば、その女性も快方に向かう」と言い、納得させた。金被告は法廷でも、「自分は善行を行った」と主張した。

 中国の法律は強姦罪を構成する要件を「暴力、脅迫、その他の手段により」などと定めている。裁判所は「その他の手段」には「病気が治るなどと言ってだますことも含まれる」と判断した。

 被害者女性のひとりは、自分が病気でなかったら、張被告と性的関係を持つことは絶対になかったと話した。張被告らは、被害者の女性から多額の「治療費」を受け取っていた。被害者の悩みにつけこんだ詐欺行為だったと考えられるが、裁判所はより重い刑を科すことができる強姦罪を適用した。妻である金被告も張被告に「だまされた」とみられるが、裁判所は法律上の責任があると判断した。

 金被告は「治療の対象」を探すなどで犯行に加担した。「治療」に役立てるため、夫に精力剤を飲ませたという。別の女性2人も、女性探しなどで張・金両被告を手助けしたとして、それぞれ懲役3年6カ月、3年の判決を受けた。同女性2人の姉や妹も、被害者になった。

 張被告らは被害者女性の裸の姿をひそかに撮影し、「他人に話したら、この写真を公開する」などと脅していた。被害者のひとりが知人に相談したことがきっかけで、警察が犯行を知ることになった。(編集担当:如月隼人)



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