お金持ちの財布はシンプル。基本はお札だ(筆者撮影)

ファイナンシャルプランナーの花輪陽子です。今回は「お金持ちの財布」と「お金が貯まらない人の財布」の決定的な違いは何かについてお話ししたいと思います。

実は、私は女性誌で読者の「お財布診断」を長年担当しています。また、テレビ番組の監修の際にも、銀座などの街頭でお財布を見せてもらったり、さらには芸能人のお財布を見せてもらった経験も多数あります。

最近はシンガポールに移住しつつ、日本と行ったり来たりですが、シンガポールで外国人も含めた富裕層の財布もいろいろと見た結果、「お金が貯まる人の財布」とそうでない人の財布には次のような違いがあることに気がつかされました。

「パンパン豚財布女子」が意外に多い!

結論から言うと、お金が貯まらない人の多くは「パンパン豚財布」が多いのです。期限切れのクーポン、昔引いたおみくじ、金運アップなどのお守り、思い出の写真、ポイントカード、レシートの山、といった「お金の支払いに直接関係のない物」が財布の中に溢れかえっているのです(ポイントカードやクーポンがお得なのは間違いないのですが・・・)。

「ひどい豚財布」というと男性ばかりのイメージがありますが意外にも女性が結構多いのです。1000円札とレシートが「ミルフィーユ」のようにマダラになって、「いったい財布にどれくらいの金額が入っているのかよく分からない」と苦笑していた「働き女子」も多くいました。

そういう人にお話を聞くと、ほぼ100%「お金が貯まっていない」と嘆くのです。「豚財布」の人の共通点はこのように余分な物で財布がとにかくパンパンということなのですが、逆に言えば、肝心のお札はほとんど入っていません。「所持金が3000円以下」という人も非常に多いのです。

もちろん、クレジットカードがあれば現金は必要ないのですが、こういう人たちに限って、現金がなくなったらATMから少しずつお金を引き出すのでATM(現金自動預け払い機)の手数料も、知らず知らずのうちに取られているというわけです。

では、上記の例のように財布に不要なものを入れるのはなぜダメなのでしょうか。必要のないものを入れれば入れるほど、所持金が把握しにくくなります。日本ではあまりないかもしれませんが、海外では紙幣でお金を払うと店側も数え間違えることが結構あるので、日ごろから所持金の把握は必須になります。

また、買い物をしたらレシートは財布から取りして記録すべきです。整理をしないと支出を把握しにくくなり、その間に次の買い物をするという悪循環に陥りがちです。クレジットカードでの買い物の場合は尚更です。

富裕層の財布は「紙幣と最低限のカード」が圧倒的

これに対して富裕層はお財布の中に必要な物しか入れないケースがほとんどです。必要な物とは、紙幣と最低限のカードのみです。銀行のATMカードも1枚あれば十分です。銀座でデザイナーズブランドに身を包んだ親子にお財布を見せてもらったことがありますが、「おそろいのブランド財布」で二人とも所持金は20万円ほどと、お札がぎっしり。しかし小銭はまったくなく、あとは数枚クレジットカードが入っていたくらいでした。

シンガポールでもマリーナベイサンズなどで買い物をしていると、財布に紙幣を100枚くらいぎっしり入れている富裕外国人をときどき見かけます。皆、紙幣だけでパンパンです。

「それではショップカードなどはどうすればいいのか!お得だからやっぱり持ち歩くべきだ」と思われるかもしれませんが、「その日に必要なもの以外は自宅で保管をする」、あるいは「カードケースを別に持つ」という人もいます。つまり大事なのは「整理力」。カードを複数枚使い分けている人は、お店ではさっと取り出せるようにカード類も見やすく整理されているのです。

実は、富裕層がよく利用しているブランドの財布があって、私も中古で入手して使ってみたことがあります。また「お財布マニア」でありとあらゆるブランドのお財布を所有し、使い分けている知人にも聞き研究しているのですが、やはり富裕層が持つ財布は、形から普通の財布とは違うというケースが少なくありません。

例えば、小銭がほとんど入らない構造の財布などです。もちろん、海外ではアメリカでは1ドル札から、シンガポールも2ドル札から紙幣がある(1シンガポールドル=約83円)ので、小銭は本当に端数という位置づけになりやすいという面もあります。また募金やチップとして使ったりする人も多いという事情もあります。

また、お守りなど余計なものが入らない形状になっている財布も多いのです。この場合、カードは最低限の枚数を、1枚ずつ美しく入れる構造になっています。1つの場所にカードを複数枚入れようとすると皮が伸び、財布の劣化を早めそうです。

「財布の寝床」を作っているという人も


富裕層は財布の管理もしっかりです。私の知人には、「財布の寝床」を作っているという人もいました。1日が終わったら財布の中身を全部抜いて、お財布を休ませるのだそうです。バッグや靴と同じように、財布も複数買ってローテーションをさせ、大切に使っているのです。

特にシンガポールでは、人気ブランドの財布は中古でも状態がよければある程度の価格がつくので大切に長く使うというのは理にもかなっています。買った財布を綺麗に大切に使って、それを中古で売ってまた好きな財布を買って、と上手に回している人も少なくありません。

ぜひ読者の皆さんも財布の中からレシート、期限切れのクーポン、昔に引いたおみくじといった余分な物を一刻も早く取り出してください。そして富裕層のようなスッキリ整理された財布を目指してみてはいかがでしょうか。