彼らが渡り歩いたのは、決してトップチームばかりとはいえないが、そこに共通していたものは何だろうか。日本人選手が海外移籍するたびに所属チームだけでなく、プレーする国の環境へどう適応しているかが話題になる。それは言葉も習慣もまったく異なる環境へのアダプト能力が問われていることに他ならない。

 本記事前編冒頭で書いたトマソンに関して言えば、フェイエノールトからイタリアへ移籍した1年目、ミランの一員としてCLを制し2年目にはスクデットを獲った。そのシーズン後、イタリア民放局で優勝を祝う特別番組が組まれ、その中でトマソンはぎこちないながらも恥じることなく堂々とイタリア語でインタビューに応えていた。
 同じ年、サンプドリアではある日本人FWが挑戦し、その後結局2年半セリエAでプレーしたが、0ゴールに終わった。
 言語習得能力をFWの得点能力と安易に結びつけるつもりはない。だが、トマソンのぎこちないインタビューが、たまらなくまぶしく見えたのはなぜだろうか。