「安倍政権の下心は北朝鮮にも見透かされていた」

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 いよいよ12月2日に衆院選が公示されます。選挙戦本番、スタートです。今回の選挙、本当に舐めてるとしかいいようがないですね。

「今だけ・金だけ・自分だけ」

 これは、東京大学の鈴木宣弘教授が仰った、政治家、経済人、官僚を短く的確に言い当てた言葉です。今回の解散はまさに、この言葉のまんま。今だけ・金だけ・自分だけ解散。解散する理由が安倍政権の延命目的以外にないですから。早いうちに解散しないと安倍政権の「嘘」、アベノミクスの「嘘」がバレるからです。

「アベノミクス失敗を示すデータが出そろう前に解散した」

 GDP(国内総生産)速報値。発表は11月17日。結果は、年率換算でマイナス1.6%という惨憺たる数字。2次速報の発表は12月8日。来年春の納税時期が過ぎれば、もっと深刻な状況に陥ってる事が、データとしてモロに判明します。

 必ず決まった時期に、データが出て、政策の失敗は明らかになる。経済が芳しくない、どころか景気が後退してるということが、データによって目に見えてハッキリとする。

 だったら、少なくともデータが出そろう前に解散しないと、安倍政権にとっては、マズい状況です。

「アベノミクス万歳!もうすぐあなたも好景気を実感!!!」

 って詐欺商法の嘘がバレる前に解散しなきゃ、権力を維持できませんから。ただの幻だったということがはっきりする前に、想定内でのナルハヤ解散、と言う話。

 僕は今年の夏から「解散する可能性あり」と、全国街宣でもずっと言っていたんです。「早くて秋、遅くても年内にも解散する可能性が高い」と。

 それに備えて準備をしておくべきだと思ったから、その頃から政治家に会うたびに、「解散あるんじゃないですか」と聞いていたんです。そしたらみんな笑ってました。

「山本君、政治を解ってないね?」って。なんで、この人たちは、余裕なんだろう、自分の考え過ぎなのか、とも一瞬考えてしまいました。同業者に一人も賛同者なし、ですもの。

安倍政権を維持するため、という「大義」

 秋ではなく、冬になった解散理由の一つに、拉致問題の解決に進展がなかった事も関係していると思います。 安倍政権が5月頃から拉致問題解決を急ぎだしました。

 もちろん、不当に連れ去られた自国民を取り戻す事は絶対的に必要なことですが、十分な根回しがされているのか不安に感じた拉致家族会は、次のように語っていたそうです。

「(政府)当局者の訪朝は、拉致被害者に関する報告を聞ける段階まで待つべきだ」と政府に自制を申し入れた

 そりゃそうです、闇雲に交渉を押し進めてタイミングを間違えたらシャレになりません。

 当時の僕の読みは、安倍政権は拉致問題で多少の成果を上げて、支持率を上げてから解散に持ち込みたいのではないか? 秋の国会が始まるタイミングで解散できれば、政権としては、BESTだろう、と。

 拉致問題の解決はこの国に生きる人々にとって悲願でもありますから、多少でも進展があれば、支持率は上がります。

 後々出てくる経済データで政権の首が絞まる前に、支持率が上がる拉致問題を政治利用し、長期政権に向けての解散を狙っているのではないか、と。

 でも、結局向こう(北朝鮮政府)に、見透かされていたんでしょうね、下心が。加害者側に見透かされてコントロールされるなんて、屈辱的です。結局、大きな進展もなく、秋の冒頭解散でなく、先送りの決断をしたのかも知れません。

 いざ国会が始まると、閣僚の不祥事が噴出しました。そこで軽く解散の噂を流すことによってそれらを覆い隠すつもりが、止められなくなった。今回の選挙は「大義のない選挙」といわれますが、彼らにとっては「大義」があるでしょう。安倍政権を維持するため、という「大義」。でも、それはこの国に生きる人々にとっては関係のない話。

 安倍政権は、これまでの約2年の間、消費税はもちろん、労働環境をぶち壊す改革、人権侵害の可能性がある数々の悪法など、この国に生きる99%の人々の首が絞まる様なルール変更に尽力されました。

 大企業に対して、大減税を約束し、税収が減った分を消費増税や、庶民に対する新たな徴税でまかなうハラ。

「もうすぐ景気回復を実感します!」

 だなんて子どもが聞いても嘘だとわかるレベルにまで生活破壊が進んでる現状を、税金で行く世界旅行がご趣味のお坊ちゃまには実感できないようです。

 解散名をつけろ、ですか? 名付けるのも面倒くさいですね。

「晋三お坊ちゃまのワガママ解散」

 いや、イマイチだな。その手のキャッチコピーは、安倍政権のイメージアップにも寄与しているであろう、電通あたりに聞いて下さい。

著者プロフィール

参議院議員

山本太郎

1974年、兵庫県宝塚市生まれ。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。1991年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。『光の雨』、『GO』で2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で2003年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。2013年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬、666,684票(11.8%)を得て当選。内閣委員会に所属。現在、原発問題、被曝問題、子どもと放射能、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。

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(取材・文/DMMニュース編集部)