日本人の将来展望、世界15カ国で最も悲観的。

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リーマンショック後、日本人の消費行動はどう変化したか?BBDOワールドワイドによる調査が実施された。

世界最大級の広告マーケティング会社・BBDOワールドワイドは、今年の夏に消費者行動に関する調査を日本を含む世界15カ国で実施した。BBDOワールドワイドの一員である株式会社I&S BBDOが結果を集計し、発表した。

リーマンショックから既に1年が過ぎたが、その間には株価暴落や企業倒産が相次ぎ、日本国内では「派遣切り」「内定取り消し」も大きな話題となった。また、個人消費も大きく落ち込んでいる。

調査は日本、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、インドなど15カ国を対象に実施された。

まず、リーマンショック後の暮らし向きについて尋ねたところ、日本人で「悪くなる」と回答した人はおよそ6割を占めている。他国と比較した場合、日本は15カ国中で最も高いスコアとなっている。また、将来に対する展望も、日本が最も悲観的に考えており、自分の仕事に対する認識としては「現在の仕事の安定性が低く」かつ「再就職できる自信も低い」という非常に悲観的な結果となっている。

その日本人の消費行動を「Trading Up(=消費を拡大したもの)」、「Trading Down(=消費を縮小したもの)」といった対比で観察してみたところ、リーマンショック以降の変化も明らかになった。

「毎月の預貯金」については、減少したと回答した人が42%となり、「セール期間や特売日を待って買い物をすること」は38%の人が増加したと回答している。ここから、景気の悪化に伴う生活防衛的な意識は相当強いことが伺える。

また、「割安な代替品があっても、信頼・好感のある、あるいはなじみがあるブランドを使い続けること」については変わらない、もしくは増加したと回答した人が合わせて82%となっている。そして「家族との団欒」は増加した人が16%となっている。このような行動変化から、家族との団らんや長い間慣れ親しんだものはなかなか変えようがないという、安心への意識の高まりが見られる。

そして、「仕事をする時間」は減少したという回答が26.5%にのぼり、「現在の経済やその影響について考えたり、話し合ったりする機会」が増加したという回答が22%となっている。仕事をする時間が減少し、不況を嘆いているといった「自信を喪失した姿」も見受けられる。

一方で、「子供の教育費」については33%が増加したと回答。さらに、「エコバッグ・マイバッグの利用」も42%が増加したと回答している。節約志向、安心志向、自信喪失といった悲観的な意識の中に、次の世代へそして地球の未来へという大きな責任感や未来志向など積極的な意識が見え始めている。

この結果を踏まえて株式会社I&S BBDOでは、「日本人は長引く不況に加えてリーマンショックによって、衣類・住居など安全の欲求と、集団から認められ、尊敬されるといった自信の欲求が満たされず、喪失感を抱いている」と分析している。

BBDOでは今後、社会学者や心理学者といった専門家へのインタビューなど様々な定性アプローチを駆使して、現在の日本人が失ったものや変化した価値観を深く探索し、そこから新しいマーケティングのチャンスを見出していくとしている。

調査結果の詳細はBBDOのリリースへ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)

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【参照】
http://www.value-press.com/pressrelease.php?article_id=46389