遠藤保仁 (撮影/岸本勉・PICSPORT)

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現在、上位4チームによる激しい優勝争いが続く中、22日に浦和を下して逆転優勝に大きく近づいたのがG大阪。その中心は日本代表に復帰した遠藤保仁だ。

現在、34歳の遠藤は、8日ナビスコカップ決勝広島戦、14日ホンジュラス戦、18日オーストラリア戦、22日浦和戦と連戦中で、さらに26日には天皇杯準決勝の清水戦にもフル出場した。

この試合はG大阪が5-2と清水を大差で下し、底力を見せた。ところが連戦で疲労が溜まっているはずの遠藤を長谷川健太監督は交代させることもなく、90分間使い続けた。

試合後、ミックスゾーンに現れた遠藤は「僕は試合に出続けるほうが調子が良くなるので」と一言。だが、今後の負けられないリーグ戦、天皇杯決勝のために少しでも休んだほうがよかったのではないか。

「遠藤に疲労はあると思いますよ。連戦で大変だと思いますから」とスタジアムを離れる間際に長谷川監督は明かした。「だけど今日の試合は2-0から2-2に追いつかれた。4-2にしたけれど、また追いつかれるかもしれない。一番避けなければいけないのは、4-4になって延長まで行って疲労を溜めることでした。そのリスクを避けるためには、遠藤を交代させることなんて考えられなかった」

うまく緩急を作りながら動いていた遠藤だったが、さすがに最後は足も止まっていた。長谷川監督はそれを知りながら81分、最後のカードを切った。早めに御役御免となったのは、遠藤と生れ年の干支が同じだが、一回り違う22歳の宇佐美貴史だった。

「試合に出ている限りはいつものプレーを要求します」と長谷川監督は言う。遠藤を休ませなかった非情采配がG大阪を天皇杯決勝に導いた。

だが、はたして遠藤はシーズン最後までパフォーマンスを維持できるのか。少しでも休ませられるのは、ここしかなかったはずだ。ここまではずっとズバリ的中している長谷川監督の采配だが、この一手は、連戦の最後となる29日の神戸戦に勝ったときにこそ賞賛されるべきものだろう。

【取材・文/日本蹴球合同会社 森雅史】