イラン代表が政治的理由で2選手追放、批判集まる イスラエルのクラブと対戦が原因

写真拡大

イラン代表の2選手がイスラエルのクラブとのEL予選で出場、イラン協会は強く非難

 イラン代表が政治的な理由で二人の代表選手をチームから追放すると宣言したことについて、批判が集まっている。

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」などが報じた。

 イラン代表のMFマスード・ショジャエイとDFイフサン・ハジ・サフィはギリシャのパニオニオスに所属し、3日にUEFAヨーロッパリーグ(EL)予選でイスラエルのマッカビ・テル・アビブと対戦したが、イランサッカー協会はこれについて強く非難している。

 イランはイスラエルを国家として認定しておらず、そのイスラエルを代表して出場したクラブとの試合に出場したことが原因として、2選手を「イランにとっての“レッドライン”を越えた」と代表から追放すると宣言した。また、イスラエルを「忌まわしい政権」として「伝統的にオリンピックなどでもイスラエルの選手と競争することを禁じている」とするなど、改めてその国際問題の難しさが浮き彫りになっている。

 実際に昨年、イランのアリーレザ・ホジャシュは、「個人的な理由」としてリオデジャネイロ五輪の柔道で棄権した。イスラエル人選手と対戦する可能性を避けるために彼がそうしたと広く考えられている。

政府の介入を禁じるFIFAは現在静観

 イランではイデオロギーがスポーツを越えると考えられているが、サッカー界だけでなく、一般社会からも2選手が救済されるべきという世論が強いという。同紙はイラン人サポーターの「彼らはイランのためにプレーするのではなく、彼らに投資したクラブのためにプレーしていた」という声を紹介している。

 また、FIFA(国際サッカー連盟)は政府によるサッカーへの政治的な介入を禁じている。今回の件もそれに抵触する可能性が大いにあるが、現時点では反応なく静観している。

 来年のロシア・ワールドカップに向けて、すでにアジア最終予選の突破が決まっているイランだが、内側に抱える根深い問題が浮き彫りとなっている。2選手は、ロシアでイラン代表としてピッチに立てるのか。FIFAの対応も含め、注目が集まる。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images