自分が「有能か無能か」を簡単に知る方法

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「時間」という資産は、誰にとっても有限だ。ところが、その使い方は人によって驚くほど違う。いつも時間が足りない人と、仕事が終わる人の違いはどこにあるのか。「プレジデント」(2017年3月6日号)より識者の助言を紹介しよう。今回は「自分改善」について――。

■自分の姿を公平に見ることは難しい

自分を変えるには、まずは等身大の自分を知ることです。デカルトの『方法序説』に「人は自分のことになると、よく間違える」という言葉があります。人は他人の姿はありのまま見えても、自分の姿を公平に見ることができません。

自分の長所と短所を知るには、まわりの人たちに訊くことです。職場以外のリラックスした状況で、さり気なく話を振ると本音が聞けます。たとえば仕事の後に一杯やっている席で、こう切り出してみます。

「この前、プレジデントにこんなチェックリスト(図参照)が載っていてね。僕もやってみたんだけど、これ、当たっていると思う?」

軽い調子で、チェック済みの誌面を差し出します。すると、あなたがチェックリストの「人のミスや失敗には寛容である」という項目にマルをつけていたら、部下が「そうかなあ。課長、よくない報告を聞くときは、いつもこめかみのあたりをぴりぴりさせていますよ」と返してくるかもしれません。

このように痛い指摘を受けると、ついムッとしてしまいがちです。が、そういうとき決して怒ってはいけません。

■ノートに縦に2本の線を引き、ページを3つに分ける

ゴーゴリの戯曲『検察官』の中に、「自分の顔が曲がっているのに、鏡を責めて何になろう」という警句が出てきます。人から欠点を指摘されて怒り出すのは、鏡を見て、「なぜおれの顔が曲がっているんだ!」と責めるようなもの。何を指摘されても、笑顔で受け流しましょう。

もしあなたが「自分の短所を直さなければ」と真剣に考えているのであれば、ノートを使って改善方法を考えてみるのも一法でしょう。ノートに縦に2本の線を引き、ページを3つに分けて、自分の長所、短所、短所の改善法を考えて書き込みます。「頭にきたと思ったら、こめかみに手を触れて5秒間だけがまんしてみる」など、具体的な対策を考え、ノートに列挙して、実践してみましょう。

米独立の父ベンジャミン・フランクリンが自らを戒め、守るべき徳目をチェックリストにした「フランクリンの13徳」(『フランクリン自伝』所収)をもとに、自分の行動を振り返るのもよい方法です。フランクリンは節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔、謙譲の13項目をあげましたが、全部真似る必要はありません。自分なりの項目を立てて、自らを省みるようにするといいでしょう。

▼自己診断の結果を人に見せて、自分に見えない短所を知る

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本田有明
本田コンサルタント事務所代表
日本能率協会を経て、人事教育コンサルタントとして独立。『結果主義のリーダーはなぜ失敗するのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。
 

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(人事教育コンサルタント 本田 有明 構成=久保田正志 撮影=永井 浩)