川口と中村の同時出場は昨年9月以来だが、その連携にズレはなかった<br>(photo by Kiminori SAWADA)

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11月19日に行なわれたカタール戦で、久しぶりに二人の連携を見た。川口能活と中村俊輔である。

 川口の特徴のひとつに、キャッチング後の素早いフィードがある。アトランタ五輪代表当時から、もっと言えばプロ入り前から攻撃の第一歩としての役割を意識してきた彼は、速く正確なフィードやキックを徹底的に追求してきた。

 川口と同じように、素早い攻守の切り替えを意識したフィールドプレーヤーもいた。中田英寿である。

 川口によれば、ボールをキャッチしてピッチの状況を確認すると、中田英はすでにボールを受けられるスペースを見つけ、動き出していたという。声でボールを要求されなくても、「オレにボールを寄越せというオーラ」を感じたというのだ。自らの持ち味を生かせるという意味で、中田英は川口にとって絶好のパートナーだったと言うことができる。

 中村俊も同様だ。

 川口がキャッチする。中村俊はすぐにサイドへ開く。川口はためらうことなくフィードする。横浜F・マリノスでともにプレーしていたこともあり、中村俊もまた、川口の良さを引き出すことができるのだ。

 二人揃って代表でプレーするのは、昨年9月のヨーロッパ遠征以来だった。それでも、コンビネーションにズレはなかった。回数的にはそれほど多くなかったものの、川口は中村俊をつねに意識し、中村俊も川口の意図を汲み取っていた。シンクロする彼らの動きは、攻撃のテンポアップの一助となっていた。

 カタール戦は3−0の快勝に終わったが、次のオーストラリア戦に川口が引き続き先発するかどうかは分からない。岡田監督の起用法から判断すると、楢崎正剛のスタメン復帰も十分に予想される。ただ、川口がしっかりと持ち味を出したのは間違いない。

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