浦和に大誤算、堀監督も「影響あった」 川崎戦3ボランチで防戦一方の原因とは?

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川崎戦で3ボランチを採用した浦和 狙いは「中央からの攻撃を防ぎたかった」

 浦和レッズの堀孝史監督は、3ボランチを採用して臨んだ23日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の準々決勝第1戦の川崎フロンターレ戦に1-3で敗れた後、記者会見で「中央からの攻撃を防ぎたかった」と、その意図を語った。

 堀監督は7月29日のリーグ第19節コンサドーレ札幌戦の敗戦後に契約解除となったミハイロ・ペトロヴィッチ監督の後を受けてコーチから昇格していた。チームに関わってきたなかで、7月5日の直接対決では4バックを採用して1-4で敗れたゲームも経験している。堀監督なりの川崎対策は、先週末のリーグ戦FC東京戦で採用して手応えを得た3ボランチの採用になった。

「川崎はボールを持てるので、我慢強く戦おうという声を掛けました。FC東京戦でやった形で、川崎とやるにあたって中央からの攻撃を防ぎたかった。その試合では少し違った意図で3ボランチをやりましたけど、それでやれるのではないかと、色々と考えましたが、2日間のなかでそう決断しました」

 普段はダブルボランチの前に1トップ、2シャドーを据える形が基本の浦和だが、このゲームはシャドーを1枚削って右からMF青木拓矢、MF阿部勇樹、MF矢島慎也の3枚を並べた。川崎のビルドアップに真っ向勝負を仕掛けるのではなく、入ってきた相手を捕まえる守備体形を敷いたが、徐々に防戦一方になってしまった。その要因に、堀監督は攻撃の機能不全を挙げた。

ポイントは「ボールを持つ時間」

「守備の時間は長くなると考えましたけど、もう少し自分たちでボールを持つ時間を作りたかった。ただ、ビルドアップを含めてそこが上手くいかなかった結果、攻撃を受け続けてしまったと思います。相手の時間が多かったことによって、足が動かなくなって対応できなくなっていってしまった」

 結果的に、ボールを奪うことよりもゴールを守ることで精一杯になってしまった浦和は、ハーフタイムの時点でACL公式サイトのデータでボールポゼッション36.4%。シュート数もわずかに2本だった。一方の川崎はシュート8本を放ち、前半33分にFW小林悠が先制ゴール。攻撃に出ていく力を欠き、GK西川周作へのパックパスから前線へフィードという展開が多くなったことで、ボールを持つ時間を作れなかった。

 堀監督にとって大きな誤算だったのは、MF柏木陽介が「ウォーミングアップ中に足の付け根にトラブルがあって出られないと伝えてきた」こと。その結果として青木を急きょスタメンに入れた。堀監督は「青木を入れて役割は同じだったが、配球の面などで選手のキャラクターが違うので、その影響はあった」と話した。キックオフ前だったので交代枠の減少はなかったが、ベンチメンバーは6人に。戦術的な変化をつけられるカードは1枚減ってしまった。

 厳しい戦いになった浦和だが、後半31分に途中出場のFW武藤雄樹がアウェーゴールを奪ったのは希望の光だ。ラウンド16の済州ユナイテッド(韓国)戦でもアウェーで0-2の敗戦を喫する第1戦から勝ち上がっただけに、「アウェーで1点を取って浦和に帰れることをポジティブに捉えたい」と前を向いた。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images