NECは20日、ドコモと共同で次世代無線通信網「5G」の実現に向け5Gの要素技術であるMassive MIMO(Multiple Input Multiple Output)の検証実験を実施したことを発表した。

 実験では、NECが開発した低SHF帯超多素子AAS(Active Antenna System)を使用、ビルや電柱などで電波の反射や回り込みなどが起こりやすい屋外や、柱や壁など障害物が多い屋内環境で基地局で実験され、大容量化や通信品質の向上が可能なことが検証された。また、屋内では、現在利用されているLTEに対して、約8倍の周波数利用効率を安定して実現できることも確認された。

 通常、近接する複数の端末と基地局が同時に通信するために、それぞれの端末に対してビームを形成すると、互いの信号が干渉し合い通信品質が低下する課題があった。また、柱やビルなどの障害物によって発生する信号の反射、回り込みなど、直接波以外の信号を活用して大容量化することも困難であった。

 同社が開発したAASは、ビーム形成の精度向上を実現するフルデジタルビームフォーミング制御を採用。対象端末に対してのビームを形成するとともに、マルチパスを利用して干渉する信号を打ち消すビームを形成できる。

 また、自信号のマルチパスを効率よく直接波と合成することで通信品質を向上させるビームの形成もできる。これらにより複数の端末が近接している場合でも、高い通信品質を維持したまま同時に複数の端末との通信を可能とし課題を解決できる結果が得られたという。