テレビで観たその試合をよく覚えている。高校3年の2学期、受験勉強はさておいた。1980(昭和55)年9月4日、木曜のナイターだが、後楽園球場は5万の大観衆で埋まった。アマチュア野球世界選手権のキューバ―日本戦である。キューバは「カリブの赤い稲妻」と呼ばれ、当時世界最強。日本は優勝をかけて挑んでいた。0―0の7回表先頭、3番手・竹本由紀夫(新日鉄室蘭)の投げた初球、内角高め速球を左打者のアントニオ・ムニョスに